「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

根底では 自分を否定している

2009年11月04日 22時10分12秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 見捨てられ不安や 関心への渇望の根底には、 強い自己否定があります。

 自傷や自殺企図を 行なうのも、 根っこは同じです。

 「生きていても 何の価値もない」 という 気持ちに陥り、

 人によっては、  「生まれてきたことが呪わしい」 と、

 存在することへの 強烈な呪いを 語ることもあります。

 境界性パーソナリティ障害の人は 自分を大切にすることができません。

 自分を守ってくれるはずの人から、 大切な存在として 扱われず、

 否定されてきたことが 多いのです。

 彼らの親のうち 半分くらいは、

 上手に愛してやることが できなかったと認めますが、

 残りの半分の親は、 自分はこの子のために 精一杯やってきたと言います。

 そうした親は、 常識的で論理的ですが、

 自分の視点からしか 相手のことを考えられない という共通点があります。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 心子も 強い自己否定感がありました。

 昨日も書いたように、 生後 親からスキンシップを 得られなかったために、

 自分が大切にされている, この世に存在していいんだ という

 無意識の精神を、 育むことができなかったのでしょう。

 心子の母親は、 そのことを 何より悔いています。

 その後は母親は、 過保護とも思えるように 接したそうですが、

 心子は 母から愛情を受けたと 感じることができませんでした。

 さらに、 心子は 父親と一緒に死ぬと 約束して育ったため

(それが心子の 主観的事実だとしても)、 自分は死ぬために生きていた,

 死ぬことしか知らないという 想いにとらわれていました。

 そして、 父親が急死したとき 後を追えなかったことが、

 「父との誓いを破った」 という 呪縛となって、 心子を蝕んだのです。

 心子は自分を 大切にすることができず、

 自分をないがしろにしたり、 存在をなくそうとしてしまったのです。
 

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