功夫電影専科

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よろしくユン・ピョウ(2)『チャイニーズ・ファイター/天空伝説』

2015-04-08 23:30:17 | 元彪(ユン・ピョウ)
「チャイニーズ・ファイター/天空伝説」
原題:六指琴魔
英題:Deadful Melody
製作:1994年

▼90年代…刻々と変わり続ける香港映画界の中で、成龍(ジャッキー・チェン)らBIG3はそれぞれの道を模索していました。ジャッキーは当時の流行から距離を置き、自らのアクション・スタイルを突き詰めてハリウッドへ進出します。
洪金寶(サモ・ハン)は苦闘の時代を過ごすものの、多くの武侠片で動作設計を担当。00年代にその努力は結実し、見事に香港アクション業界のトップに躍り出るのですが、元彪(ユン・ピョウ)はどうだったのでしょうか?
 当時の元彪はつねに時流を意識し、巧みに流行を取り入れた作品に参加しています。黄飛鴻がブームになれば関連した作品を自ら製作し、キッズ・アクションが人気になれば名子役の釋小龍(シク・シウロン)と共演しました。
もちろん武侠片ブームにも乗っかり、『ユン・ピョウIN 妖刀秘伝』に続いて本作にも出演。原作は脚本家としても知られる倪匡(イ・クオン)の武侠小説で、大物女優の林青霞(ブリジット・リン)と渡り合っています。

■天魔琴――それは恐るべき力を秘めた武具で、手にした者は武林の覇者になれるという伝説のアイテムである。武林を代表する四大流派は、それを狙って管理していた天龍門を襲撃。門徒は全滅し、天魔琴は父母を殺された娘もろとも滝壺へ落下した。
それから16年後、生きていた娘は美しき林青霞に成長を遂げ、四大流派への復讐を開始する。一方こちらは[金票]局(昔の護送業者)の新たな当主として任命された青年・元彪。彼は林青霞から天魔琴の輸送を頼まれ、父と共に出立する事となった。
 彼女は天魔琴をエサに四大流派を誘い出し、策を用いて仲間割れを引き起こそうとしていた。だが、元彪が林青霞の生き別れた弟と判明した矢先に、彼の父(実は義父)が戦いの中で死んでしまう。
これが原因で2人は対立することとなり、各流派も天魔琴の破壊を目論んで行動を開始していく。師匠である陳龍の言葉で吹っ切れた元彪は、和解した林青霞に「復讐を止めよう」と訴えかけるも、彼女は聞く耳を持とうとしなかった。
対する各流派も徹底抗戦の構えを取り、とうとう全面対決の幕が切って落とされた。果たして、戦いの果てに姉弟が迎えた結末とは!?

▲こうした武侠小説を実写化した作品は、壮大なストーリーを1時間半にまとめなければならないため、ダイジェスト状態になるのが常となっています。
本作も後半から物語が急ぎ足となり、四大流派との決着やラストの幕引きも非常に呆気ないのですが、それでも無難に楽しめる内容に仕上がっていました。アクションやドラマのテンポも良く、平均的なクオリティは保っていたと言えるでしょう。
 主演の元彪と林青霞も、年齢的にムチャクチャ無理のある役柄(苦笑)を堂々と演じ切っていて、ベテラン俳優としての貫録を見せつけています。また、元彪に惚れる劉嘉玲(カリーナ・ラウ)やとぼけた陳龍など、脇役陣も実にイイ感じでした。
ただしファンタジー要素の強い武侠片ということで、アクションは特殊効果やワイヤーワークがメイン。登場人物たちは手から光線を放ち、天魔琴の攻撃によって大爆発が巻き起こるため、あまり肉弾戦は望めません。
 肝心の元彪も剣で戦うのですが、ワイヤー武侠片にありがちな飛び回る動作が中心となっており、彼の身軽さが完全に封殺されています。ワイヤーなんて使わなくても、元彪なら十分いい動きが出来るはずなんですが…う~ん。
そんなわけで、元彪の持ち味が発揮されたとは言い難いものの、それ以外については概ね及第点の本作。この手のワイヤー武侠片が好きな方にはオススメできる作品と言えますね。
 ところで本作の悪役には徐錦江(チョイ・カムコン)や午馬(ウー・マ)の他、『プロジェクトA2』の林威(デビッド・ラム)も扮しているんですが、特殊メイクがキツすぎて最初は誰だか解りませんでした(笑
さて次回は、いくつかある日本がらみの作品から一番の超大作をセレクト。詳細な内容については次回にて!

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