猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

児玉龍彦のように合理的判断できる人が政府の感染対策に必要

2021-05-05 23:01:48 | 新型コロナウイルス


きのう、TBS『報道1930』に東大先端科技研の児玉龍彦がでていて、新型コロナ感染者のもつウィルスの量に大きな差異があり、そのCt値を感染対策に活かすことができるとの話があった。

児玉は昨年の暮れに『報道1930』にでてきたとき、ファイザー社のワクチンがmRNA方式なので、免疫効果があるだけでなく安全であると、いち早く言っていたのを聞いて、彼を信用するようになった。実際、他の方式のワクチン、アストラゼネカ、ジョンソンエンドジョンソンなどは血栓症などの副反応を起こしている。

児玉は、長らく遺伝子とがんとの関連を研究していたから、分子構造のレベルで、ウイルス感染症の問題を考えることができるのだろう。

今回のCt値の活用も、児玉だからの着眼点だ。Ct値というのは、PCR検査では、ウイルスのRNAを倍々に増やすとき、何回目の増殖サイクルで、新型コロナ感染が検出されるかの値だ。倍々増殖サイクル数、Ct数が1ならば2倍、2ならば4倍、5なら32倍、10ならば1024 倍の増殖となる。

慶応大医学部腫瘍センター教授の西原広史よると、世田谷区の社会検査での陽性者、78人のうち、15回から19回で検出が10人、20回から24回で検出が17人であった。番組ではCt値24以下をスプレッダー(感染を広げるもの)とよび、Ct値19以下を特にスーパースブレッダーと呼んだ。スプレッダーで、「マスク無での会話や会食で容易に感染する」レベルになる。今回、陽性者の最大が37回であったから、スーパースプレッダーは約1000倍となる。(日本の陽性判定基準はCt値40以下。)

社会検査は、症状がでてから病院に検査にきたのではないから、無症状者と考えてよい。そのうち、スーパースプレッダーが13%、スプレッダーを含めると34%となる。これが、きのうからネットで話題になっているが、じつは、世田谷区の社会検査の結果は3月26日の定例会見で報告されている。担当記者がその重要性を見過していたわけだ。

同じゲストの国際医療福祉大の教授、松本哲哉も自分の所でCt値を調べており、同じ傾向であるという。ヨーロッパや米国のように、無症状者への無料PCR検査を政府が進めていく必要性を物語っている。

それに加え、児玉はCt値を患者隔離の基準に使うことを提案した。スプレッダーなら、自宅療養やホテル療養でなく即入院、スパースプレッダーなら陰圧室など厳格に隔離する。隔離からの解除は中和抗体ができたかを基準とする。無駄なく病床が管理できるわけだ。非常に合理的だと思う。

別のゲスト、参議員の武見敬三は「役人は児玉先生のような話をしてくれない」とぼやいていた。

さらに応用がある。感染経路の調査は手間がかかるからと、いまは簡略化されており、家庭内感染とか職場感染しかわかっていないが、スプレッダーに絞って、感染経路や濃厚接触を集中的に調べれば良い。

そのほか、児玉は、ワクチン接種(筋肉注射)をする人を医師と看護士以外にも増やしたほうがよいとか、オリンピックは中止したほうが良いとか、変異株の検査を通常のPCR検査でできるようにすべきとか、コメントしていた。

島津製作所は今年の3月17日に新型コロナ変異株をPCR検査で検出できる試薬を開発したと発表しており、4月1日から販売と検査サービスを始めている。

ワクチン接種において、接種しても重大な副反応を起こさないかという判断に医師は必要なのであり、接種自体は技量の問題であるから、訓練を受けて大丈夫なら誰でも良いはずである。問診を標準化すれば、例外事態にリモートから医師が判断することができる。

役人は先例にこだわり、柔軟で合理的な判断がしにくいから、外部から、合理的な判断のできる専門家をいれて、オープンな議論をする感染対策会議を政府は開催すべきである。

繰り返すが、児玉名誉教授は感染症の専門医でなく、分子生物学にもとづく がん研究者である。ファイザー社のmRNAワクチンといい、これまでの感染症の専門家だけでは対応できない事態にあり、学際研究者を広く感染対策班や会議に集めていくべきである。