「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

母親離れが うまくできない

2009年11月16日 21時32分26秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 通常 幼児は、 乳離れする 1才半から3才頃にかけて、

 徐々に 母親から離れていきます。 (分離-個体化期)

 この時期に、

 充分な愛情を与えてくれる 母親の姿が 心の中に 取り込まれると同時に、

 現実の母親が 少しずつ 手を引いていくことによって、

 心の中に  「自己対象」 が育まれていきます。

 自己対象とは、 本人の自己愛を 照らし返して、

 支えてくれる 心の中の 守り神のようなものです。

 自己対象が育ってくると、 現実の母親がいなくても、

 自分を支えられるようになります。

 境界性パーソナリティ障害の 病理の基本は、 母子分離が うまく成し遂げられず、

 自己対象が作れなかったことだ と考えられています。

 必要な時期に、 不安定な愛情しか 与えられなかったり、

 過剰に保護されすぎたりすると、 子供の中に しっかりした自己対象が育たず、

 自分の中に  「抱き抱えるもの」 がない

 空虚な感じを 持つようになってしまうのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 子供は、 親の温かい眼差しを 確かめながら、 一歩一歩 親から離れていきます。

 けれども このとき、 親の愛情が感じられないと、

 子供は見捨てられたと 感じてしまいます。

 逆に 子供を手放したくない親は、 子供の成長を 素直に喜べません。

 そのため 子供も自立するのが 良いことだと思えず、

 離れていくと 見捨てられると感じてしまいます。

 無理にいい子を演じたり、 本来の自分のあり方を 見失ってしまいます。

 いずれの場合でも、 子供は独り立ちできず、

 自分で自分を 支えることができません。

 見捨てられるのを恐れ、

 誰かに依存しなければ 生きていけなくなってしまうのです。
 

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