●生活保護費3割増
28日に公表された名古屋市の新年度当初予算案は、一般会計で1兆499億円と2年度連続で1兆円を突破した。減税のための行財政改革を推し進める河村たかし市長の下で行政のスリム化は進んだものの、生活保護費に過去最高の863億円を計上するなど長引く不況対策などでの義務的な経費がかさみ、総額では4年連続の増額予算となった。
新年度予算案について河村市長は「2012年度から減税を実現するための予算」と説明した。河村市長が目指す恒久的な市民税10%減税は、減税しない場合に比べて、年間で約220億円程度の税収減となる。昨年末の市議会で減税実施のための関連条例案が否決され、新年度は減税が実施されないが、河村市長は恒久減税条例案が可決し、12年度以降の減税実施に備えた予算編成を指示。将来にわたって安定的に減税財源を確保するため、行財政改革を前面に打ち出した予算編成になっている。
行財政改革では、いずれも一般財源ベースで、市職員の定員を248人減らすとともに、市選挙管理委員会や教育委員会委員の報酬を月額から日額に切り替えるなど、人件費関係で18億円を捻出した。市役所庁舎の管理経費等を切りつめ、20億円を削減。外郭団体も事業内容や経営状況を見直して2億6千万円を減額した。歩道橋や市科学館のネーミングライツの導入では、4400万円の民間資金を獲得など増収策にも取り組んだ。
一方で、生活保護費は長引く不況の影響で当初予算ベースで863億円と過去最高を計上。政府の子ども手当の3歳児未満の増額を見越して486億円を計上するなど義務的に発生する経費が増大、結果的に全体の予算規模を押し上げる要因ともなっている。
また、新年度予算案では減税のための財源159億円を重点的に福祉や景気対策に配分したことも特徴だ=表。
待機児童の解消のための保育園の重点整備や、中学生までの通院医療費の無料化などに積極的に予算を投入。中学生までの通院医療費無料化を実施。減税財源5億7千万円を含み、前年度比で8億円積み増し、総額で85億円とした。また、待機児童の解消のために民間保育所の新設・改築に3億8千万円を投入。高齢化の進展に備え、特別養護老人ホームの整備にも、追加の2カ所分175人分の整備費に2900万円つぎ込む。景気雇用対策としては、道路や河川の補強工事の前倒しや学校施設の改修に5億2千万円も盛り込んだ。
12年度から減税が実施された場合、これらの福祉、景気対策予算が削られる恐れもあるが、河村市長は28日、記者団に対し「12年度にサービスが後退することがないよう、行財政改革を進めて財源を確保したい」と述べた。
朝日新聞 -
28日に公表された名古屋市の新年度当初予算案は、一般会計で1兆499億円と2年度連続で1兆円を突破した。減税のための行財政改革を推し進める河村たかし市長の下で行政のスリム化は進んだものの、生活保護費に過去最高の863億円を計上するなど長引く不況対策などでの義務的な経費がかさみ、総額では4年連続の増額予算となった。
新年度予算案について河村市長は「2012年度から減税を実現するための予算」と説明した。河村市長が目指す恒久的な市民税10%減税は、減税しない場合に比べて、年間で約220億円程度の税収減となる。昨年末の市議会で減税実施のための関連条例案が否決され、新年度は減税が実施されないが、河村市長は恒久減税条例案が可決し、12年度以降の減税実施に備えた予算編成を指示。将来にわたって安定的に減税財源を確保するため、行財政改革を前面に打ち出した予算編成になっている。
行財政改革では、いずれも一般財源ベースで、市職員の定員を248人減らすとともに、市選挙管理委員会や教育委員会委員の報酬を月額から日額に切り替えるなど、人件費関係で18億円を捻出した。市役所庁舎の管理経費等を切りつめ、20億円を削減。外郭団体も事業内容や経営状況を見直して2億6千万円を減額した。歩道橋や市科学館のネーミングライツの導入では、4400万円の民間資金を獲得など増収策にも取り組んだ。
一方で、生活保護費は長引く不況の影響で当初予算ベースで863億円と過去最高を計上。政府の子ども手当の3歳児未満の増額を見越して486億円を計上するなど義務的に発生する経費が増大、結果的に全体の予算規模を押し上げる要因ともなっている。
また、新年度予算案では減税のための財源159億円を重点的に福祉や景気対策に配分したことも特徴だ=表。
待機児童の解消のための保育園の重点整備や、中学生までの通院医療費の無料化などに積極的に予算を投入。中学生までの通院医療費無料化を実施。減税財源5億7千万円を含み、前年度比で8億円積み増し、総額で85億円とした。また、待機児童の解消のために民間保育所の新設・改築に3億8千万円を投入。高齢化の進展に備え、特別養護老人ホームの整備にも、追加の2カ所分175人分の整備費に2900万円つぎ込む。景気雇用対策としては、道路や河川の補強工事の前倒しや学校施設の改修に5億2千万円も盛り込んだ。
12年度から減税が実施された場合、これらの福祉、景気対策予算が削られる恐れもあるが、河村市長は28日、記者団に対し「12年度にサービスが後退することがないよう、行財政改革を進めて財源を確保したい」と述べた。
朝日新聞 -