グラフィックディレクター 大里早苗 ブログ

東京港区のデザイン会社、グラフィックメイトの代表を務める大里早苗のブログです。

冊子の綴じ方

2020-06-29 13:38:21 | 中小企業の広報誌制作
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
ある広報誌を見ていて気になったことがありました。すべての本文が横書きなのに「右綴じ」なのです。
「右綴じ」とは表紙の右側を綴じて、左から右へとページをめくる綴じ方です。小説や雑誌など、本文が縦書きの場合にはこの綴じ方が多いです。
一方、横書きの文章が中心となる専門書や図録などは、表紙の左側を綴じて右から左へとめくる「左綴じ」のことが多いです。


▲冊子や書籍の綴じ方向


長く続いている広報誌などは、発刊当初の綴じ方を踏襲しているためか「右綴じ」のことが多くなっています。
今回見ていた広報誌も「右綴じ」でしたが、本文はすべて横書き。見開きで完結しているコーナーはさほど違和感はありませんが、3ページ、4ページと続くコーナーだと、右端から読んでいくかと思いきや左端から読むことになっていたりして、読者としては「読みにくいな」と感じました。

最近はWordなどのソフトで横書きで原稿を書く方も多く、表やグラフを挿入するなど、レイアウトをイメージした原稿をいただくことが多くなっています。表やグラフ、コラムなどが本文より多くても、本文が縦書きなら右綴じで良いのですが、本文自体が横書きだと左綴じのほうが読みやすいと思います。
もちろん広報誌ではいろいろなコーナーがありますから、縦書きのほうが良いページ、横書きの方がふさわしいページ、というのがあるでしょう。冊子全体で横書き、縦書きの割合がどうなっているか、ということも綴じ方を考えるひとつの判断材料です。

発刊以来、同じ綴じ方なら、一度本文と綴じ方を検討してみてはいかがでしょうか。「伝統だから綴じ方はそのままに」ということであれば、本文の書き方、つまり「横書き」「縦書き」を見直してみると良いでしょう。「読みやすくなった!」という反響があるかもしれませんよ!
広報誌リニューアルの際はぜひグラフィックメイトへご相談ください。

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「,」(コンマ)と「、」(テン)

2020-06-22 11:32:47 | 記念誌・年史のあれこれ
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。当社ではデザインだけでなく冊子や書籍の編集もお手伝いすることが多々あります。
記念誌や年史、ときには広報誌でも、外部の方に寄稿をお願いすることがあります。寄稿いただいた文章は、基本的には執筆された方に文責がありますが、誤字脱字など修正させていただいたほうが良い場合もあります。しかし「あきらかな間違い」であればともかく、「何らかの意図があるかもしれない」という場合もあるので注意が必要です。

以前、ある団体さんの年史に寄稿いただいた文章で、読点に「,」(コンマ)を使われている方がいました。全体の統一を図りたいということで編集部の方が「、」(テン)にしたところ、【公文書表記の仕方に横書きは、「,」と「。」とするとなっている。】ということで「,」を使用すべしとお返事があったそうです。
最近、同じような寄稿文があったので、あらためて公文書表記の仕方について調べてみました。


▲コンマとテン。どちらを使いますか


「公用文作成の要領」は、昭和 27 年 に当時の内閣官房長官が通知したものだそうで、文化審議会国語分科会が見直しについて検討を行ってきたそうです。「今後、具体的な検討が必要と考えられる課題の一つとして挙げていたもの」とのことで、現時点では令和1年11月8日付けの【「公用文作成の要領」の見直しに関する国語課題小委員会の検討状況(案)】というのが最新のようです。(より新しい情報があれば教えてください!)
これはまだ「案」であり確定したものではないのでしょうが、これからの文章作成の参考になると思います。
この案では以下のような記載がありました。

ーー以下引用(p2 表記の実態を踏まえた対応)ーーーーー
現在行われている日本語表記の実態を踏まえた対応が必要である。 例えば、左横書きの公用文における読点には、「,」(コンマ)を用いることとされ てきたが、実際の社会生活においては、「、」(テン)が用いられることが多い。各府 省庁においても、一部を除いて「、」が用いられているという実態がある。国語分科 会は、今後、公用文での横書きの読点においても、原則としては「、」を用いること としてはどうかと考える。(ただし、これまでの経緯を踏まえ、必要に応じて「,」を 用いることもできるようにし、欧文等を含む場合を除き、一つの文書の中で、「、」と 「,」が混在しないよう留意する。)
ーー引用ここまでーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー以下引用(p21 Ⅱ-5 符号の使い方 (1)句読点や括弧の使い方)ーーーーー
句点には「。」読点には「、」を用いる。横書きでは、読点に「,」を用いてもよい
横書きの読点においては「、」と「,」とが混在しないように留意する。また、学術的・専門的に必 要な場合等を除いて、句点に「.」(ピリオド)は用いない。欧文では「,」と「.」を用いる。

ーー引用ここまでーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これを見る限り、最近では公文書においても「、」のほうが主流となりつつあるようです。
今回の寄稿文でも「,」を他の寄稿者とそろえて「、」にさせていただきたいとお願いすることになりましたが、さてお返事はいかに?

文章の書き方ひとつでも時代によって変わってくるんですね。
当社も過去の経験だけにとらわれず、世の中の変化にもアンテナをはって、アドバイスをしていきたいと思います。

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使い勝手のよい原稿

2020-06-16 15:05:35 | 記念誌・年史のあれこれ
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
娘の高校のPTA広報部に参加し、今学期の広報誌制作をしています。今年度最初の広報誌、メインテーマは「先生紹介」。先生と過ごす時間の少ない1年生や、保護者会もひらけず担任の先生のお顔もわからない!という保護者に向けて、例年以上に大役を担う号となることでしょう。
デザインは外部のデザイナーさんにお願いするので、掲載事項の収集・整理とデザインラフの作成が主な仕事です。先生方の受け持ちのクラス、指導教科、担当の部活動などを、デザイナーさんが使いやすいようにExcelにまとめていきます。
Excelデータは入力する人や引継ぎデータによって、英数字や記号が全角だったり半角だったり、姓名の間のスペースがまちまちだったり、と不統一な箇所があります。名前のふりがなを関数で指定されているところもあり、デザイン用の原稿としては使いにくい状態だったので修正していきます。

広報誌だけでなく、社史や年史制作においてもこういったデータ整理が欠かせません。歴代の経営陣を掲載するような場合など、掲載事項を明確にして、それぞれをどういう形式で入力していくのか。関数などアプリケーションの機能に頼りすぎていると、データの使い勝手が悪くなることもあります。
使い勝手のよい原稿だとデザイナーはデザインに集中できるので、よりよいデザインをご提案できるはずです。




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国立新美術館 開門!

2020-06-11 13:49:01 | 六本木探訪
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
国立新美術館がWebサイトで予告されていた通り、本日6月11日より再開しました。3ヶ月以上も閉ざされていた門が開いている様子には感慨深いものがあります。

東京ではアラート解除という話も出ています。営業制限も緩和されるのかもしれません。それでも当面は不安を抱えながらの生活が続いていくのでしょう。
コロナウイルスの影響で、私たちの暮らしている社会が持つ弱点があらわになった点も少なくありません。それを補強すること、間違っていたことを正すことは必要だと思います。

でも、それでも! 人の暮らしは一気には変わらないと思います。身を慎む方向ばかりではない、在り方があるように思います。社会、生活、暮らしのリ・デザインは緩やかに進めていければいいでしょう。アートには時代に先駆け、そのための手がかりやアイデアが潜んでいることがあります。

外出を避けている方も少なくないかもしれませんが、ぜひ六本木でアート体験をされませんか。そのための門は再び開かれましたよ。


門が開かれた国立新美術館


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森美術館3Dウォークスルー

2020-06-08 17:12:51 | 六本木探訪
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
緊急事態宣言が解除されて、やはり街の中には人が増えています。その影響か否かはわかりませんが、コロナウイルスの感染が判明した人が増えています。こんな日が続いたらまた街から人の数が減ってしまうのでしょうか。

以前のブログで公共施設の再開について書きましたが、美術館関係はまだ再開に至らないようです。当社向かいにある国立新美術館は6月11日からの再開予定のようですが、この状況ではどうなりますやら。図書館に象徴される本とのアクセスは書店で代替ができます。というより書店が第一の場所ですね。一方、美術関係については美術館が最大のアクセスポイントでしょうから、休館が続いていて欲求不満が亢進されている方も少なくないのではないでしょうか。

というわけで、そんな方にむけて。六本木ヒルズにある森美術館では、コロナウイルス流行以前に開催され、その渦中で会期終了を迎えてしまった『未来と芸術』展が3Dウォークスルー特別展としてweb上で公開されています。さすが森美術館!会場をデジタル化する際のデザイン構成力にはさすがなものがあります。このデザインで定期的にデジタル公開をしてもらいたいものです。
今回のweb特別展は4月28日に公開が開始され、公開終了は6月30日が予定されています。
展示のポイントごとに展示企画者で森美術館顧問(前の館長さんです)、南條史生さんによる動画解説が再生されます。展示の意図を理解する糸口を得ることできて、いつもと違ったアートの体験ができるかもしれません。かくいう私も行こう行こうと思いながら美術館の展覧会には行けなかったひとりなので、このweb公開で大いに楽しませてもらっています。完全無料公開なので、好きなだけ何回でも繰り返し見ることができるのが最高です!
他にも「MAMスクリーン」シリーズの作品も期間限定で公開されていますよ。

まだ街に出て行くのは不安だと思いの方は、ご自宅で最先端のアートにひたってはいかがでしょうか。


グラフィックメイトの社窓から望む六本木ヒルズ。リアルな展示会も待ち遠しい


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図書館サービスの再開

2020-06-01 11:42:30 | 小さな会社のひとりごと
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
みなさんご存知のとおり、首都圏と北海道に出されていた緊急事態宣言が5月31日の期限を待たずに解除されました。当然ながら「不要不急」の外出はしないように要請されていますので、いきなり街に人が増えたりはしていません。当社向かいの国立新美術館もまだ休館中ですし、他の公立施設もまだ休館を継続しているところが多いですね。

そんな中、当社のある港区の図書館は5月26日より一部のサービスを再開しています。すばやい。
館内を自由に見て回ることはできませんが、オンラインで本やCDの予約が再開しましたし、その受け取りもできるようになりました。本を手にとって読みたい、読ませたいと願っていた利用者は少なくなかったのではないでしょうか。
図書館で業務されている方の感染不安に関する対応は不可欠ですし、100%の安全は確保できないのでしょうが、他の地域でも同じようにサービスが再開されたらいいなと思っています。このような状況下、いたずらに不安に流されないようにするためにも落ち着いて本と向き合う時間が大切になると思います。
本に限ったことではありませんが、多くの文化資源との接触はすべての人の成長に不可欠ではないでしょうか。私もさっそく数冊貸し出し予約をし、個人的な読書週間を開始させていただきます。






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「見えにくい」をなくしたいグラフィックメイト


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