猫じじいのブログ

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自民党議員の滝波宏文は間違っている、核燃料サイクル・高速増殖炉は核のゴミを減らさない

2023-03-07 03:20:33 | 原発を考える

もう、きのうのことになるが、予算委員会参議院中継を聞いていたら、福井県選出の自民党議員の滝波宏文が、放射性物質のリスクを低減するために、核燃料サイクル、高速増殖炉が必要だと言っていて、私はびっくりした。核燃料サイクルで半減期10万年の放射性物質を半減期8千年に変え、さらに、半減期300年の放射性物質にする、そして、最終処分所に埋めると言うのだ。

滝波は半減期を短くすることで安全になると考えている。これは根本的に誤っている。半減期が短いほど、頻繁に放射線をだすので、危険である。半減期が無限大ととは、原子核が自然には崩壊しない、ということで、その物質は放射線を出さない。

半減期Tが大きいとき、一定時間に原子核が崩壊する確率は0.693÷Tとなる。だから、半減期が10万年だと、1年間のあいだに崩壊する確率は、1年に0.000693%である。これは1秒あたりになおすと、0.000000000022%となる。

彼の話はあいまいで、半減期10万年と言っているものは、なんなのか、私には、わからない。

ウラン238は自然にはほとんど崩壊しない。半減期は44.7億年である。核燃料や原子爆弾に使われるウラン235も半減期7億年で充分長い。ウラン235を濃縮して核分裂連鎖反応を起こさせない限り、放射線がほとんどでない。ウランは重金属だから人間にとっては毒物であるが、それは放射性物質だからではなくて、化学反応による。

原子炉や原子爆弾ではウランの原子核に中性子を当てて人為的に核分裂反応を起こさす。重い原子核は中性子を大量に抱えるから、核分裂が起きると、中性子が2、3個放出される。これが、また、他のウランの原子核を崩壊させる。こうして核分裂連鎖が起きる。

ウラン235を濃縮して、はじめて、危険が生じる。放出される中性子は特に危険で、原発は中性子が外界に漏れないように設計されている。中性子が原子炉の水を温めて、その蒸気の力で発電を行う。

核分裂の結果生じた破片の核はさらに自然崩壊をし、放射線を出しつづける。これが核のゴミである。原子炉が壊れなければ、核のゴミは容器に閉じ込められたままで、外部に拡散しない。しかし、原子炉を稼働する限り、この核のゴミは増え続け、取り出して、どこかに保管しないといけない。これが、最終処分所の問題である。だれも引き受けを望まない核のゴミの問題のことを「トイレのないマンション」という。

核燃料サイクルでいう、バックエンド処理とは、この核のゴミからプルトニウム239、プルトニウム240を取り出し、濃縮して、もう一度、核分裂連鎖反応を起こさすことをいう。プルトニウムは燃えないウラン238に中性子があたることで、生じる。プルトニウム239の半減期は2.4万年、プルトニウム240の半減期は6.56千年である。ウランより半減期がかなり短いので、ウランより危険である。原発を稼働しない限り、プルトニウムは生じないし、他の放射性物質も生じない。

再処理でプルトニウムが取り除くと言っても、一般的な使用済み核燃料の1%にも満たない。ウラン235の核分裂連鎖反応で、プルトニウムより半減期の短い不安な原子核(分裂した核)が大量にできてしまう。

さらにプルトニウムを燃やすのはそれほど簡単でない。現在は、MOX燃料の形で、ウラン235が核分裂連鎖反応の勢いで、プルトニウムの核分裂連鎖を引き起こすのである。

開発を中止した高速増殖炉もんじゅはプルトニウムをウラン238から大量につくることを目的としている。燃えないウラン238に高速の中性子をあてて、燃えるプルトニウムを作ろうという試みである。アメリカやロシアでプルトニウム239を大量に作る、あるいは、取りだしているのは、核兵器、プルトニウム爆弾を作るためである。

核兵器を日本でも作りたいと思う議員が日本にいる限り、プルトニウムを生産する、もしくは、プルトニウムを取り出す技術の研究を進めることに私は反対である。プルトニウムを燃やすと核のゴミがまた発生し、核のゴミがふえるだけであって、核のゴミの解決にならない。核分裂連鎖反応を起こす限り、放射線を放出する核の破片が生じる。

ちなみに、自民党議員の滝波は、2013年に毎日新聞のアンケートに、憲法9条を改正して自衛隊を他国同様の「国防軍」にすべき、また、日本の核武装を国際情勢によっては検討すべき、と答えている。

滝波が不幸にして教養のない環境で育ったのかと私が思って調べてみた。じつは、彼は、東京大学法学部卒で、大蔵省にはいり、2013年に参議院に初当選した安倍チルドレンだった。無知を言い訳にできない。きのうの予算委員会の質問では、安倍晋三をよいしょし、原発のリプレース、原発が集中している福井県の優遇を訴えていた。東京大学法学部は、無教養だけでなく、人間としてのモラルの欠如している人間を作ったことを恥じるべきだ。