功夫電影専科

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『ヒットマン』

2014-10-08 23:09:03 | 李連杰(ジェット・リー)
「ヒットマン」
原題:殺手之王
英題:Hitman/King of Killers/Contract Killer
製作:1998年

●謎に包まれた殺し屋・炎の天使が、香港に財閥を築き上げた塚本グループの総帥(佐原健二)を殺害した。総帥は旧日本軍上がりの悪党で、自分が殺された時のために“復讐基金”なるシステムを用意していた。
このシステムによって炎の天使に1億米ドルの賞金が掛けられ、世界中から続々とヒットマンが集結しはじめる。大陸から来た元兵士の李連杰(リー・リンチェイ)も、高額の賞金につられた者の1人であった。
 だが温厚な彼は人殺しの経験など無く、事情通のチンピラ・曾志偉(エリック・ツァン)に殺しのイロハを教わりながらターゲットを追うことになる。実は曾志偉には梁詠[王其](ジジ・リョン)という娘がいるのだが、どうも親子関係は良くないらしい。
そんな中、総帥の孫である佐藤佳次も1億米ドルの争奪戦に加わり、基金の審判員を抱き込んで密かに行動していた。彼らの暗躍に気付いた李連杰たちは、先んじて事件の重要人物と思われる老人に接触するも、ドンパチの最中に老人は死んでしまう。
佐藤に睨まれて立場が悪くなってきた曾志偉は、ここに至って李連杰に真実を明かした。佐原と老人に浅からぬ因縁があった事、そこへ割って入ったために自分が炎の天使だと疑われている事、そして是が非でも大金をモノにしたいという事を…。
しかし佐藤の追及はなおも続き、李連杰たちは塚本グループの本社ビルへと乗り込んでいく。炎の天使の正体が判明する中、ついに最後の戦いの幕は切って落とされた。果たして最後に生き残り、1億米ドルを手にするのは誰なのか!?

 李連杰がハリウッドへ上陸する直前に撮られた作品ですが、正直言ってそれほど面白い作品ではありません。全体的に作り込みが甘く、登場人物の設定にも影響が及んでいます。
特に主人公である李連杰の人物像には若干の矛盾があり、やや感情移入がしづらいキャラとなっていました。本作の彼は優しい性格の持ち主でありながら、戦いとなると卓越した武術の腕前を発揮します。しかし元兵士だと劇中で語ってはいますが、人を殺したことがない李連杰が異様に実戦慣れしているのは不自然に思えてなりません。
しかも彼の隣にはアクの強い曾志偉が控えており、あやふやな設定を持つ李連杰の影は薄くなる一方。その曾志偉にしても、李連杰に目を付けてプロデュースした理由は最後まで語られないのです。
 ストーリーも炎の天使を巡る戦いをメインにするのか、それとも曾志偉のドラマを主題にしたいのか解らず、どちらのパートも盛り上がりに欠けていました(曾志偉と梁詠[王其]のエピソードは悪くないんですが…)。
ただしアクションシーンだけは平均以上のものを残しており、レーザーポインターを仕込んだ指輪を使うポール・ラプスキーとの対決、エレベーターシャフト内での戦いは工夫が凝らされています。
ラストバトルも三者三様のバトルが展開され、曾志偉の七転八倒(笑)も含めてなかなか楽しめました。とはいえ作品としてのレベルはイマイチ止まり。世界中から来た殺し屋も2人くらいしか出てこないので、あまり期待しすぎない方がいいでしょう。

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