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monologue
夜明けに向けて
 



わたしたちの時代の詩人といえば 昭和12年30歳で夭折した中原中也であった。かれの風貌とあいまってその 軽妙なリズムに込められた哀切感が当時の若者の心をうった。親友の評論家小林秀雄とのひとりの女性をめぐる奇妙などろどろの関係が世間に喧伝されたこともかれの詩に人々の興味を惹くことに役だったのである。

 中原中也の詩は読んでいると音が鳴り出す。かれは詩を作るときそのことばをリズムだけではなく高さも与えメロデイも紡いでいたと思われる。それゆえ人は中也の詩を読む度に音楽的感性をも刺激されて心地良くなるのだ。眼で追った文字が耳の中で響き、そして紡がれたことばの意味が関連しあい脳の中ではじける。中原中也は現代のラップ、ヒップホップに通じる詩の書き手であった。かれの詩は『汚れっちまった悲しみに』 のように何時の時代も古びることなく甦り続けその時代のアーティストたちの心をうつのだろう。
fumio

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