さて、前回は 「表面結露」のことを書きましたが、今回はもうひとつの代表的な結露である 「壁体内結露(内部結露)」 について書いてみようと思います。 これは、目に見えない結露であり、それゆえに厄介な結露ということになります。壁を剥がしてようやくわかり、わかったときには様々な支障が発生している可能性があります。
まあ、カンタンにいえば、その名の通り「壁の中が結露して水分が発生している」状態であり、是がどういうことになるかといえば、その水滴が下に落ちて、土台や梁を腐らせたり、シロアリや腐朽菌を発生させる原因にもなるということです。他には、現在最もよく使われている断熱材である、グラスウールという材料は水に濡れると、その断熱性能はいちじるしく低下し、それゆえに結露がもっと発生しやすくなるという悪循環になってしまうことです。
これは、断熱材というのは空気を閉じ込めておく材料で、空気をじっとさせることにより、熱を断っているわけで、水分を含むことにより熱が伝わりやすくなってしまうからです。ん~難しい表現ですが、熱の伝わりやすさを 「熱伝導率」 といってその材料によって熱の伝わりやすさを数値で表しています。わかりやすくいうと、アルミニウムの熱伝導率は、210(W/m・K)であり、コンクリートは、1.3、木材は、0.14という感じです。アルミなんていうのはすぐに熱が伝わりますよね。だから数値が高いのです。
熱伝導や、断熱材の話は 別の機会にアップするとして、要するに熱伝導率が、水は、0.6、空気は0.022と圧倒的に空気のほうが熱を伝えにくいのです。ああ~いかんいかん、話がそれてしまった。内部結露の話であった。では、何故壁の中が結露するのだろう~ということを考えて見ます。
では、何か具体的なことを想像してみたほうがわかりやすいので、設定として冬の寒い日を考えて見ましょう。寒~い冬の日、へやの中はどんな状態になっているのでしょうか。そして外の状態は・・・。冬といえば、外は乾燥していて唇などがカサカサになって~といくらい乾燥していますよね。これは 前回から見ている空気線図でいえば、相対湿度が低い状態なのであります。そして、寒いので低温です。そう、外は低温低湿の状態となっています。一方、部屋の中というと寒いので暖房しています。今回はわかりやすいように暖房器具を石油ファンヒーターとしましょう。ファンヒーターなど灯油やガスを燃焼する暖房は、多量の水蒸気を発生します。
ということは、どうでしょう。部屋の中の状態を考えてみると、外に比べて室温は高く、水蒸気の発生により、相対湿度も高くなっているはずです。ということは、高温高湿の状態なのであります。外が低温低湿で 中が高温高湿。壁の中はというと断熱材より外側は外気と同じ状態にほぼ近いのです。ということは低温低湿。そこに部屋の中の水蒸気が入ってきたらどうなるでしょう。そうなんです、温度が低いのに、水蒸気のおかげで湿度が高いという状態になってしまいます。これは、「空気は温度が低いと少しの水しか含めない」 という性質から過剰な水蒸気が入ってくることにより、 壁の中が 「結露」するという状態になってしまうのです。
これが、 「壁体内結露(内部結露)」 のカンタンな仕組みです。空気線図で確認してもらうとわかりやすいかと思います。ああ~すっかり長くなってしまった。もう少しいろいろと書かないといけないのですが、もうそろそろやめておきます。(笑) 「結露の話」まだ、続きます。