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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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よくある話。
暴動/争議etc
/
2005-05-25 09:24:15
財界関係者とは会食しておきながら小泉首相との会談はドタキャンした
呉儀・副首相
、予定通りモンゴル訪問を順調にこなしているようですね。「緊急の公務」で帰国、とのことですが、外交部報道官の孔泉は定例会見で記者の質問に対し、
「緊急の公務?私の口からそんなことを言った覚えはないが?」
と、ひょっとこ口をいよいよ尖らせて得意満面の様子でした。まあ、「小泉首相との会談をドタキャンした上で繰り上げ帰国する」というのが呉儀に与えられた緊急の公務、とでも思っておきましょう。
今回の靖国問題については前回、前々回に皆さんからたくさんのコメントを頂きまして、色々勉強させてもらいました。情報提供も非常に有り難いものでした。その上で今後の話をしなくちゃいけない、というのはわかっているのですが、如何せんまだ頭の中で考えがまとまっていません。
例えば、中国のこれほどの強硬姿勢。外交儀礼を平気ですっ飛ばすくらいですから、昨年末の李登輝氏訪日で恫喝的言辞を弄しつつも結局行動は「なんちゃってデモ」だけだった「口だけ」のリアクションよりも
本気度
を感じます。
ガチですね。でも、
「胡錦涛、いよいよガチに出たか?」
と言うべきか、
「ガチになることを余儀無くされた胡錦涛」
なのか、といった判断材料がまだ乏しいのです。報道もバラバラで論評記事にも乏しく、統制のとれた、事前に準備されたメディア攻勢にはちょっとみえません。
そもそもその「攻勢」にしても、攻勢終末点をどこに置くかで事態が変わってくるでしょう。ただそのあたりもまだ私にはみえてこないのです。無能ですみません。
……そんな訳で、この件はあと半日か一日の御猶予を頂くとして、とりあえず暴動でお茶を濁します(笑)。ええ、某巨大掲示板に出したお古のようなものです。
――――
元ネタは香港紙『星島日報』(2005/05/24)。とりあえず訳してしまいましょう。
――――
中共革命ゆかりの地として有名な江西省・井岡山で先週の土曜(5月21日)、土地収用に伴う補償措置の内容を不満とした農民数百名が京九線・井岡山駅内に突入、線路に横たわるなどして京九線の運行を6時間ストップさせた。これに対し当局は武警(武装警察)を出動させて実力行使に及んで事態を終息させたが、その過程で多数の負傷者を出した。
京九線は中国を南北に結ぶ鉄道の大動脈とされている。この事件は北京にも伝わって国務院(中央政府)の曽培炎・副首相を驚かせ、江西省指導部に対し関連レポート提出するよう急ぎ命じたという。
事件現場は江西省泰和県の井岡山駅(吉安駅とも呼ばれている)。21日の午後、同県澄江鎮西門村の村民を中心とする数百名が駅舎に押し寄せ、駅構内に突入。駅舎の窓ガラスを割るなどしたほか、線路に横たわることで列車2本の運行をストップさせた。連絡を受けた現地治安当局は警察車両数台を出動させ、地元政府の主な指導者が現場に足を運んで説得を試みるも失敗。このとき、村民・警察双方に現場を取り巻いた野次馬を含めると1万人程度が現場に集まっていたと目撃者は語っている。
事態が打開されないまま夜を迎え、当局は防暴警察(機動隊)を現場に投入、実力行使によって村民を排除し、列車の運行を再開させた。この間、京九線は約6時間不通になっていたことになる。
西門村のある村民は本紙(星島日報)の電話取材に対し、武警(防暴警察?)が実力行使に及んだ際、村民との間で衝突が発生、双方から負傷者が出たのを目にしたが、いずれも軽傷のようだったとしている。昨日(22日?)午後には武警多数が西門村に現れ、村民たちは難を避けて各自家の中に閉じこもったが、逮捕された者が出たかどうかははっきりしないという。
この村民によると、西門村は泰和県の県政府所在地(県庁所在地)から比較的近く、このため半年前から地元政府の許可のもと、開発業者が同村の井岡山大道に沿った耕地の多くを買い上げて商品房(販売用の住宅)を建設した。ただし農民に対する補償がきわめて薄く、村民はこれを不満として何度も地元政府に掛け合ったものの、満足な回答を得られないままだった。(完)
――――
……以上、暴動というより官民衝突で、それもガラスを割ったり軽傷者が出る衝突があったりした程度のものです。ヌルいと言いますかショボいと言いますか、とにかく訳していくうちにモチベーションが下がっていきました(笑)。この程度の騒動なら、いまの中国では日常茶飯事、
よくある話
でしょう。
ええ、よくある話なんです。ただ、今回のケースは香港紙に拾い上げてもらった分、他の無数の「よくある話」よりは幸運でした。村民たちの抗議行動は、まがりなりにも日の目を見ることができたのです。この記事は台湾・中央通信が転載し、それを反体制系ニュースサイト「大紀元」が掲載しています。
さらにあろうことか和訳されて日本の片隅のこんなブログにまで載せられているなんて、村民の皆さんは夢にも思っていないでしょう(笑)。
――――
「失地農民」
という言葉が昨年の中国の流行語大賞のトップ10にランクインしました。読んで字の如し、土地を失った農民です。いつからその呼び名が使われ始めたのかは知りませんが、今ではすっかり時事用語として定着した観があります。
私のイメージするところでは、開発区の設立による土地収用や水力発電所建設で村ごとダムの底に沈んでしまうことになり、役所から補償金とは名ばかりの涙金をもらって指定された移転先で暮らすようになった農民たち……というのが「失地農民」です。代々耕してきたであろう田畑を失い、さりとて補償金では小商いひとつ立ち上げることができず、結局は日雇い労働者のような、
流民同様の境涯
に堕ちてしまった人たち。
やや具体的な像を結ぶなら、昨年秋に重慶市・万州区で発生した万単位の市民による都市暴動、その主役たちが「失地農民」だった筈です。もともと万州区自体が「移転先」として「失地農民」を数多く抱え込んでいる地区でした。
もうひとつ実例を挙げるなら、やはり四川省・漢源農民暴動でしょう。村民にとっては唐突な水力発電所プロジェクトが降って涌いて村ごとダムに沈むことになったのですが、「失地農民」の成れの果てがわかっているだけに雀の涙ほどの補償金と移転先の条件の悪さに大反発し、断固として移転を拒否。ついに10万人規模の暴動に発展した事件です。
この事件では警官隊との衝突で村民1名が死亡、多数の負傷者を出したのが第一段階。その後、当局が北京から派遣された要人(羅幹)の指揮のもと武装警察(武装警察の制服を着た正規軍との説も)2コ師団を現地に投入し、一体を封鎖して外部との交通を遮断し、現地では戒厳令状態(第二段階)。武警投入時点の衝突で村民に多数の死者が出たという噂もありますが、いまなお現地に入ることができないため実情は不明のままです。
――――
で、今回騒いだ村民たちはどうなのでしょう。買い上げられた土地が住宅地にされるぐらいですから、西門村というのは
市街地に隣接した郊外型農村
だと思います。その村民たち、
耕地を失ったという点では「失地」なのですが、自宅はそのまま残っている
筈です。ただ補償額が低いために転業もままならない。役所に陳情しても受け入れられない。そこで結集して駅舎を襲撃し、線路に寝転がって列車を運行させなくした、ということです。
村民の要求が過大なものでなかったとすれば、役所と開発業者が結託して土地評価を不当に低いものとし、それに応じた少額の補償金もあちこちで少しずつ役人に着服された後、ようやく残ったほんの一部が農民に手渡された、というのがお決まりの展開です(これについては以前書いた
「悪魔の錬金術」(2004/12/19)
を御参照下さい)。
中国語でいうところの「官逼民反」(お上が庶民を叛乱へと追いつめ、民衆がついに成否を問わず蹶起する)ですが、今回は命がけというような緊張感は感じられません。自宅がまだ残っているからでしょうか。市街地の外縁部である郊外型農村であり、駅までも歩いて来られたのでしょうから、列車もバスも走らない、駅やバス停まで1日がかりといった山間部の農村に比べれば恵まれた環境です。
どうやら私は農民たちに肩入れできずにいるようです(笑)。死人は出てないんでしょ?負傷者ったってカスリ傷程度でしょ?そんなのジャレてるだけじゃん。……という翻訳時のモチベーションから回復できずにいるからだと思います(笑)。
駅舎襲撃というのは奇矯なようでもありますが、村民たちにとっては「官」の象徴と映ったのかも知れません。警察署や政府庁舎に比べれば警備も手薄ですし。で、
線路に横になって列車の運行妨害をするというのは、結構ポピュラーな抗議方法
です。昨年にやはり四川省で炭鉱夫たちが待遇改善を求めてこれをやっていますし、やはり同省の某市(ああ記憶が……)の市民たちが物価高に抗議した際に使われた方法です。
なぜ線路にゴロリなのか、調べていけば奥が深そうで面白いようでもありますが、主題から逸れますのでまたの機会に。この村民たちは家まで取られてはいないんですから「半失地農民」というところでしょうか。郊外型農村でもありますし、大都市への出稼ぎ農民へと転化していくように思います。
――――
もうひとつ「よくある話」を。広西チワン族自治区・北海市で5月22日、建材などを輸送する
トラックの運転手たち約500名が集団ストライキを起こした
というものです。抗議の対象は雇われている会社ではなく、警察です。警官たちが勝手にあちこちで積載物チェックの検問を設置し、あれこれと難癖をつけて罰金をむしり取られる。……確かに
よくある話
です。それに堪忍袋の緒が切れたお兄さん方がとうとうストに踏み切ったとのこと(※2)。
ただのストではなく、目抜き通りの北海大道を塞ぐ形でトラックを並べたのです。ここまでやらないと注目してもらえないからでしょう。参加者である李さんによると、とにかく積載物チェックの検問があちこちにあって、仮に重量オーバーと認定されると、取られる罰金は数百元~1800元というのですから、運転手にとってはシャレにならない金額です。北京市民1人当たりの月間平均食費額が365元ですから(※3)。警官の小遣い稼ぎも度を越しているといえるでしょう。
もちろん、トラックによる目抜き通り封鎖というデモを兼ねたストライキをする一方で、運転手たちは北海市政府に請願書を提出しており、警官の違法行為を取り締まるよう嘆願しています。ただし目下のところ政府側からの回答は一切なし。このストライキ、市民からは結構支持されているようで、中でもオートバイを持っている面々などは噂を聞いて一同で声援に駆け付け、運転手や一般市民ともども警官の不正に憤りの声を上げているということです。
……以上、この記事は「大紀元」の独自報道です。「大紀元」は転載記事の方が多いのですが、オリジナル記事は法輪功関連のいかがわしいものを別とすれば、デモ・スト関連や労働争議などに強く(法輪功の地下ネットワークを生かしているのでしょうか)、しばしば香港マスコミがこれを参考にして後追い報道を行います。この記事がupされたのが昨日(24日)の23時、締め切り時点でストは2日目に突入していたそうですから、ストが事実なら何事かが起きていても不思議ではないでしょう。続報に期待したいところです。
――――
【※1】http://www.singtao.com/frame.html?forcepage=/yesterday/chi/0524eo05.html
【※2】http://www.epochtimes.com/gb/5/5/24/n932775.htm
【※3】http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/24/content_2995443.htm
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