「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「無意識の彷徨」 (18)

2007年05月07日 21時24分23秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47340651.html からの続き)
 

○なつみのマンション・外景/夜


○同・リヴィング

  ブランデーグラスを手に、ソファに座っ
  ているなつみと友辺。
  なつみは、友辺の肩に体を寄せかけてい
  る。
  気持ちが揺れている様子のなつみ。
なつみ「……裕司くんの心を踏みにじること
 にならないかな……」
友辺「え……?」
なつみ「催眠ていうのはね、人の心に土足で
 入り込むようなものだと思うの……」
友辺「ていうと?」
なつみ「だって裕司くんはやっとの思いで記
 憶喪失になって、持ちこたえてるようなも
 んでしょ? それを無理やり引きずり出す
 んだから……本当に大変なのはそのあと…
 …」
友辺「俺たちがせっつかせるからか?」
なつみ「それもあるけどね……今の裕司くん
 は自分の過去が分からないことで不安定に
 なってる……自傷行為もあるし、事実を知
 る緊急性があると思う。他の心理療法では
 何年もかかったりするから」
友辺「やるしかないわけか……(不本意なが
 ら)」
  なつみ、ブランデーを飲み干す。
友辺「……俺も、立ち会っていいかな……
 ?」
なつみ「……そうね……うまく催眠状態に入
 れる段階になってからなら……何日か か
 かるけど……」
友辺「わかった……頼むよ、なつみ……」
なつみ「………(友辺の肩に頭をもたせ掛け
 る)」
友辺「………(なつみの肩に手を掛け抱き寄
 せる)」
なつみ「………」
  二人、抱き合う。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47399540.html
 


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