ゴエモンのつぶやき

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ニュースUP:障害者雇用率「最高」1.68%の陰で

2011年03月10日 02時04分39秒 | 障害者の自立
<おおさか発・プラスアルファ>

 ◇主は非正規「解雇」横行

 鉄道会社に大手保険会社、教科書出版社……。難病と闘う大阪市内の堀井孝則さん(29)の勤務履歴には名だたる企業が並ぶ。障害者雇用枠で採用されながら、「健常者より仕事が遅い」と唐突に解雇されたり、意に染まぬ転職を余儀なくされてもきた。堀井さんの半生をたどると、統計では分からない障害者雇用の実態が見えてくる。

 ■サポートなく

 堀井さんは生まれて間もなく、先天性の難病「ムコ多糖症2型」と診断された。代謝がうまくできず臓器や組織の働きが失われる病気で、重症だと命にも関わる。そのため堀井さんには心臓に疾患があり、両耳に補聴器を付け、細かい字を読む時はルーペを使う。手足の関節も不自由だ。

 国は従業員が56人以上いる企業などに、堀井さんのようにハンディキャップを抱える人を一定数雇うよう法律で義務付けている。会社によっては専用の採用過程を設けており、堀井さんも障害者枠で企業や自治体の採用面接を受けてきた。

 09年10月に入社した大手保険会社でも、障害者枠で1年契約の嘱託社員になった。求人票には「障がい者の方にも働きやすい環境づくりを目指しています」と書かれていた。「細かい作業には、どうしても時間がかかります。それでもいいですか」。堀井さんが尋ねると、採用担当者は「大丈夫」と答えた。

 しかし「看板倒れ」は働き始めた日に痛感させられた。堀井さんは目が不自由で、初めての職場で席やトイレ、業務に必要な物を自力で探すのは難しい。ところが案内されたのは自席だけだった。トイレの場所を聞こうと見回すと、近くの社員はさりげなく顔を背けた。仕方なく、会社を去る日までトイレは近くの駅で借りた。それでも書類整理の仕事に打ち込んだ。

 ところが1カ月半たった、ある日の朝だった。「健常者よりも仕事が遅いから」との理由で解雇を言い渡された。試用期間すら満了していなかった。「障害者と分かってたんじゃないんですか」と言うと、人事担当者は「予想以上にスピードが違うと分かり、勉強になりました」と突き放した。

 「それまで注意は一切なくいきなりの解雇です。健常者でそんなことがありますか」

 ■派遣に置き換え

 理解してもらえなかったのは、この会社に限らない。就労を巡る堀井さんの闘いは、病状が落ち着いた03年ごろから続いている。選考を通った後、健康診断で落とされることが続いた。くじけず40社以上の面接を受けた。

 努力が実って04年に契約社員の職を得た鉄道会社では、大規模工事の会計も担当し、やりがいがあった。しかし06年に事務部門で派遣の受け入れが始まると風向きが変わってきた。従来の堀井さんの仕事は徐々に派遣に回された。06年秋には閑職に回され、仕事は一切なくなった。

 データ整理などの仕事を自力で探したが、1年たっても好転しなかった。契約満了前の07年末、耐えきれずに辞表を出した。祖父や父と同じ鉄道マンは幼い頃からの夢だっただけに悔しかった。次の契約先でも社員から無視されたり体の特徴を笑われ、8カ月で辞職に追い込まれた。

 堀井さんがこれまでに受けた会社のほとんどで提示された雇用形態は契約・嘱託だった。「将来を考え不安に思ったこともあるが、最近は先のことを心配するより働ける一日一日を大事にしています」と複雑な心境を吐露する。

 厚生労働省は昨年10月、障害者雇用率が1・68%(昨年6月現在)で過去最高だったと発表した。しかし実態は堀井さんの体験が物語るように十分ではない。長引く不況の影響で、解雇される障害者の数も高止まり傾向だ。

 厚労省によると、09年度に解雇されたのは2354人。非正規労働者の雇い止めや辞職に追い込まれた例も含めると実数はもっと多いといわれる。10年7月の法改正で、雇用率未達成の場合、納付金を課せられる企業の範囲が広がったが、効果は未知数だ。

 ■「数合わせ」の側面

 障害者の人権問題に取り組む「働く障害者の弁護団」代表の清水建夫弁護士(東京弁護士会)は、こう指摘する。

 「多くの企業が法定雇用率の“数合わせ”のため、切りやすい非正規で障害者を雇っている。退職金もなく契約期間も限られた非正規では、労働者の権利を守りきれない。欧州などでは障害のある人がない人と共に社会で暮らすことが当然になっている。そのため雇用機会均等を保障する法制度や環境整備が進んでいるが、日本ではそもそも障害者が社会で働くことへの認識が十分に広まっていない。障害者が不安定な雇用形態を強いられる背景に、企業が労働者全般を大切に考えなくなっていることも挙げられる」

 堀井さんは介護ヘルパーの母と一緒に家計を支え、8歳離れた弟の学費も工面した。闘病のため一度は大学進学を諦めたが、就職してから法政大(東京都)の通信教育部に入学し、全国に学友ができた。日本史に造詣が深く、史跡巡りの旅行記を同人誌に寄せては「小説家になれれば」と目を輝かせる。

 幸い、現在の職場は仕事内容も人間関係も充実し、生まれて初めて名刺も支給された。ミスした時は「自立できるように頑張れ」と上司に叱られ、期待される喜びを知った。福利厚生も正社員並みで、年度をまたいだ仕事の指示も受ける。「非正規、正規雇用の垣根を越えて従業員を大切にしているから、安心して働ける」と話す。

 前向きに生きる堀井さんならではだと思う。ここまでの道のりは並大抵ではなかったはずだ。

 障害者の雇用率や解雇者などの数に潜む一人一人に、堀井さんのように家族がいて、生活があり、夢がある。貴重な人生に対して、偏見があってはならないと思う。

毎日新聞 2011年3月9日 大阪朝刊

福祉ナビ:色覚障害者に配慮したカラーユニバーサルデザインとは。

2011年03月10日 02時01分46秒 | 障害者の自立
 ◆色覚障害者に配慮したカラーユニバーサルデザインとは。

 ◇色数絞りシンプルに 案内表示、電子掲示板…公共施設で普及進む

 地図、乗り換え案内、電子掲示板……。街にはさまざまな色の表示があふれているが、色を区別しにくい人にはかえって分かりづらいこともある。そこで注目されているのが、色覚障害があっても情報が伝わるように配慮した「カラーユニバーサルデザイン」(CUD)だ。公共施設などで取り入れる動きが広がりつつある。

 ◇

 東京都足立区の男性会社員(36)は、銀行や病院の窓口にある番号呼び出し機の数字が読み取れない。一般的な呼び出し機は黒いボードの表面に赤い光で数字が点灯するが、赤と黒を識別できない障害があるため、数字と背景の違いが分かりにくいのだ。

 こうした住民の声を受け、区は09年、庁舎内の住民票窓口などにある表示機を数字が白色に点灯するものに変えた。男性は「これまでは自分の番号が来るまで機械の呼び出し音にずっと注意していなければならなかった。小さいことだが助かる」と話す。

 足立区は08年以降、公共施設や住民サービスに順次CUDを導入している。その一つが防災マップ。以前は多くの色を使って避難所の区域を示していた。一般の人には見やすかったが、色覚障害のある人は紫とピンクの違いが分からず、緊急時に役立たない可能性があった。現在のマップは4色に絞り、白抜き文字なども多用して見やすくした。

 昨春開校した足立区立の小中一貫校「新田学園」では、校内の案内表示板の配色をシンプルにし、現在位置だけをオレンジ色にして、白抜き文字で「現在地」と表示。トイレの位置も分かりやすくした。区学校施設課は「使う色をできるだけ減らし、知りたい情報が浮き出るようにデザインした」と説明する。

 また、「学校の黒板の文字は白や黄色の見やすい色を使う」「カラー印刷物は明るい色同士、暗い色同士の配色を避ける」など、CUDを行政サービスに生かすための25項目のチェックリストを作成。職員らに徹底を求めている。

 ◇

 視覚障害のマークは「太陽」、聴覚障害は「鳥」、知的障害は「葉っぱ」--。今年4月に開校する神奈川県立相模原中央支援学校(相模原市)では、教室のドアを障害別に色分けするとともに、それぞれにシンボルマークをつけ、色覚障害がある子にも分かるよう配慮している。田中宏明教頭は「どんな障害があっても生活しやすいように工夫した」と話す。

 神奈川県は09年に「みんなのバリアフリー街づくり条例」を制定。業者が病院やホテルなど公共性の高い施設に標識などを設ける際、県と事前協議することを義務付けた。

 しかし、こうした自治体はまだ少数だ。NPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構」の田中陽介事務局長は「CUDを担当する部署が福祉なのか都市計画なのかはっきりしないことも一因だ。先進的な自治体を参考に、行政組織の中で横断的に取り組んでほしい」と指摘する。

 ◇

 民間の取り組みは公共交通機関を中心に進んでいる。大阪と神戸、京都などを結ぶ阪急電鉄は昨年3月のダイヤ改正で、駅に掲示する時刻表案内板にCUDを導入した。

 これまでの同社の時刻表は、特急の出発時刻を赤色、準急を緑色にしていたが、色覚障害がある京都市の白浜徹朗弁護士(51)が「赤と緑が区別できない」として、京都地方法務局に人権救済を申し立てた。これを受け、同社は見分けやすい色調に変えた。

 白浜弁護士は「私の場合、見づらいものは人間が作り出したものが多い。作り手が見やすいものを作るように配慮するだけで、世の中はもっと暮らしやすくなるのではないか」と話す。

 都交通局でも大江戸線など4路線で、運賃の掲示板を色弱者が分かりやすいものに交換している。

 ◇先天性の色覚障害、男性の20人に1人

 先天性の色覚障害は男性の20人に1人、女性の500人に1人の割合で起きると言われている。障害の程度が重く視界全体がモノクロに見えている人もいるが、大半の人は複数の色が組み合わさった時に識別しにくい程度という。

 東京女子医大非常勤講師の中村かおる医師(眼科)によると、見えにくくなるのは、例えば(1)赤と緑(2)緑と茶色(3)青と紫--などが隣接した場合という。中村医師は「自分の見え方の特徴を把握しておくことも大切だ」と指摘する。

毎日新聞 2011年3月9日 東京朝刊

ホームドア設置、ソフト面でも安全対策を

2011年03月10日 01時58分48秒 | 障害者の自立
 ホームドアの設置について検討を進めている国交省の検討会に、視覚障害者団体の代表らが出席し、ホームドアをはじめとする安全対策の推進を求めました。

 国土交通省は、ホームからの転落事故をなくすため、乗降客の多い駅へのホームドアの整備促進を目指し、省内に検討会を設置して検討を進めています。9日の会議にはJRなど鉄道事業者のほか、視覚障害者団体や身体障害者団体の代表らが参加しました。

 視覚障害者からは、鉄道を安心して利用できるようにホームドア設置などのハード面だけでなく、駅員や乗客らのサポートや普及啓発活動など、ソフト面も含めた安全対策の推進を求める意見が相次ぎました。

 JR東日本が、山手線の全ての駅へホームドアを設置する計画を前倒しで進めるなど、鉄道事業者各社がそれぞれ対応を進めていますが、大畠国交大臣も政府として支援する方針を示しています。(09日18:55)

TBS News

新燃岳噴火:がんばっどぉ宮崎 聴覚障害者、緊急情報伝わるの? /宮崎

2011年03月10日 01時56分40秒 | 障害者の自立
 ◇牧野さん夫婦、避難など不安消えず

 ◇聴覚障害者、心配の声多く

 噴火活動が続く新燃岳の周辺では、耳が聞こえず、緊急情報などが伝わりにくい聴覚障害者たちも生活している。いざという時「避難できるのか」「情報は伝わるのか」と心配する声は多い。都城市山田町山田に住む牧野一実さん(61)、律子さん(59)夫婦も聴覚障害者だ。

 1月26日、夫婦は市内に車で買い物に出かけた帰りに噴火に遭遇した。空は暗くなり、フロントガラスには灰が降りしきった。「何かが起きた」と感じた。やがてテレビのニュースが新燃岳の噴火を伝えた。

 火山情報を得る手段は、同居している健聴者の長男からの連絡と、主にテレビのデータ放送。毎日3回、必ずチェックしている。それ以外は空を見ることぐらいしかない。窓などがガタガタと鳴る「空振」にも気付かなかった。

 日中、長男は仕事でいない。「2人だけでもし何かあったら、絶対に避難は遅れる」と一実さんはいう。律子さんは近所の人に「何かあったらメールで教えてね」とお願いしているが、不安は消えない。

 市によると、避難が必要な場合、障害者らを含む要援護者に一軒一軒電話やファクスをする。連絡が取れない場合は直接訪問する態勢を敷いている。夫婦が住む地区は避難対象地域ではないが、仮に避難所生活になった場合も「食事の連絡に気付かなかったり、周りの人とのコミュニケーションも取れないだろうし……」(律子さん)と心配事は尽きない。

 阪神大震災(95年)では避難所で孤立する聴覚障害者が相次いだこともあり、全日本ろうあ連盟は「避難所でホワイトボードを設置するなど、聴覚障害者への情報保障に配慮してほしい」と要請している。

 不安な生活が続くが、県内外の友人や親族から届く携帯メールには勇気づけられている。「大丈夫ですか」「元気?」と安否を気にかける言葉は何よりうれしい。

 律子さんは「いざという時、私たちのような聴覚障害者にも情報が伝わるようにしてほしい」と話している。

毎日新聞 2011年3月9日 地方版

2台連動型のロボットスーツ=リハビリに応用期待-筑波大

2011年03月10日 01時54分59秒 | 障害者の自立
 高齢者や障害者の歩行などを支援するロボットスーツ「HAL」を開発するベンチャー企業「サイバーダイン」(茨城県つくば市)社長の山海嘉之筑波大教授は9日、東京都内のシンポジウムで、下半身のリハビリに役立つ2台連動タイプを披露した。
 理学療法士らが親機を装着して脚を動かすと、子機を装着した障害者らの脚が同じように動く。障害者が脚をうまく動かせない感覚を、子機から親機を通じて理学療法士にフィードバックさせる仕組みも導入したいという。(2011/03/09-20:46)



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