「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

予後と、これからの研究の方向性 (1)

2008年07月04日 20時27分33秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 欧米でBPDの予後は、以前よりずっと 期待が持たれています。

 40代までには、治療の有無に関わらず、BPDの人は改善していきます。

 もちろん治療は その過程を早くします。

 B群のパーソナリティ障害 (BPD,自己愛性,演技性,反社会性) は、

 A群 (エキセントリックなグループ) やC群 (不安なグループ) の

 パーソナリティ障害より、改善する傾向があります。

・短期治療の成績

 最初の1年間で 症状の著しい改善は あまりなく、

 この間に ドロップアウトしてしまう人が 少なくありません。

 2年間で 目に見える改善があっても、BPD的な言動は残ります。

 重度の機能障害と 激しい衝動性は、短期間の治療では 改善が見られにくいものです。

・長期治療の成績

 入院治療を受けたBPD患者は、その後の治療がなくても、

 10年後には 66%が中程度の回復をしています。

 約40%の人が、BPDの診断基準を満たさなくなります。

 通常、仕事の上でも 安定することが多い一方、

 人間関係や家族に 満足できるのは少ないようです。

・治療の役割

 様々な形態を組み合わせた 積極的な治療を行なうと、寛解率は7倍にもなります。

 定期的な治療を受けた患者の 50%以上が、

 治療開始15ヶ月後には 完全に回復したと言います。

 未治療の患者は、50%が回復するのに 10年半以上かかりました。

 衝動性は 一番早く消失し、次に 認知のゆがみと対人関係が 改善されました。

 気分の不安定さは より慢性的で、完全に改善するまでに 長い期間が必要でした。

・ジェンダー格差

 女性は結婚,子育てなど、人生の 様々なできごとに対して、

 気分が落ち込んだり 押しつぶされそうになりやすいと言われます。

 女性は 恋愛に慰めを求めることが 良くあります。

 その関係が悪化すると、症状も悪化してしまいます。

 一方 男性は、法に触れる 問題を起こしたり、物質乱用の傾向があります。

 女性に比べて、仕事に拠り所を求め、

 AA (アルコール依存症の治療プログラム) のような 組織に属することも、

 改善に繋がります。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55030697.html

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 


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