功夫電影専科

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『子連れ殺人拳』

2012-12-14 23:45:41 | 千葉真一とJAC
「子連れ殺人拳」
英題:Karate Warrior
製作:1976年

▼李小龍(ブルース・リー)の到来とともに花開き、一世を風靡した東映空手映画。しかし、日本における功夫映画のムーブメントが終息すると同時に、空手映画も徐々に勢いを無くしていきました。本作はそんな時期に作られたもので、空手に剣術をプラスした意欲作となっています。
出演は千葉真一を始め、当時の空手映画おなじみの顔が勢揃い。加えて、千葉のライバル役に名優・夏八木勲が扮しています。夏八木は千葉と共演するたびに良い味を出すので(個人的には『戦国自衛隊』の2人がベスト)、ぶっちゃけ剣術よりも彼の方が気になっていたのですが…。

■流浪の空手使い・千葉は、とある寂れた町で子連れの剣士・夏八木と出会う。火花を散らす両者だが、2人の出会いはこれから始まる闘いの序章でしかなかった。この町では暴力団組長・天津敏が逮捕されたことにより、配下の室田日出男と郷治が利権を巡って対立。それ以来、血で血を洗う抗争を繰り広げていた。
だが、この戦いは単なる縄張り争いではなかった。実は天津が隠した十億円の麻薬を両陣営のどちらかが持っており、一連の争乱はブツを巡っての競り合いであったのだ。室田は夏八木を雇い、次第にその勢力を拡大させていく。焦った郷は千葉を雇うが、一方で彼も天津の女・川崎あかねから話を聞き、麻薬をモノにしようと企んでいた。
 紆余曲折の末、ひょんな事から麻薬のありかを知った千葉は、両陣営を尻目に目当てのブツを入手する。が、そこに目的を同じにする夏八木が現れた。遂に相対した両者は、墓場を舞台に激しいバトルを展開。死闘の末、ギリギリのところで千葉が勝利をもぎ取るのだった。
今わの際に夏八木は「俺の子を妻の所へ送ってくれ…」と告げ、郷と室田を始末した千葉はそれを承諾する。かくして十億円の麻薬は彼の手へ渡った…のだが、今度は脱獄してきた天津とその手下たちが追ってきた!果たして、子連れとなった千葉の殺人拳は炸裂するのか!?

▲正直言って、色々と惜しい作品です。期待していた千葉と夏八木のハードボイルドな関係や、空手に剣術を交えたアクション(空手的な動作の合間に剣を振り回すのではなく、剣を空手アクションの一部に加えているのが特徴)は確かに素晴らしいものでした。
しかし、後半に突入すると同時に敵組織のトップ2人は呆気なく死亡。ヒロイン格と思われた渡辺やよいも退場し、最終決戦の相手はポッと出の天津敏が担当してしまいます。今まで積み重ねてきたキャラクターや雰囲気を帳消しにし、まるでリセットするかのような展開になったのは残念でなりません。
その後、千葉はいくつか空手映画に主演しますが、時代はジャッキーのコミカル・アクションを選びます。それに呼応した彼は、真田広之などの若手スターを擁立することで時流に同調。JACの黄金期を築くのですが、その判断も本作のような失敗を経たからこそ…だったのかもしれませんね。

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