「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

気迷う遺族 …… 「生死命(いのち)の処方箋」 (21)

2010年08月30日 20時31分24秒 | 「生死命(いのち)の処方箋」
 
(http://blog.goo.ne.jp/geg07531/e/b83865e1402957af7da94b3cce179e6d  からの続き)

○佐伯家・ 玄関

  興奮して 電話に出ている美和子。

美和子 「…… 倫理委が承認 !?」
 

○東央大病院・ ロビー

  世良が電話をかけている。

世良 「ああ、 若林先生が さっそく木下さんに

 臓器提供の要請をしたんだけど ……、やっ

 ぱり 難色を示してるらしい」
 

○佐伯宅・ 玄関

美和子 「…… (淳一のほうを気にしながら)

 でも あたしがきっと説得する。 臓器が新鮮

 なうちに 決めないと」
 

○東央大病院・ ICUへ向かう廊下

  美和子が歩いてくる。

  向こうに 直哉の姿が見える。

  直哉は 何か小さなものを持って、 ごみ箱

  の前で うろうろしている。

  立ち止まる美和子。

  直哉、 辛さを断ち切るように 持っていた

  ものを ごみ箱に捨てる。

  おずおずとした様子で ICUの中へ入っ

  ていく。

美和子 「? ………」

  美和子、 ごみ箱の所へ行ってみる。

  不振な気持ちで ごみ箱の中を探る。

  2枚のカードが 捨てられている。

  腎臓提供者カードと アイ・バンク登録票

  である。

  「木下幸枝」 の署名。

美和子『これは ……… !? (愕然)』

  思わず 直哉が行った方を 見やる美和子。
 

【*注:現在では 「臓器提供意思表示カード」 として

 1枚に統一されています。】

(次の記事に続く)
 


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