「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「ワールド・トレード・センター」(2)

2006年09月15日 22時07分08秒 | 映画
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/40055681.html からの続き)

 オリバー=ストーンのことだから、WTCでのできごとを 克明に調べ上げ、

 あの日、あのビルの中の ここかしこで、どんな地獄絵図が繰り広げられ、

 予想もできない惨状において、警察官や消防官は どのようにして人々を救ったのか、

 あるいは 自らも犠牲になっていったのか、

 身に迫るリアリティで 活写していくのかと 思っていました。

 けれども、生き埋めになった二人〔*注〕 と、

 その家族だけの話に 矮小化されてしまいました。

〔*注: 他の警察官たちは即死、一人は すぐに自殺。(- -;) 〕

 その他の 一般の被害者は、一切 出てきません。

 WTCで何が起きたのか、あのテロ事件は何だったのか、

 全く描かれていないのです。

 こんなことなら 普通のビル崩壊事故の ドラマでいいわけで、

 9・11事件を 舞台にする必要はない、いや、

 するべきではないと 思います。

 あの世界的な重大事件が、ただの個人的なエピソードに すり替えられてしまいました。

 もちろん 大事件を ひとつの家族の目線で 描いていくことは、

 常道であって それでもいいのです。

 大ヒット作「タイタニック」も、極めて大規模なできごとを、

 二人の恋人の ラブストーリーとして描いたことが、成功の理由になっています。

 しかし 「タイタニック」では、二人の物語を通して

 タイタニック沈没の全容を 見事に描き出しています。

 それに対して 「ワールド・トレード・センター」は、

 被害者は二人の警察官のみ、というシチュエーションに なってしまいました。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/40125260.html
 

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