日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 いやあ驚きました。銀髪の鉄腕オバサン・呉儀副首相が反日じゃなかった半日繰り上げで帰国しちゃいましたね。午後に小泉首相との会談が控えていたのに、
ドタキャンですかあ。

「靖国参拝の件、自公幹事長と胡錦涛の会談でほぼ流れが定まったように思うのですが、一応小泉首相と呉儀・副首相の会談をみて、その日の報道をみた上で考えたいので、一日寝かせておくことにします。」

 と前回の冒頭で書いたのは、政治は所詮人間のやることですから、何かドンデン返しのような動きがないとも限らない、だから一応慎重を期して……ということだったのですが、ドタキャンは想定外でしたねえ。

 まだ報道が揃っていませんが、靖国問題なんでしょうね、きっと。

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 このオバサン副首相、午後の小泉首相との会談はドタキャンしましたが、午前中に紅の傭兵、じゃなかった
河野洋平・衆議院議長とは会っているんですね。その場でこんなことを言っています。

「今回の訪日の目的のひとつは、両国の指導者がジャカルタでの会談で合意した内容を実行に移すことについて日本側と検討することで、両国関係における目下の困難を早急に克服し、改めて正常な発展の軌道に乗せることにある。日本側が適切に歴史問題を処理し、これ以上中日友好を損ね、中国人民の感情を傷つけることのないよう望む」

 「中国人民の感情を傷つける」というのが靖国問題を暗示した部分でしょう。中国ベッタリの河野洋平に対してもこのようにオブラートでくるんだ表現をするのですから、小泉首相と会って靖国問題という具体的なテーマに話題が及ぶのを避けたのでしょうか。

 午後には民主党の岡田幹事長(ジャスコ)との会談予定もあったのですが、ここで中国側に擦り寄るジャスコから靖国参拝の非なることを持ち出されても返答に窮する、というところかも知れません。

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 この河野洋平との会談の席上、呉儀はまた、

「中国の全人代(全国人民代表大会)と日本の衆議院の間ではすでに定期的な交流制度が動き出している。これが両国議会の往来を促進し、両国人民の相互理解と信頼を深めることにもなると確信している」

 とも言っています。
そんなこと言っていて自分がドタキャンしてるんじゃ逆効果じゃないですか。まさに言行不一致。

「急用ということなら仕方ないが、日本の多くの国民は非礼との気持ちを抱くかもしれない」

 と、自民党の安倍晋三・幹事長代理が指摘する通りです(※2)。やーい呉儀が逃げた逃げた、と思われても仕方のない行為ですね。というよりマスコミはこの部分を強調し、ドタキャンの理由について追撃すべきです。

 それから呉儀に一言。
全人代を議会と呼んで衆議院と並べるのは金輪際やめて頂きたい。普通選挙が大原則の衆議院、またそのシステムで選ばれた衆議院議員への侮辱に他ならないからです。一党独裁制で普通選挙のカケラもない野蛮国と一緒にするな、ということです。



 ●日中関係修復に冷や水 憶測呼ぶ呉儀副首相帰国(共同通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050523-00000182-kyodo-pol

 「わたしは悪い影響を与えないようにしてきたのだが、分かりませんね」。首相は靖国参拝との関連を記者団に聞かれ、ぶぜんとした表情で答えた。外務省首脳も記者団に対して「理由を説明すべきだ。最低限の国際マナーは守ってもらいたい。先の大使館への破壊活動と一脈通ずるものがある」と中国側の対応に不快感を表明した。




 小泉首相の「ぶぜんとした表情」、それに外務省首脳の、

「最低限の国際マナーは守ってもらいたい」
「先の大使館への破壊活動と一脈通ずるものがある」

 とは実に時機を得たリアクションです。

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 これで靖国参拝に道が開けましたね。

 自公幹事長は胡錦涛・総書記との会談で明らかに位負けしていましたが、それでも訪中期間中の一連の会談において、
守るべき一線は守ったということでしょう。この訪中は中国側が日程調整までして要望し、実現した異例のものだったのですが、その結果は中国側の望んだ形にはならず、現状に対する突破口(靖国参拝中止を確約させる)にはならなかった。……と中国側は判断したのではないでしょうか。

 それにしても国内での急務ですか。呉儀は先ごろ兼任していた衛生部長のポストを後進に譲っていますから、対外貿易か香港問題で半日の猶予もならぬ突発的事態が発生した、という大事件にしてはじめて成立する言い訳なんですけど、現時点までに流れている報道を見る限り、そういうことは起きていないようですね。

 ドタキャン帰国、真の理由はどうあれ、日本側に点を稼がせることはあっても、中国側の得になることを見い出し難い行為だと思います。

 情報が揃ったらまた書きます。


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 【※1】http://news.xinhuanet.com/world/2005-05/23/content_2990627.htm

 【※2】http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20050523STXKB026523052005.html


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 【訂正】呉儀・副首相、兼務していた衛生部長のポストは最近後進に譲ったものの、副首相としての担当は対外貿易・衛生方面ということで、衛生部との縁は切れていない模様です。この点、私の認識に誤りがありました(本文及びコメント欄参照)。訂正してお詫び申し上げます。(2005/05/24/14:51)





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 靖国参拝の件、自公幹事長と胡錦涛の会談でほぼ流れが定まったように思うのですが、一応小泉首相と呉儀・副首相の会談をみて、その日の報道をみた上で考えたいので、一日寝かせておくことにします。

 で、たまには人事の話をしようかと。消息筋情報なども混じっているので確度にはやや疑問符がつくのですが、こういう話はやっぱり面白いので捨てておけません(笑)。

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 福健省における人事異動が21日、中国国内で発表されました。中台交流の最前線であるアモイ市、そのトップである
鄭立中・同市党委員会書記(市党委書記=市のトップ)が北京へと栄転となり、党中央台湾事務弁公室の第一副主任及び国家台湾弁公室副主任に就任したというものです。

 中国国内では21日なのですが、この人事、香港の親中紙の筆頭である『香港文匯報』では18日付ですでに報じられていました。親中紙はこういうところで重宝します。

 同紙によると、鄭立中氏は54歳、福健省生まれでこれまでもずっと省内のポストを歴任、その仕事への精励ぶりと台湾人脈、また進出台湾企業のオーナーらの受けもよく、これらを買われての中央入りのようです。党中央台湾事務弁公室にはこれまで福健省のポストを経験した者はいても福建出身者はおらず、また定年退職してポストが空くこともあり、今回の人事となったようです。

 ……と書くと普通の異動のようです。が、台湾・中央通信が伝えた消息筋情報によると、
その背景には、江沢民時代の面子で固められていた中央の対台湾窓口(党中央台湾事務弁公室、国家台湾弁公室)をこの機に顔ぶれを入れ替え、胡錦涛が対台湾政策での主導権を握ろうとする狙いがあるということです。

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 これによって、というよりこれを契機に、というべきでしょうか。福建省内でも比較的大きな人事異動が行われました。鄭立中氏の中央入りもありますが、最近福建省で発生し、合計8名の地元党幹部が逮捕されるに至った「遠華事件」(頼昌星事件)、「陳凱事件」といった汚職事件で同省指導部が動揺しているところに胡錦涛が斬り込んだ、という側面もあるようです。

 まず、空白となったアモイ市党委書記の座には
何立峰・福州市党委書記が転任。広東人ですがアモイ大学で学び、卒業後も福建省のポストばかりを歴任しています。現在50歳で修士過程修了と学歴も高く、何よりも政治的バックボーンがしっかりしている(具体的な内容は不明)ことから、将来の福建省指導者、と目されている人物です。

 何立峰氏の後任には
袁祥同・福健省党委常務委員が就任、また劉可清・省国土資源庁副庁長がショウ州市党委副書記(ショウ=さんずいに章)に転任していますが、これらはいずれも昇格人事です。

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 香港で『香港文匯報』に次ぐ親中紙である『大公報』(2005/05/21)はまたこれ以外の注目人事として、

 陳少勇(福建省寧徳市党委書記)→福建省党委秘書長
 張燮飛(福建省龍岩市党委書記)→福建省統一戦線部部長

 を挙げています。とは、この二人が
二人とも胡錦涛派ともいうべき共青団(共産主義青年団=ユース共産党)人脈に属するのです。両氏とも福建省共青団出身で、陳少勇氏は福建省共青団委書記を務めたことがあり、張燮飛氏は共青団第十一期中央委員会委員でした。

 このため、一連の異動は相次いだ汚職事件の残像を一掃するための大幅な入れ替えであるとともに、台湾との交流の最前線である福建省の指導部に胡錦涛が見込みのある後輩を送り込んだ一面もあります。陳氏、張氏とも年齢はまだ40代、いわば若手のホープといったところです。

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 一連の人事は北京の党中央組織部と福建省党委員会の主導によって行われたとされています。個人的には、
胡錦涛派の浸透(若手の送り込み)と同時に、福建閥というものがもしあるとすれば、その台頭を予感させる人事のように思います。福建省といえば古くは王兆国、いまなら賈慶林といった名前が浮かびますが、台湾との交流が拡大・深化するなか、新進気鋭の若手官僚が一種の政治勢力を形成していくことがあるかも知れません。

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 これとは別に、昇格が噂されながら、結局はなり損ねたという話もあります。
広東省・肇慶市の林雄・党委書記、この人は以前、今をときめく温家宝・首相の秘書でした。海南島出身で当年46歳、1990年から1994年まで党中央弁公庁主任として温家宝の秘書を務め、その後は広東省に転任。東莞市党委副書記、茂名市市長を経て現職の肇慶市党委書記となっています。

 噂の出処は香港紙『成報』でした。黄麗満・深セン市党委書記が広東省人民代表大会主任へと転ずることで、その後継人事の有力候補として林雄氏の名前が挙げられたのです。市のトップである市党委書記が転任することで、その後任には現職の深セン市長・李鴻忠が昇格し、林雄はその後釜の市長に収まる、というものでした。

 ところが、広東省の人事部門は深セン市の新たな指導部メンバーとしてまず候補者21人を選抜し、ここから16人を選ぶ形をとったところ、李鴻忠の党委書記昇格は実現しましたが、
林雄はこの人選に洩れてしまったとのこと。

 温家宝はかねがね深セン市指導部の政策運営に不満があったようで、何度か視察した折にも小言を言っています。深セン側が今回の人事でこれに反発してみせたのかどうかはともかく、
自分の元秘書が一顧だにされなかったというのは、温家宝にとって面白い出来事ではなかったでしょう。

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 以上、こういう話は現地在住で地元当局と往来のある方ならいろいろ詳しく御存知なのでしょうが、東京にいる私は香港・台湾メディアや反体制系ニュースサイトの飛ばす情報に頼るほかありません。面白い情報(小道消息)があれば、人事に限らずぜひ御一報をお願い申し上げる次第です。


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【参考資料】
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/19/content_2977283.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/20/content_2979634.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/21/content_2983431.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/21/content_2984538.htm
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505180001&cat=002CH
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505180002&cat=002CH
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505180003&cat=002CH
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505180004&cat=002CH
 http://tw.news.yahoo.com/050519/19/1ugcv.html
 http://tw.news.yahoo.com/050521/43/1v0nz.html
 http://www.atchinese.com/2005/05/0519rep3.htm


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