医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

ポール牧さんの訃報に思うこと。

2005年04月22日 | 医療・健康
出張先の神戸で衝動的にこれを書いている。
ホテルの新聞で、ポール牧さんの死を知ったから。
自殺らしいということだ。

この際、絶対知っていてもらいたいこと。それは、

【自殺の約7割はうつ病によるもの】。

つまり、「自殺したい気持ち」自体が病気のなせる業、なのです。
死にたいという気持ち、それが病気だということに気づけば、そしてそれをきちんと治療できれば、その人はもっと生きられたかもしれない。年間3万人の自殺者のうち、2万人以上がそのために亡くなった思うと残念だ。

うつは「心の風邪」なんていわれている割には風邪みたいにわかりやすくはなく、自分では気づきにくい。「起きられない」とか「食欲がなくて痩せた」とかで病院にいき、医者といろいろ話しているうちにやっとうつだとわかるというケースが少なくない。自分自身ではなかなか認めたくない病気でもあるし、いきなり精神科にいくのも勇気いるし。

一緒にすむ家族がいれば、「なんか最近変」と気づいて受診を促したり、防波堤になるのだが、ポール牧さんは一人暮らし。病気に気づくチャンスを失ったのではないかと思う。「最近、仕事が少ないと悩んでいる様子」だったそうだが、それを周囲にもらしていたとしたら、それが唯一のSOSだったのだろう。

ポール牧は最近離婚したという話もある。離婚や連れ合いとの死別はうつが起こるきっかけとしてよくあること。特に男性には堪えるらしい。「夫は妻に先立たれると3ヶ月で死ぬが、妻は夫が亡くなった3年後ピンピンして元気はつらつになる」というが、あながち大げさなたとえ話でもないと思う。

もし、周囲に悩める人がいたら励ますばかりではなく、「うつ」の可能性を心に留めながら接してください。うつはがんと同様に早期発見・早期治療が大事な病気なんです。
精神科受診を勧めにくいのはもっともだけど、せめて「死にたいと思うのは病気のせい」ということだけでも伝えられれば、最悪の事態を少しでも防げるのではないかと。まあとにかくポール牧さんに合掌。

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4 コメント

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Unknown (広報部門)
2005-04-23 02:05:17
ポール牧さんは、うつ病の薬を服用していたそうです。



オシャレで清々しいブログですね。参考にさせていただきます。
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Unknown (管理人です。)
2005-04-23 08:58:53
「広報部門」さん、読んでくださってありがとうございました。そうでしたか、すでに服用されてましたか…。

精神科医のうつ病治療の最大の目標は「自殺予防」です。それが最悪の結果を迎えてしまったのは残念ですね。薬が合わなかったか、足りなかったか、本人が飲んでいなかったか、酒と一緒に飲むなどのまずい飲み方をしていたか・・・。きっと担当医も大いにショック!だろうと思います。また来てください。
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Unknown (ダボヒゲ)
2005-04-23 17:00:08
はじめまして。

ランキングで私の一個上にあった縁で来ちゃいました。医療健康ジャーナリストでらっしゃいますのね。マンザラ縁もありますかな。

美しいブログです。

また来ます。
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管理人です。 (Unknown)
2005-04-23 18:54:15
お立ち寄りくださいましてありがとうございます。ずいぶん早くからホームページを立ち上げた薬局さんなのですね。またぜひお越しください。
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