日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 小泉首相の発言、もう
「靖国参拝宣言」としちゃっていいですよね?情報が集まらず中途半端になってしまった前回(そのくせ「予定調和?」などと大胆な標題)の続報です。寝て起きてみたら多少情報が出始めているようです。

 しかしまずは訂正とお詫びから。

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 ●中国側は素早く報じたものの、可燃度の高い大ネタの割には異様ともいえる静まり返ったスタンス。一晩経っても論評記事1本すら出さない(不可解)。

 ……と前回の文末で書いたのですが、「一晩経っても論評記事1本すら出さない」は間違いでした。小泉発言を伝えた『人民日報』(2005/05/17)の国際面、その右下に
「強烈的反差」(強烈なコントラスト)と題された署名論評がありまして、その中で小泉発言にも言及されていました。これはその上に位置したドイツの歴史問題に関する長文コラムの付属のような形でレイアウトされていたのでつい見逃してしまいました(言い訳)。

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 この署名論評、「新華網」にも転載されています。
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-05/17/content_2965898.htm

 「強烈なコントラスト」とはドイツと日本のことを言っているようです(中共は何事も善玉と悪玉に分けるのが大好きみたいですね)。ですから目新しい内容ではないのですが、

 ●小泉首相が謝罪した日に80余名の国会議員がA級戦犯を祭ってある靖国神社を参拝している!
 ●5月16日には小泉首相が将来も引き続き靖国参拝を行うと表明している!

 と、いちいち語尾にびっくりマークをつけるあたり、若手なのか基地外なのかわかりませんけど、さらに平頂山何たら事件に関し、被害者に対する日本政府の謝罪と賠償を求めた訴えが日本の司法によって退けられていることに言及したのは勇み足?なのか無知なのか無恥なのかわかりません。いやしくも党中央の機関紙『人民日報』の署名論評なのですから、とりあえずまずは過去に日中間で出された共同声明なり関連条約を読んでほしいものです。

 香港にもこういう勘違いに基づいた馬鹿がいて、それを応援する(選挙運動)トンチキな政治家がいたりします。その裁判が話題になるたびに骨董屋で売られている旧日本軍の発行した軍票の値段が上がったり下がったりするのですが、中国人が個人賠償を求めるならそれは中国政府を訴えるのが筋。香港人は英国政府に対してやって下さい。

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 そうやって「平頂山」「平頂山」って騒ぐものだから、ほーら同名の河南省・平頂山がとんだとばっちりを受けました。

 ●炭坑で落盤事故、8死122傷。
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/16/content_2963999.htm

 私はこういうことに黙祷したり哀れんだり合掌したりはしません。そんなことしてたらキリがありませんから。そもそも中国の労働現場では人死にが出るのはハナから織り込み済み。人命軽視は仕様ですから。9割が犠牲になって1割の繁栄を無理矢理ひねり出すような、そういう成長モデルで突っ走ってきた酬いがここ数年で出始めているのです(※1)。貧富の差とか失業とか失地農民とか党官僚の汚職、これらはそういった発展形式と無関係ではない筈です。

 本来そうしたアンバランスを是正するシステム(政治制度改革)が導入される筈でしたが、そのシステムを入れれば問題が解消されたかどうかは別として、導入しようとした総書記(趙紫陽)が、
中国より中共の延命を優先させた党中央の決定によって失脚させられてしまいました。16年前の話です。システム導入はもちろん立ち消え。

 それ以来中国経済は走れば走るほど様々な格差や対立が拡大・悪化していくという
「最悪の資本主義」(趙紫陽の弁)を十年以上続けてしまっているので、いまはもう軽く「反日」を煽っただけで党上層部がびっくり仰天する(政権維持に不安を感じる)ようなリアクションが返ってくるほど社会状況が悪化してしまっています。

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 ああ「靖国参拝宣言」の話でした。外交部報道局長の孔泉が昨日(17日)の定例記者会見(※2)でこれに言及していますが、

「歴史への反省を実際の行動に移し、中国人やアジアの人々、国際社会の信任を得ることを希望する」
(※3)

 と通り一遍という感じで、目新しいことは何も言っていません。語気でいえば対米貿易摩擦に関する反発の方が激しいように思えます。李登輝氏訪日時のような逆上&恫喝めいた言辞に比べれば、対日姿勢としてはごく普通の反発モードです。
「中日共同声明」など中日間で取り交わした3つの政治的文書の……」という言葉ももちろん出てきません。

 逆に日本側の自民党・公明党幹事長の訪中、国会絡みで一度キャンセルされたものが復活しましたが、これも「靖国参拝発言」のリアクションといえるのでしょうか。中国側の要請により一転、訪中となったそうです(※4)。

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 以上が現時点までの状況で、中国側の反発にはやはり
パワー不足の観が否めません。そんな訳で、

「実は靖国参拝ではもう日中合意が成立していて、あとは参拝時期の調整だけなのでは?」

 という下衆の勘繰りがまだ私の頭から消えてくれないのです。それとも、時間的にも党中央の腰が定まって然るべきタイミングですから、明日あたりから中国国内マスコミの攻勢が開始されるのでしょうか。

 そういえばさり気なく補助燃料の投下も行われていますよ(笑)。

 本籍:竹島、尖閣諸島、沖ノ鳥島の日本人数 答弁書で判明(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20050518k0000m010052000c.html

 まあ、今後予定されている小泉首相と呉儀・副首相の会談も含めて、私は
下衆の勘繰りを捨て切れぬまま、様子見の姿勢を崩せないといったところです。しかし有り難いものです。「反日」の乱痴気騒ぎが収まって、こちらは中だるみになりそうでしたから(笑)。


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 【※1】関連:【貴州省】総人口の半分にフッ素中毒症状【補足編】

 【※2】http://news.sina.com.cn/c/2005-05-17/19485913692s.shtml

 【※3】http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20050518k0000m030045000c.html

 【※4】http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20050518k0000m010068000c.html


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