猫じじいのブログ

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横浜カジノ誘致は 目先の税収増のために 町の死を招く

2019-08-24 23:00:39 | カジノ反対


横浜市の林文子市長が8月22日にIR誘致を正式に表明した。

IRというが、「カジノ」のことである。合法の「賭博場」のことである。

この「カジノ」は、昨年7月27日に自民党、公明党、維新の賛成で成立した「特定複合観光施設区域整備法」によって合法化された「賭博場」のことである。

「特定複合観光施設」とはその第2条に次のように定義される。

《カジノ施設と第1号から第5号までに掲げる施設から構成される一群の施設(これらと一体的に設置され、及び運営される第6号に掲げる施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるもの》

「カジノ」とは何かも 第2条第7号に定義されている。

《カジノ事業者と顧客との間又は顧客相互間で、同一の施設において、その場所に設置された機器又は用具を用いて、偶然の事情により金銭の得喪を争う行為》

そして、この法律は251の条からなり、「カジノ」という語が1651回出てくる。なぜ、こんなに長い法律がつくられたか、合法「賭博場」といっても、「カジノ事業」が社会的モラルを崩壊させるものであるからだ。

モラル崩壊は3つに分類にできる。

 (1)ギャンブル依存症の増加
 (2)暴力団など犯罪組織の参入
 (3)政治家や役人の利権の増大

3番目の問題は、この合法「カジノ」は認可事業であって、認可する側の腐敗の種を増やすことになる。自由競争の「カジノ」ではなく、日本に3カ所しか設けず、内閣府に設置する「カジノ管理委員会」がカジノ事業者に免許を与える。この構図は、原子力発電所の建設のときと同じである。

複合施設として適切か否かの認可権は、国土交通省にあるが、カジノの認可権は内閣府にあることになる。これは、IR推進法のとき、公明党が党としての方針を決められなかったことへの、安倍政権側の反省から、一部の利権を公明党に与えることによって、「特定複合観光施設区域整備法」案への公明党の賛成を得たのであろう。

2番目の問題は、犯罪組織が犯罪で得たお金の出生を隠すために、いわゆる「マネーロンダリング」に使われる危険とともに、犯罪組織が直接「カジノ」を経営する可能性である。法律「特定複合観光施設区域整備法」が膨大のものになった理由は、この2番目を規制しようとしたからだ。

1番目は、「カジノ事業」そのものの「いかがわしさ」による。第2条に定義されているように、カジノ事業は、通常の経済行為ではない。物やサービスと金銭を交換するのではなく、「偶然の事情により金銭の得喪を争う行為」であるからだ。

理性的に考えれば、「偶然の事情」で金銭をやりとりする行為は、物やサービスのように生存欲望を満たすわけでもなく、バカバカしいはずである。生存欲望の対象でなくても、文化には、文章、ポエム、歌声、音楽、絵画、彫刻という、みんなが共有できるモノがある。

では、人はなぜ賭博をするのか。

人は、困難のとき、不安に打ち勝って、危険を冒し、新しい生活空間を作るよう、「危険を冒すことの快感」が特性として誰にでも与えられているからだ。

「賭博」とは、「偶然の事情」のもとに「危険を冒し快感を得る行為」である。だから、ギャンブル中毒、ギャンブル依存症は誰にでも起こりうる。

しかも、賭博は、この人間の特性を意味あることに使わず、どぶに捨てる。非生産的だし、新しい希望をつくり出すこともない。

これまでも、色々なギャンブルがある。しかし、結果が出るまで時間がかかったり、時間が短くても動く金額や掛け金が小さかった。株の売買は利益が出るためには時間をかけて待つ必要がある。いっぽう、パチンコはすぐ結果が出るが動くお金は小さい。

賭博はすぐに結果がでて、動く金銭の額が大きい。そして、対等な人間の間の行為ではない。胴元(事業者)と賭け手(顧客)の間の「偶然の事情」の金銭のやりとりで、胴元は必ずもうかるのである。儲からなければビジネス(事業)ではない。胴元は、「偶然の事情」のもとに生じる儲けの期待値がプラスであるように、ルールを設定し、確実に儲けるわけである。そして、賭け手がむきになればなるほど、胴元が儲かる。

2年前に、衆議院議員の江田憲司は「人の不幸を踏み台にして経済成長を図るのか、博打や賭博で儲けて、何がうれしいのか」と言った。本当にその通りだと思う。

昨日のテレビで、横浜カジノ誘致の理由を住民税が安くなるという人がいた。住民税の税率は全国で同じで、カジノを誘致したからといって、住民税は安くならない。

林文子市長が22日の会見で言ったように、税収が増えるだけで、しょうもないことに使われる可能性が十分にある。いままでも、横浜市では、無駄な公共事業が選挙目当てのために使われている。

しかも、「博打や賭博」はモノの生産でもサービスでも文化でもないから、経済成長に結びつくことはない。現在、多くの駅前に、パチンコ屋があるが、パチンコ屋が周囲の商店街の売り上げ増につながることはない。「経済成長を図る」はまったくのウソだ。子ども連れで行けない施設が増えると、町は静かに死んでいく。土建屋が一時的に儲けるだけだ。