グラフィックディレクター 大里早苗 ブログ

東京港区のデザイン会社、グラフィックメイトの代表を務める大里早苗のブログです。

印刷通販7 テンプレートにご注意!

2016-07-26 14:10:44 | 印刷通販
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
クライアントさんから折り加工のある印刷物の制作をご依頼いただきました。折りはA4サイズの紙を3つに折る「巻き三つ折り」です。クライアントさんから「文章が内側になるような巻き三つ折りで」というご指示があり、印刷通販に折り加工も含めて発注しました。

問題なく印刷・納品されましたが、数日後お客様から「内容を一部変更して、改めて印刷・折り加工してほしい」というご依頼がありました。文章の一部変更なので印刷用データを変更し、「過去の注文方法をそのまま」という発注方法で再入稿しました。
しかし…納品されたものは折りが逆、つまり文章が外側になるような折り方だったのです。

データはその印刷通販会社の「A4巻三つ折り_裏面(内側)」というテンプレートを使用して作成し、折り方の指示が入っています。加えて「過去の注文方法をそのまま」という発注をしているにも関わらず逆折りになっていました。
印刷通販の会社に問い合わせたところ、「『裏面』『内側』などの指示がなかったから」とのことでした。

使用したテンプレートには枠外に「裏面(内側)」という記載がありますが、入稿用のPDFに変換するとその部分が見えなくなってしまうのです。印刷通販会社としては、指定テンプレートを使用しただけではダメで、細かな指示を入れるのが発注側の義務だと考えているようでした。
「裏面(内側)」という記載が必要なら、入稿データにしたときでも「裏面(内側)」がはっきり見えるようなテンプレートにしてほしいものです(その旨、申し入れました)。

印刷通販を利用するには思いがけないリスクがあり油断できないな、と感じた出来事でした。




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わざわざ段差?

2016-07-14 13:37:16 | 小さな会社のひとりごと
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
先日、友人と外出した夫。約束していた映画を見てから軽く食事を、という話になったそうです。特に予約しておいた店があるわけではなかったので、適当なところを探したようなのですが…。

一緒にいた友人が車いすを使っているので入れる店は限られます。まず入口に段差がある店はNG。入口が狭すぎるというのもまたNGです。店外にテーブルを出している店などが適当なのですが、どこも既にご機嫌な方々でいっぱい。

ようやく居酒屋ばかりが入っている飲食店ビルを発見。エントランスも広々としていて、エレベーターのボタンは車いす使用者にも配慮され、低い位置にも配置されていたとか。
エレベーターの扉が開いてまたビックリ。エントランスとエレベーターの床面が全くのフラット。エレベーターの室内にもたっぷりとした余裕があり、いわゆるバリアフリーということをしっかり意識したビルだなと感じたそうです。

外に掲示されていた看板で目星を付けておいた7Fの店へ。店の入口の設えも広くて、これはイイぞと期待したそうなのですが、入口の扉を開けたとたん目に入ったのは店内の段差。床面に、更に5センチ以上高いウッドデッキのような床を設置して、客席はその上に配置されていたのだとか。
結局ここには入れず、仕方なく7階から順次下へ降りて1フロア1件の店舗を覗いたようなのですが、軒並み店内には段差が。

バリアフリー法ならびに東京都の建築物バリアフリー条例によれば、床面積の合計が1,000平方メートルを越える料理店にはバリアフリー化が義務づけられています。
この飲食店ビルは、テナントが全て飲食店であること考えると、法規上、建物のガワとしてはバリアフリーの義務があったのでしょう。バリアフリー条例のパンフレットを見ると、『利用居室と、①道路、②車いす使用者用便房及び③車いす使用者用駐車施設を結ぶ一つ以上の経路は、段差を設けない移動等円滑化経路とする必要があります』とあります。


建築物バリアフリー条例パンフレット

つまり利用居室(今回の場合は個々の飲食店)から道路に出る、トイレに行く、駐車場に行く、というのはスムーズに移動できるようにしなさいね、ということのようです。
でも店内には「円滑な移動ができるように」という義務づけはないわけです。道路に出る、トイレに行く、その前に、店に入れないのでは何のための「バリアフリー」なんでしょうか。何のための法規なんでしょうか。
店側もなぜわざわざ段差を? 演出とか空間デザインというのもあるでしょうが、せっかくのバリアフリー建築物、車いすの人もそうでない人も一緒に楽しめる店舗デザインの店があってもいいではないですか!

ちなみに、夫は駅ビルにあるパブでようやくビールにありつき、友人としばし楽しい時間を過ごしてご機嫌で帰還しました。




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変わる?! 温泉マーク

2016-07-08 15:28:57 | デザインいろいろ
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
経済産業省から、案内用図記号(ピクトグラム)を外国人観光客にも分かりやすい内容に改正を検討する、という発表がありました。


案内用図記号改正の記事。改めて見ると誤解を招くのも納得。

新聞に出ていた一例には、温泉マークや案内所マークが。当たり前に思っていた温泉マークも、言われてみれば確かに「お皿にのってる温かい食べ物」に見えます。
案内所のマーク「?」に至っては、それこそ「?」。何がハテナなの?と聞きたくなるマークです。

これらの図記号は、日本工業規格(JIS)に約140種類が規定されているそうですが、そのうちの多くのものは【公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団】の「標準案内用図記号」で見ることができます。ここには「公共・一般施設」「交通施設」「商業施設」「観光・文化・スポーツ施設」…ほか、さまざまなマークが掲載されています。ガイドラインには「誰でも自由に使用することができます」とあり、PDF版、EPS版、GIF版のダウンロードが可能です。おお、これは便利!
(使用上の注意はありますので、使用の際はガイドライン等をよくお読みください)

案内用図記号は、日本語の読めない人にも理解しやすい、素晴らしい情報伝達方法です。けれどもそれが誤解を招くのでは本来の役割を果たせていないわけです。おなじみの温泉マークが変わってしまうのはいささか残念な気もしますが、国際的にも意味を理解してもらえるデザインになることを期待しています。




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