「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

密室化した家族 -- 個人レベルを超えたところに 原因がある

2009年11月21日 21時01分46秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 近年、 境界性パーソナリティ障害が 急増している理由は

 個々のレベルを超えた、 社会的レベルの要因がないと 説明できません。

 今日から いくつか挙げていきましょう。

 まず、 核家族や少子化, 地域社会の崩壊による、 家庭の細分化や 密室化です。

 各人が個室で ばらばらに生活するようになっています。

 祖父母や近所の人など、 多様な立場の人が 子供たちを取り囲む 状況と比べると、

 家庭は 非常に単純化しました。

 そのため 社会体験が貧弱になり、 対人関係の質も 単純化されました。

 そうした中で 親子関係のみが濃密になり、 逃げ場のないものになってしまいます。

 親が子供を支配しやすい 状況が生まれ、

 悪影響をまともに こうむるようになってしまったのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子の両親は共働きで 工場を経営していました。

 仕事が忙しく、 心子の足の障害の せいもあり、

 幼い心子を 充分に世話してやれなかったのだろうと思います。

 ただ 昨日の日記に書いたように、

 職人たちがいたので 複数の人間と接する 機会はあったのではないかと思われます。

 また 心子の住まいは下町で、 当時も地域社会は 生きていたのではないでしょうか。
 

 心子は僕に、 自分は乳母に育てられた と言っていましたが、

 それは彼女の 無意識の心的事実, または、

 意識的か無意識的かはともかく 演技性のものだったかもしれません。
 


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