日本政府は、軍事力拡大路線を走るために、北朝鮮のミサイルの脅威を誇大に語っている。そんなバカなことは止めて欲しい。北朝鮮の脅威はない。
2日前、TBSかテレビ朝日かのいずれかだったと思うが、午前11時台のニュースで、人工衛星打ち上げと称する北朝鮮の弾道ミサイルが日本を横断するので、官邸が自衛隊にそれを破壊するよう命令した、と報じた。
私の妻も一緒にニュースを見ていて、びっくりして私に人工衛星打ち上げロケットを日本が打ち落として良いものか、聞いてきた。私は、妻に、ニュースの原稿を書いた記者の言葉足らずだと答えた。人工衛星打ち上げと称するロケットを日本が打ち落として良いはずない。
正午のNHKのニュースで私の発言は裏付けられた。日本の領域内に落下してきたなら、迎撃しろと命令したという、いつもの破壊措置命令であった。
じっさいには、日本が落下してくる北朝鮮の飛行物体を迎撃したとは、これまで一度も聞いたことはない。迎撃できないからか、迎撃する必要がないからか、私には、わからない。しかし、結果的には、破壊措置命令は安倍晋三によってはじめられた北朝鮮脅威論の演出の1つにすぎない。
けさのニュースでは、北朝鮮の衛星打ち上げは失敗で朝鮮半島と中国の間の海に落下したという。日本を横断するというが、その軌道は沖縄と台湾の間の上空を通過するはずだった。ショボい話である。
北朝鮮の脅威は、軍備増強のために、誇大に語られているにすぎない。一部の日本人の朝鮮人蔑視の感情を利用した悪意に満ちたデマである。
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本当の北朝鮮問題は、70年前の朝鮮戦争が終結していないことである。朝鮮戦争は、アメリカ合衆国と中国・ソ連との代理戦争だった。今回のロシアのウクライナ侵攻と違って、アメリカ軍は、韓国の南端まで進撃した北朝鮮軍を、韓国に上陸して38度線まで追い返したのである。そして、休戦協定が結ばれたが、和平はしていない。
沖縄がアメリカの海兵隊の基地なのは、そのとき韓国に上陸したアメリカ軍の名残りである。
アメリカは、休戦協定を結んだ後、「共産主義陣営」の封じ込めをはかった。これを東西冷戦という。1989年のベルリンの壁崩壊以降、朝鮮半島でも、和平が求められたが、アメリカはそう動かなかった。
私は外資系に務めていたから、アメリカで韓国人の同僚と話す機会がよくあった。彼らが言うには、戦争が終わっていない、和平条約が必要だ、ということである。
韓国人の同僚によれば、朝鮮戦争を終結させない限り、韓国で軍人が政治的に強くなり、民主主義が実現できないという。
2017年のムン・ジェイン政権は、これまでのどの政権よりも安定した民主主義的政権であった。トランプ大統領に働きかけ、アメリカを巻き込んで、和平に持ち込もうとした。これに反対して動いたのが安倍晋三である。結果的にムン・ジェインの和平の試みは失敗した。
北朝鮮はアメリカを仮想敵国としている。しかも、一見矛盾して見えるかもしれないが、アメリカと貿易をしたがっている。どの国も豊かになりたいのである。アメリカの軍事力に怯えて、身の丈を超えた軍事力を持とうとしているが、本当はアメリカと戦争したくないのだ。
北朝鮮は別に日本と戦争したい理由はない。しかし、日本が北朝鮮を脅威だと言い続けて軍事力を拡張していくと、北朝鮮もいずれ日本を脅威と思うかもしれない。日本はバカなデマを言い続けるのを止めて、朝鮮戦争終結をはかる韓国の邪魔をするのをやめるべきだ。
岸田文雄も安倍晋三と同じく頭がイカレている。