功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『笑太極』(2004年)

2013-12-27 22:53:57 | カンフー映画:駄作
笑太極
英題:Xiao Tai Ji/Laughing Tai Chi
製作:2004年

▼当ブログでは今年も様々な作品をご紹介してきました。一昨年と去年は最後の更新にジミー先生の主演作をセレクトしましたが、今回は前々回の『新報仇』に引き続いて、またもや某傑作功夫片のリメイク版(らしき作品)を取り上げたいと思います。
タイトルを見てお気付きの方も多いと思いますが、本作は甄子丹(ドニー・イェン)の初主演作である『ドラゴン酔太極拳』(原題:笑太極)と同じタイトルを持つ作品です。
相変わらず本家とは無関係のキャスト&スタッフで占められているものの、製作は『必殺のダブルドラゴン』を手掛けた李超、出演は錢嘉樂(チン・ガーロッ)と周比利(ビリー・チョウ)で、他にも往年の功夫職人たちが名を連ねています。
 …ところが、本作は『神鳳苗翠花』のようなTV映画だったらしく、撮影はビデオ撮りで行われているようです。さらに言うと監督の林文偉は役者が本業で、その仕事は脇役がほとんど。『プロジェクトA2』では新任のジャッキーに最初に殴りかかる警官、『インフラマン』では洗脳された隊員に扮していました。
脇役仕事オンリーの監督が撮ったフィルム撮影ではない作品…う~ん、なんだか猛烈に嫌な予感がしてきたような…(汗

■(※ストーリーは若干推測が入っています)
 錢嘉樂は功夫が大好きな金持ちのボンボン。そんな彼が瀕死の男から謎の宝剣を預かり、事件に巻き込まれるところから物語は幕を開ける。実はこの宝剣、明朝が隠した財宝の手がかりとなる重大なものであった。
盗賊?の周比利は捜索を開始し、錢嘉樂のもとに宝剣があるのではないかと疑念を抱く。一方で錢嘉樂は、たまたま出会った功夫使いの老人・陳少鵬(!)に教えを乞い、叔父である白彪(バイ・ピョウ)の取り成しで弟子入りに成功した。
 実は陳少鵬と白彪は清朝に不満を持つ革命派のメンバーであり、彼らも宝剣を探しているという。肝心の宝剣は錢嘉樂の許婚?が持ち去っており、しばらくしてあっさりと彼の手元に帰ってきた。
ここに陳少鵬の娘を加えて三角関係になりそうな雰囲気…だったのだが、周比利が錢嘉樂と因縁のあるチンピラどもと結託し、強引に宝剣の返還を迫ってきた。陳少鵬は錢嘉樂に太極拳と笑拳を伝授し、修行の総仕上げに取り掛かっていく。
だが、周比利の奇襲によって陳少鵬が犠牲となってしまい、錢嘉樂は合流した白彪から2つの拳法を合体させた笑太極を習うことに。宝剣に財宝の地図が隠されていたと明らかになる中、ついに最後の戦いが始まった!

▲さて、結論から申し上げますと、本作はリメイク版でもなんでもありません(爆)。使用する拳法も、ストーリーの骨子も、キャラクターの配置もまったくの別物。共通しているのは題名とそのフォント、コメディ功夫片というジャンルのみです。
作品自体のクオリティも芳しくなく、とても2004年に作られた物とは思えない出来でした。不要になったキャラを片っ端から殺す展開、登場する修行道具やロケ地のショボさなどは、昔の低予算功夫片を(悪い意味で)彷彿とさせます。
 もしかすると、本作はそういった古臭さをあえて狙ったのかもしれません(『超酔拳』みたいに)。そうすると気になるのは功夫アクションの出来ですが、こちらはビデオ撮りのせいか迫力が感じられず、あまりパッとしない殺陣に仕上がっていました。
タイトルにある笑太極という拳法も、適当に笑い顔を浮かべながら戦うというお粗末な代物であり、『ドラゴン酔太極拳』の流れるような動作とは比べるべくも無いでしょう。
 唯一の見せ場は往年の功夫スターである白彪と、ベテラン武術指導家の陳少鵬というビッグネーム2人の存在です。彼らは劇中で錢嘉樂や周比利と拳を交えており、レア対決マニアには垂涎の顔合わせが実現していました。これでアクションが良ければなぁ…。
リメイク版じゃないのは仕方ないとしても、この出来はさすがに微妙すぎました。どうしても白彪と陳少鵬の姿を確認したい方、ヘナヘナな笑拳を見たい方、無断使用されている『もののけ姫』のBGMを確認したい方のみオススメです。
えっと……それではみなさん、良いお年を!(逃げた)

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