日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 石原慎太郎・東京都知事が沖ノ鳥島まで視察に行ってきたようですね。

 ●東京都知事、沖ノ鳥島に上陸(ロイター)
 http://tw.news.yahoo.com/050520/14/1uwit.html

 この記事に上陸後の写真が出ているのですが、年齢に似合わぬがっしりした体格にライフジャケットを纏った姿で大きな日の丸を掲げて、実にいい笑顔です。あまりに爽やかなんで画像を保存してしまいました(笑)。

 国営通信社・新華社のウェブサイト「新華網」ではこのニュースをトップページに掲載して、

「日本極右分子石原……」

 という標題をつけていますが、その「極右分子」が前回の東京都知事選において、記録的な大勝によって再選を果たしたという事実を、このタイトルを付けた記者はどう分析してくれるのでしょうか。

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 先月の「反日デモ+プチ暴動」で日本大使館が襲撃され、日本料理店も破壊され、ドライバーが中国人であろうと日本車には投石されました。日本人かと念を押されて殴られた日本人留学生もいますし、タクシーによる乗車拒否などもあったとか。ああ愚昧きわまる日貨排斥もありましたね。

 さらには北京でデモが実施された4月9日、観光で天安門広場を訪れていたフィリピン人一家が中国人に襲われ、父親が刺殺されるという事件がありましたが、香港紙『サウスチャイナ・モーニングポスト』は犯人が相手を日本人と誤認して刺した可能性を指摘した記事を載せていました。

 見境なしです。

 中共当局は力づくで「反日活動」を押さえ込みましたが、こういう盲目的な行動は突発する恐れもあるので、日貨排斥の非であること、また日中関係がいかに重要かを国内メディア総動員で諄々と説いて聞かせたりしています。ただ今年は抗日何たら60周年記念。「胡錦涛政権=媚日」と目されるのも避けなければなりません。ですからその一方で、

「××(地名)で日本軍の中国侵略の新証拠発見!」

 とかいうニュースを頻繁に流している訳で、火をつけているのか消しているのかわかりません(笑)。とりあえず「反日気運」は一定のレベルで維持されているとみるべきでしょう。

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 でも見境なしにやられては困るので、「原点」に立ち返ることを国民に求めているのが目下の中共当局のスタンスのように思います。日中国交樹立時に毛沢東や周恩来がしきりに言っていたことなのですが、以前紹介した香港の親中紙『香港文匯報』の社説にそれがよく出ています。

「でも、日本の大多数の市民とごく少数の軍国主義分子は区別しないとね。大半の日本人には戦争責任はない。彼らも戦争の被害者で、中国や広範なアジア人民と友好関係をとり結ぶことを願っているんだ。」

 ……と、これです。区別です。要するに靖国に祭られている英霊の中でA級戦犯だけは分祀しろ、というのと同じ理屈です。「極右」のついた石原氏は「ごく少数の軍国主義分子」ということになるのでしょう(笑)。

 いやこれ冗談ではないんです。この社説を掲載した日の『香港文匯報』(2005/05/17)には、小泉首相を頭目とした「日本右翼の三大猛将」として小泉首相の「重臣」に町村外相、中川経済産業相、そして石原都知事の名前が挙げられ、それぞれに記事が付されています。

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 ●反中勢力を引っ張る日本の右翼三大猛将
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0505170010&cat=004GJ

 ●小泉首相
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=WW0505170002&cat=005WW

 ●石原都知事
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0505170011&cat=004GJ

 ●町村外相
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0505170012&cat=004GJ

 ●中川経済産業相
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0505170013&cat=004GJ

 ちなみにこれは売れない親中紙の記事ですけど、例えばメジャーな『蘋果日報』にこうした記事が出たとしても、香港人は底流に素朴(幼稚)な「反日感情」を有していますから、違和感なく受け止めることでしょう。

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 中国国内の報道にも毛色の変わったものが出始めました。

 ●謝罪の旅を続ける91歳の元日本兵シリーズ
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/17/content_2965920.htm(北京)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/19/content_2977645.htm(盧溝橋)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/20/content_2980415.htm(上海)

 ●八路軍の日本人部隊:抗日戦争中の「在華日本人反戦同盟」
 http://politics.people.com.cn/GB/1026/3402991.html

 91歳の元日本兵が謝罪するのは個人の信条の自由ですから構わないのですが、この人は抑留中に中共に洗脳されてしまった中帰連(中国帰国者連絡会)の人ですね。でも思想の自由ですからそれも構いません。

 ただそういう背景を持った人、つまり一般人ではありませんから、強制労働の被害者に北京のホテルで謝罪したその場に偶然新華社の記者が居合わせていたりしますし、盧溝橋で跪いて懺悔する姿もたまたまそこにいた新華社のカメラが捉えています。その後上海に回った元日本兵氏は、そこでもばったり出くわした記者にその姿を写真に撮られ、言動を記事にされています。

 こうした記事も
「日本の大多数の市民とごく少数の軍国主義分子を区別すべし」という当局の方針の下に企画・制作されたものでしょう。そんな阿呆らしい手に引っかかるか普通……と思うところですが、そこはそれ、民度が違います。記事に附随した掲示板を見る限りでは、概ね好意的に受け止められているようです(笑)。ちょっと単純すぎるぞ糞青(自称愛国者の反日教徒)。まあ単純でなければ糞青にはならないでしょうけど。

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 他にこういう記事もあります。

 ●心臓発作を救われた日本人、訪中し命の恩人と8年越しの再会
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/10/content_2938090.htm

 ●阿南日本大使夫妻(夫人は米国人)、中国が縁で結ばれる
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-05/18/content_2971631.htm

 で、私は中国国内で出始めたこうした毛色の変わった報道、これが抗日何たら60周年記念の年における日本関連報道のひとつの流れとして定着していくなら、それは第一に「大多数の市民とごく少数の軍国主義分子を区別」させるためであり、第二に
「心の準備」をさせるためだろうと思うのです。

 小泉首相はごく少数の軍国主義分子のひとりであり、それゆえA級戦犯も祭られている靖国神社に参拝したのだ。だが憎むべきはそれらごく少数の軍国主義分子であって、大多数の日本人はそうではないのだ
……てなところでしょうか。

 江沢民が植樹した仙台の紅梅が何者かにザックリ伐られた事件は未だに報じられていませんし、反日デモ絡みで日本が謝罪・賠償要求を出していることも中国国内では内緒です。また、「小泉首相の靖国参拝反対」が61%(賛成34%)に達したTBSの世論調査(※1)は報道しても、

 ●反日デモに対する中国側の対応に納得できない=92%
 ●(反日デモによる日本側の被害について)謝罪と賠償を求めるべき=85%
 ●北京五輪に不安感=74%
 ●(対中外交では)日本の立場をもっと明確に主張すべき=77%
 ●「首相の靖国参拝」賛成48%、反対45%

 ……という『読売新聞』(2005/05/18)の世論調査は国家機密(※2)なのです(笑)。

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 そこでこの記事を改めて引っ張り出します。この発言を軸に日中の足並みが少し揃ってきたように思うのです。

 ●中国、首相の参拝中止困難は分かっている…山崎補佐官(読売新聞2005/05/13)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050512ia26.htm

 自民党の山崎拓首相補佐官は12日夜のTBS報道番組で、小泉首相の靖国神社参拝について「中国側は(首相が)靖国参拝を完全にやめるのが難しいのは分かっている」と述べた。
 そのうえで、「日中双方が知恵と勇気を持って処理しようと提案があった。知恵はいろいろある」と語り、参拝中止以外の方法で事態打開を探る考えを示した。

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 日本側でも昨日(20日)、微妙な動きがありました。

 ●小泉首相:靖国参拝は私的との認識 参院予算委で答弁(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20050520k0000e010070000c.html

 ●靖国参拝「個人」を強調=私的明言せず-小泉首相答弁(時事通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050520-00000774-jij-pol

 ●靖国参拝は個人として 参院予算委で首相(共同通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050520-00000086-kyodo-pol

「『特定個人のために参拝しているわけではない。軍国主義を美化するとの批判は当たらない』と述べ、A級戦犯合祀を問題とする中国や韓国に反論した。」
(共同通信)

 と、原則的な立場は崩さないものの、その一方で小泉首相は、

「『首相の職務として参拝しているものではない。個人として参拝しているものだ』と述べ、事実上、私的参拝との認識を示した。」
(毎日新聞)

 ……と、
参拝はするけど譲る部分があるかも、というトーンになっています。

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 私は中国などが靖国参拝を云々するのは完全なる内政干渉と考えていますから、堂々と参拝すればいいという意見です。参拝反対の声が国内から上がって、議論されてもいいと思います。ただ、その議論は日本国籍を有する者の間でのみ行われるべきです。これが大原則です。

 自民党・公明党の両幹事長が訪中して胡錦涛・総書記に会うようです。小泉・呉義(副首相)会談よりも先に行われるそちらの方がヤマになるかも知れません。靖国問題では公明党の腰が砕けているのが気掛かりです。


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 【※1】http://news.sina.com.cn/w/2005-05-09/22035840975s.shtml

 【※2】報道禁止の筈なんですけど、でも「捜狐網」(sohu.com)の検索には1件だけヒットします。米国で発行されている華字紙でした(たぶん親中紙)。



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