日本共産党 群馬県議会議員 酒井ひろあき

あなたとつくる、希望の群馬。

ハンセン病療養所の職員削減を告発~東京で市民集会

2012年11月06日 | ハンセン病

全国13のハンセン病療養所で医師や看護師などの職員が削減され、入所者のいのちと人権が脅かされる中、こうした実態を告発する市民集会が5日、東京都内で開かれ、参加してきました。群馬からチャーターバスなどで32人、全体で約480人が、入所者らの声に耳を傾けました。議員連盟代表のあいさつに続き、日本共産党の塩川鉄也衆院議員、田村智子参院議員ら各党国会議員が紹介されました。

60年前に1万人いたハンセン病療養所入所者は現在2096人。平均年齢は82.1歳で、80歳以上は66%。寝たきり8.8%、認知症22.2%、食事介助26%など高齢化と介護を必要とする入所者が増えています。

神美知宏全療協会長は「行政改革の名のもと、医療・看護・介護の職員が減らされ、入浴や食事介助もままならない状況だ。ハンセン病問題基本法で定められた国の義務が棚上げされ、形骸化されている」と告発。法の完全実施を強く求めました。

谺雄二さんは「国賠訴訟に勝利し、基本法が制定され、被害が回復できると思っていたが裏切られた。暑い日も寒い日も入浴は週3回だけ。この不自由さはどこからきたのか。それはハンセン病になったからではなく、国の政策のために不自由になったのだ」と痛切に訴えました。

入所者の玉城シゲさん(94)らが「人間として、女として、生きていくことを許されなかった。人間であって人間でない。悪法の中、生かされてきた。悲しくて死ぬこともできない」と、ハンガーストライキも辞さない決意を語りました。

最後に徳田靖之弁護士は約束を果たしていない政府に怒りを述べたうえで「90歳を超えた入所者にハンストをさせてはならない。来年度予算の骨格が固まるまでが勝負。今こそ大きな立ち上がりをつくろう」と支援を呼びかけました。

県議会でもたびたび取り上げてきましたが、職員不足がこんな事態になっているとはショックでした。もっともっと世論に訴えていかなければ。

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ハンセン病療養所栗生楽泉園で療養祭~子どもたちともふれあい

2012年09月05日 | ハンセン病

地元での定例朝宣伝の後、草津町のハンセン病療養所栗生楽泉園で行われた療養祭に初めてお邪魔しました。子ども神輿が園内を一巡。中央会館ホールでは、有名芸能人のコンサートが開かれ、屋外では焼きそばや焼きトウモロコシなどがふるまわれるなど、入所者や職員、来園者は楽しいひと時を過ごしました。
楽泉園をめぐっては、元患者を中心とした“人間回復裁判”によって、損害賠償やハンセン病に対する差別・偏見の克服、入所者の処遇改善が一定前進しました。しかし、国の社会保障削減政策が強まるもと、医師や看護師の定員割れ問題が深刻となっています。また、地域に開かれた総合医療福祉施設をめざす将来構想をどう具体化していくか、最後の一人までの在園保障など、多くの課題が残されています。
入所者の高齢化が急速に進む中で、ハンセン病問題は決して「過去の問題」ではありません。入所者とふれあうなかで、そのことを改めて強く感じました。

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ハンセン病問題で県要請~不誠実な回答に批判の声相次ぐ

2012年07月02日 | ハンセン病

ハンセン病問題の全面解決に向けて活動している谺雄二全国原告団協議会会長らが2日、県庁を訪れ、保健予防課に要請を行いました。要請したのは、谺さんのほか、ハンセン病療養所草津栗生楽泉園の藤田三四郎自治会長や「ともに生きる会」の人たち。私と伊藤県議が同席しました。
要請内容は
①無らい県運動(戦前、ハンセン病患者を見つけ出し、療養所に強制隔離し、根絶やしにしようという人権侵害行為)を検証するための委員会の設置
②藤楓協会の名称変更
③キャンプツアー(福島の子どもたちを草津に招いて思いっきり遊んでもらおうという企画)への支援 などを求めました。
懇談の中で、前回(2月)から全く進展の見られない県の不誠実な回答に、谺さんは「楽泉園の入所者は120人余まで減った。医師不足・看護師不足も深刻。平均年齢は83歳を超えており、待ったなしの課題だ。あまり悠長なことを言ってもらっては困る」と語気を荒げる一幕もありました。
特に無らい県運動の公文書が存在しないとの県の説明に対し、「県立文書館には多くの資料が眠っている。学芸員の資格を取った元療養所福祉課長のような人材を積極的に活用し、みんなで資料発掘にあたるべきだ。そのための検証委員会の設置がどうしても必要」と重ねて求めました。
しかし課長は「私の背中を押される思いだ」と述べましたが、具体的な回答はなし。さらに、厚生労働省も認め、交通費の助成を予定している園内でのキャンプツアー(8月上旬)について、県は「補助できない」とつっぱねました。なんと冷たい対応でしょうか。
谺さんは「
ハンセン病元患者も福島原発事故による避難者も、国策によって生み出された被害者という点では同じ。無らい県運動の検証をしないということは、熊本判決で断罪された隔離政策を追認し、推進するのと全く変わりがない」と批判しました。藤田会長や他の参加者からも県の姿勢を問う意見が相次ぎました。
他県に比べても遅れが際立っているのが群馬県。県議会でも、次の厚生文化常任委員会で厳しく追及していきたいと思います。

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「ハンセン病パネル展示会」県庁で開催中

2012年06月21日 | ハンセン病

県庁1階県民ホールで開催中のハンセン病パネル展示会に行ってきました。展示会は、ハンセン病を正しく理解し、偏見や差別をなくそうと県保健予防課が企画したもので、今年で4回目。資料提供は、人権教育啓発推進センターと国立ハンセン病資料館。
私も以前訪問したことのある韓国ソロクト療養所の監禁室や手術台、草津栗生楽泉園の配食作業やプロミン注射の様子、全国にあるハンセン病療養所の歴史についての写真など約60点が展示されています。生前、交流のあった元ハンセン病患者の浅井あいさんや中原弘さんの元気だったころのお姿を拝見し、思わず目頭が熱くなりました。
ハンセン病問題を通じて人権について学び、考えることを目的としたDVDの上映も行っています。22日(金)まで。午前9時から午後5時。


ハンセン病市民学会に参加して

2012年05月15日 | ハンセン病

ハンセン病市民学会が5月12日・13日に青森・宮城両県にわたって開催され、参加してきました。

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青森市内での全体会には約500人、群馬からも、楽泉園の谺雄二・全国ハンセン病訴訟原告団協議会会長、藤田三四郎自治会長さんら3人の入所者を含め18人が参加しました。

青森県知事や市長があいさつし、交流集会では「語れない言葉と向き合うために」「療養所でいのちの意味を考える」「福西園長と語る~療養所の将来構想」の各テーマでシンポジウムが行われました。

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強制収容・強制隔離政策の過ちを断罪した熊本判決から11年、2009年にはハンセン病問題基本法が施行されましたが、今なお全面解決には程遠い現状が、元患者や園の関係者、弁護団などからリアルに語れました。また、福島原発事故の避難者へのいじめ問題と重ね合わせ、差別と偏見をどう克服していくか、無らい県運動(ハンセン病患者を強制収容した各地の施策)の検証をどうすすめていくか、最後の一人までの在園保障や地域社会に開かれた園の将来構想についてなど、示唆に富んだ発言がされました。 

群馬でも、重監房(特別病室といい、懲戒的な意味で収容した施設。全国から集められ、極寒の中で多数の患者が死亡したとされる)が今年度、草津栗生楽泉園内に復元されるのを機に、ハンセン病の歴史をどう語り伝えていくのか市民的な取り組みが求められています。

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2日目に訪れた、ハンセン病療養所松丘保養園は、ちょうど遅咲きの桜が散っているところで、遠くに八甲田山がくっきりと見えました。入所者の平均年齢82歳。この10年間で半減し、10年後には2割に減少するとみられています。木々に囲まれた納骨堂には1136体が眠っています。その前に立って、ハンセン病患者・回復者の苦難に思いをはせるとともに、全面解決にむけた政治の責任を痛感しました。