monologue
夜明けに向けて
 



60年代後半、わたしたちに衝撃を与えたアメリカン・ニュー・シネマの代表作といえばやはり、ピーター・フォンダとデニス・ホッパーのロード・ムービー、「イージー・ライダー」 であった。ドラッグカルチャーの最中、現代のカウボーイたちは馬をオートバイに乗り換え自由の国であるはずのアメリカを疾駆していた。しかしかれらは保守的な南部では受け入れられず最後には気に入らないからと射殺されトラックにぶつかりふたりのイージーなライドは終わりを告げる。コケインを売買し、大麻を吸いながらハーレー・ダビッドソンで米国を旅する長髪の若者たちの姿は日本で暮らすわたしたちにはどこか別世界の出来事のようだった。わたしは映画を見終わってなぜ主人公のふたりが殺されなければならなかったかわからず呆然としていた。多くの人が同じように割り切れない思いを抱いて映画館を出たことだろう。ハリウッドのおきまりのハッピーエンド映画を見慣れたわたしたちにとってそれは衝撃的な結末だった。

 わたしのアメリカ在住中、グリフィスパーク天文台に登るとその駐車場にあの映画で見たハーレー・ダビッドソンやヤマハやスズキの大型バイクに跨ったバイク軍団がよく集まっていた。現代のカウボーイたちは今も各地のフリーウエイを疾駆しているのだろう。

 この映画に使用されたステッペンウルフの「ワイルドで行こう」の歌詞「I like smoke and lightning Heavy metal thunder」の 「Heavy metal」がハードロックのヘビーメタルという名称の始まりであったという。「イージー・ライダー」は ロックの歴史においても重要な作品であった。
fumio

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