「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「車椅子社長・猛烈ケアビジネス」(2)

2006年11月05日 16時07分59秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/41907944.html からの続き)

「お客様は神様」 というのは、利用者を何よりも大切にする

 という意味だと 美由は思っていた。

 しかし どうも話が違うようだ。

 美由は 不動に問いなおしてみる。

 不動は

「お客様は お金を落としていってくれるから 神様なんだ」

 と言う。

「利用者は お金を稼ぐ 道具だってことですか?

 そんなの福祉じゃない」

 と憤慨する美由。

 にやりと笑う不動。

「卒業したばかりのお前を 採用したのは何故だと思う?

 まだお前が 古い福祉の価値観に 凝り固まっていないからだ。

 これから俺が じっくり染めていってやる」。

 気色ばむ美由。
 
 

 今日は 美由が 訪問介護に行く日だ。

 シンシア,運転手の男性職員と一緒に 訪問先を巡回する。

 最初の予定は 訪問入浴サービスで、利用者は 寝たきりの女性。

 SCSの入浴サービスは 特別に開発した 介護用入浴車だ

(車椅子を 直接バスタブにドッキングさせる)。

 感心する美由に シンシアは、

 これは社長が発案したもの だと言う。

 ピッタリした短いTシャツに ショートパンツ姿のシンシアは、

 男性職員とともに 手慣れた様子で 作業を進める。

 美由も シンシアに指示を受けながら 一生懸命 手伝う。

 シンシアの的確なケアや、心のこもった声掛けに 感銘を受ける美由。

 利用者の女性は 久しぶりの入浴で 極楽気分を味わう。

 美由は やっぱりこの仕事を始めて 良かったと思う。
 

 ところが、SCSの入浴サービス料は 通常の料金よりも 相当に高かった。

 それを知って 美由はびっくりする。

 シンシアは、うちの入浴サービスは 他社より便利で快適なもので、

 利用者は充分満足しているから 暴利ではない、

 というのが 社長の考えだと説明する。

 美由は、お年寄りの弱みに付け込んでる と憤然とする。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/41986875.html
 


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