この歳になって、ガンになって気づいたのは、世の中には病人がいっぱいいるということである。
近所の大学病院に入院して気づいたのは、いつも病床がいっぱいであることだ。手術の後、みんなせきたてられるように退院となる。
私は退院後おしっこがでなくなって近所のクリニックに通ったがそこはもっと混んでいていた。忙しい中を診療してくれて本当にありがたいと思った。町医者も大変なのだ。
電車の駅では歩き方の変な人が目につく。どこか痛くてやっと歩いているのだろう。
診療や処方箋に保険が効くということはとてもありがたい。高額医療費制度も本当に助かった。ガンは手術したからと言ってスパッと治ると限らない。年寄りの場合はゆっくりと進行して重くなる。家庭の医学書は、病人を傷つけないよう明るく書いているが、実際はそうでない。
アメリカではオバマ元大統領が導入した国民皆保険制度に対し、トランプ政権が攻撃しているようだ。
アメリカの歴史書を見ると、ルーズヴェルト元大統領のニューディール政策以降、アメリカも福祉の方向に向かい、企業は従業員に健康保険に掛けたようだ。ところが、1980年代以降、だんだん企業も従業員の健康保険の面倒をみなくなり、無保険の国民が急増し始めた。こういう背景があって、オバマ元大統領が国民皆保険制度を導入した。アメリカが福祉制度を維持できなくなったのは、製造業の衰退と軍事費の増大にあるという。
日本に国民皆保険制度や高額医療費制度があるということは、本当に素晴らしいことだ。ところが、日本の財務省は財政難を理由にその制度を切り詰めようとしている。人間は病気になるものだ。病人を助ける制度は、地味だが、社会制度として、防衛費よりもっと重要だと、私は考える。
アメリカの場合、グロバールサプライチェンや多国籍企業や国際金融を守るため、巨大な軍事力が必要なのだろうが、日本はそうではない。そうあってはならない。日本は今後とも福祉制度を維持すべきである。
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