『 ヘボのアルバム 』

“ヘボ”ちゃんをこよなく愛する蜂狂さんとのコミュウニケーションの場です・・・

     『 戦争遺跡を見る・・・ 』

2009-02-08 21:04:57 | Weblog
                 


町会活動の一環として「人権啓発」がある・・・
この世の中、「人権擁護」が叫ばれて長い。低調ながらもNPO活動等を始めとして、色々な形で活動展開している。
我住む街も地域ぐるみで視察等を通じて啓発研修を、度々、行っている。

昨日は、第2次大戦時の三菱重工業松本地下工場を視察して来た。
今日の今迄、この地にこのような地下工場があったんて知らなかった。  
解説は、松本強制労働調査団のHirakawa先生がしてくれ、一般知識を得た後、里山辺にある現地・地下工場に直行した。

あらましは、こうだ・・・
戦争当時、名古屋にあった三菱重工業航空機製作所の疎開である。疎開は、1945年(昭和20年)、松本市とその周辺地域に始まった。
戦況の悪化に伴い地下工場への疎開が計画されていた。
請け負いは熊谷組だった。地下工場は金華山と隣接する向山に計画された。周辺の中山地籍にも、同様、多くの地下工場の作業が展開されていたという。
向山の地下工場は、地下壕が平行して2本開通していた。60年も経った今日、入口後は崩壊しており位置は推定出来るが、中は覗い知る事は出来ない。
これと隣接、将来、連結されるべき金華山地下工場は、40なーセントの完成で終戦を迎えた。が、どちらの工場も稼働する事は無かった。

これ等の地下工場では、ゼロ戦の後継機と言われた「烈風」等の部品製作が主体で、機体組み立ては松本空港近在で行われる予定だったという。
当時、松本商業高校のグランドでは、「秋水」のロケットエンジンのテストも行われていた。

地下工場の建設には、当時、日本の植民地だった朝鮮と、侵略した中国から多くの人が強制的に連れて来られ強制労働に従事させられた。
当時の里山辺村長の記録余話に依ると7000人もの朝鮮人が建設工事に従事していたという。朝鮮人の数等は、資料が乏しく、特定出来る域ではない。
また、労働実態に付いては、これまで幾人かの関係者から聞き取りが行われているが、詳細は明確になっていない・・・
中山地籍の地下工場では、中国人503人が、従事していたという・・・ これは名簿があるから確かなのだろう?

松本には、松本50連隊、松本空港等ががあったので、軍部も力点を置いた軍都だった。その名残の赤レンガや連隊長が宿泊した官舎が今でも残っている。50連隊の跡地は、現在、信州大学医学部や付属病院となっている。

一般情報はこの位にして、一同28人はバスで、金華山地下工場跡地に向かった。
10数分そこそこで現地に着き、高い塀で閉ざされている鍵を開け中に入る。
山裾は、産業廃棄物が山と積まれていた。
一同、ヘルメットを被り、懐中電灯片手にこの産業廃棄物のゴミに山を10m程登る・・・そして、更に、10数m命綱を頼りに攀じ登る・・・
平地から30m近く昇ったであろうか? 北アルプス連邦が綺麗に浮かび上がって見えた。
そこで案内人Hirakawa先生が、坑道の鍵を開け中に入る。
メイン坑道は、幅4m、高さ2~3mの坑道だ。50m程進んだ所で、横坑道にぶち当たる・・・こんな坑道が荒網の目のように掘り巡らされている。十字路に当たると、そこは10坪程のスペースを確保し、此処が部品工場になる拠点だったらしい?
随所で崩壊がが見られ、行き止まり状態の坑道もあった。近頃、崩壊があったとみえ、坑内は埃で煙っていた。
この坑道は何処に行っても岩石の岩盤で、掘るのに難儀しただろう事が推測できた。先生の話に依ると、手掘りと発破作業で、崩した岩盤はモッコで50㎏/人、二人で天秤棒を通し担ぐ場合は、100㎏/2人という重量だったらしい!!!
当然、足場は悪い。所々に、カンテラの煤で書いたと思われる文字が見られた。
十字、日本国旗に×を入れたもの、熊谷等、それに坑道の深さを示す数字が、薄っすらと読み取れた。
崩壊危険があるのと、時間的制約で、多くの坑道を巡り歩く事は出来なかったが、難儀した重労働の痕跡は十二分に読み取れた。

戦争末期、日本軍は、飛行機の重要性を察知し、この増産に重点を移したようだが、本土爆撃に相なり、このような地に疎開、しかも地下壕工場!!!、軍部、軍需工場の悲壮なまでの苦しいお家の事情が理解出来た。
そして、今日、我々は、呑気な満ち溢れた豊満・贅沢な生活を横臥しているが、先人達の涙ぐましい努力の跡や朝鮮人・中国人の強制労働者の汗の跡を噛み締め、一同、うな垂れて坑道を出た。
また、坑道の中の岩盤に蝙蝠が1匹吊る下がり、眠り扱けていたのが印象的だった。朝鮮人7000人の守り神だろうか?     


松本市は、地域連合町会毎にこのような「人権啓発活動」を推進していて、これからどうあるべきか?等話し合う会合が、各町会毎に持たれている。。。。
yの町会も3月、「人権啓発」のディスカスが予定されている・・・

折しも、中東、パレスチナとイスラエルで馬鹿馬鹿しい戦闘が繰り広げられているが、これこそ人権無視も甚だしい!!! 
毎日、何の罪もない一般庶民の命が散っている・・・