「武闘拳 猛虎激殺!」
英題:WHICH IS STRONGER. KARATE OR THE TIGER?
製作:1976年
●今回も東映空手映画の紹介ですが、この『武闘拳 猛虎激殺!』は個人的に思い入れのある作品です。私が本作を知ったのは、千葉真一や志穂美悦子の空手映画を一通り見終わったころのことでした。
ある程度メジャーなタイトルを制覇した私は、未ソフト化の空手映画が存在することを知り、ネットで必死に探し回りました。いくつかの作品は海外版のDVDで入手できたのですが、『武闘拳』だけはどうしても見つからず、東映チャンネルにも加入していなかった私の中では勝手に「幻の作品」と化していたのです(苦笑
しかし、今年になってDVDが発売された事で、数年来の夢がようやく叶うことになりました。ショウブラ作品がリリースされたときはピンとこなかったのですが、昔から待ちわびた作品が手軽に見られるようになった時の喜びというものを、このたびようやく実感する事ができた気がします。
さて、本作は千葉真一がオファーを蹴り、その代わりに倉田保昭が主演に収まったという逸話を持つ作品です。オファーを蹴った理由について、千葉は「動物相手のショウ映画は嫌だ」と述べたそうですが、本作を見た限りでは他にも理由があるような気がしました(それについては後述にて)。
ストーリーは父と兄を殺された倉田が、石橋雅史と堀田真三の極悪兄弟(それにしても凄い兄弟だ・笑)に復讐を果たす!というもの。敵勢には空手映画恒例のインチキ武術家軍団が控えていますが、これだけでは物足りないと製作側が判断したらしく、『Gメン75』に登場した猛虎・シーザーも狩り出されています。
しかし、シーザーの存在こそ強烈ではありますが、本作はあまりにも従来の空手映画とイメージが被りすぎています。インチキ武術家軍団をはじめ、堕落した千葉治郎が倉田に喝を入れられるシーンや、主人公の野性的なキャラクター像、金塊に倒れこんで死ぬラスボスなど、過去の作品と似た場面が散見されるのです。
当時、空手映画はそろそろ時代遅れになり始めていた頃でしたが、ここまで従来と同じような内容ではウケるはずがありません。千葉が本作の出演を断ったのは、虎を相手に闘うのが嫌だったからだけではなく、ルーティンな映画作りからの脱却を望んでいたから…なのかもしれませんね。
とはいえ、時代の流れと関係のなくなった今の目で見てみると、本作はなかなか楽しめます。今回のインチキ武術家軍団も濃いキャラ揃いで、相撲取りのくせにメインウェポンが竹槍だったり(笑)、血の色が緑色な奴がいたりともうムチャクチャ!シーザーの存在もあいまって、最終決戦はテンションが高いものに仕上がっていました。
また、本作で倉田のライバルとして登場するプロ空手・大塚剛の存在も光っていて、劇中で三度も行われる2人の対決は手に汗握る好勝負となっています。なぜか空手映画では蔑ろにされることの多い大塚氏にとって、本作はベストに近い仕事だったといっても過言ではないでしょう。
ところで本作を見ていて思ったんですが、東映の空手映画は定期的にフラメンコ・ダンスを入れなければならないという約束事でもあるのでしょうか?本作以外にも『吼えろ鉄拳』や『ザ・格闘王2』など、世代を超えて色んな場所で踊っているような気が…(汗
英題:WHICH IS STRONGER. KARATE OR THE TIGER?
製作:1976年
●今回も東映空手映画の紹介ですが、この『武闘拳 猛虎激殺!』は個人的に思い入れのある作品です。私が本作を知ったのは、千葉真一や志穂美悦子の空手映画を一通り見終わったころのことでした。
ある程度メジャーなタイトルを制覇した私は、未ソフト化の空手映画が存在することを知り、ネットで必死に探し回りました。いくつかの作品は海外版のDVDで入手できたのですが、『武闘拳』だけはどうしても見つからず、東映チャンネルにも加入していなかった私の中では勝手に「幻の作品」と化していたのです(苦笑
しかし、今年になってDVDが発売された事で、数年来の夢がようやく叶うことになりました。ショウブラ作品がリリースされたときはピンとこなかったのですが、昔から待ちわびた作品が手軽に見られるようになった時の喜びというものを、このたびようやく実感する事ができた気がします。
さて、本作は千葉真一がオファーを蹴り、その代わりに倉田保昭が主演に収まったという逸話を持つ作品です。オファーを蹴った理由について、千葉は「動物相手のショウ映画は嫌だ」と述べたそうですが、本作を見た限りでは他にも理由があるような気がしました(それについては後述にて)。
ストーリーは父と兄を殺された倉田が、石橋雅史と堀田真三の極悪兄弟(それにしても凄い兄弟だ・笑)に復讐を果たす!というもの。敵勢には空手映画恒例のインチキ武術家軍団が控えていますが、これだけでは物足りないと製作側が判断したらしく、『Gメン75』に登場した猛虎・シーザーも狩り出されています。
しかし、シーザーの存在こそ強烈ではありますが、本作はあまりにも従来の空手映画とイメージが被りすぎています。インチキ武術家軍団をはじめ、堕落した千葉治郎が倉田に喝を入れられるシーンや、主人公の野性的なキャラクター像、金塊に倒れこんで死ぬラスボスなど、過去の作品と似た場面が散見されるのです。
当時、空手映画はそろそろ時代遅れになり始めていた頃でしたが、ここまで従来と同じような内容ではウケるはずがありません。千葉が本作の出演を断ったのは、虎を相手に闘うのが嫌だったからだけではなく、ルーティンな映画作りからの脱却を望んでいたから…なのかもしれませんね。
とはいえ、時代の流れと関係のなくなった今の目で見てみると、本作はなかなか楽しめます。今回のインチキ武術家軍団も濃いキャラ揃いで、相撲取りのくせにメインウェポンが竹槍だったり(笑)、血の色が緑色な奴がいたりともうムチャクチャ!シーザーの存在もあいまって、最終決戦はテンションが高いものに仕上がっていました。
また、本作で倉田のライバルとして登場するプロ空手・大塚剛の存在も光っていて、劇中で三度も行われる2人の対決は手に汗握る好勝負となっています。なぜか空手映画では蔑ろにされることの多い大塚氏にとって、本作はベストに近い仕事だったといっても過言ではないでしょう。
ところで本作を見ていて思ったんですが、東映の空手映画は定期的にフラメンコ・ダンスを入れなければならないという約束事でもあるのでしょうか?本作以外にも『吼えろ鉄拳』や『ザ・格闘王2』など、世代を超えて色んな場所で踊っているような気が…(汗
この映画海外でも昔は『Karate vs Tiger』の題名で
激レア作品扱いでした。
猛虎シーザーは確か『Gメン75』の「Gメン対香港の
人喰い虎」にも“出演”してたなぁ♪
東映空手アクションの常連武打星である大塚剛さん
はきっと色々面白い話が訊けそうですよね。
>『Karate vs Tiger』
やはり海外でもソフト自体は出回っていたんですね。激レア状態では、ネットで探しても見つからないのも納得です。
文中でも触れていますが、今回のDVD発売は本当に嬉しかったです。追って『レッド・ティアーズ』の方も視聴したいと思っています(笑顔