「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

オペ室へ …… 「生死命の処方箋」 (61)

2010年12月26日 19時27分31秒 | 「生死命(いのち)の処方箋」
 
(前の記事からの続き)

○ 東央大病院・ 外景 (昼)

  空が広い。

  

○ 同・ 淳一の病室

  美和子、 淳一の手を握っている。

  無言のまま 互いを見る

  全て 心は通じている。

  美和子、 淳一の顔に頬を寄せる。

  

○ 同・ オペ室前の廊下

  ストレッチャーに乗せられた安達。

  美和子、 世良、 ナースが付いている。

  杏子と川添が これを見送る。

杏子 「川添先生がね、 最後にこの人の体、 

 あたしに拭かせてくれたんだ …… 」

美和子 「そうですか …… 」

杏子 「(安達に) あんた、 よかったね、 いい

 先生に診てもらって …… 」

  眠っている安達。

杏子 「何だい、 ちょっとくらい笑っとくれよ

  …… 」

美和子・ 世良 「 …… 」

杏子 「ふふ …… 笑うわけないですよね …… 」

美和子 「 ……… 」

杏子 「(美和子に) よろしくお願いします …

 … (頭を下げる)」

美和子 「ありがたく承ります …… 」

  美和子とナース、 安達を押して、 オペ室

  に入っていく。

  世良が続く。

  オペ室に消えていく安達。

杏子 「(川添に) …… 何だか、 まだ、 生きて

 るみたいでしたね …… 」

 

○ 同・ 麻酔室

  淳一に準備麻酔がかけられる。

  多佳子が淳一の手を取っている。

淳一 「じゃ、 ちょっと、 寝るからね …… 」

多佳子 「うん …… ちょっと、 おやすみ …… 

 (微笑)」

(次の記事に続く)
 


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