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monologue
夜明けに向けて
 




テレビ普及前のわたしたちの世代のスーパーヒロー物といえば江戸川乱歩の生み出した「 怪人二十面相対明智小五郎と少年探偵団 」シリーズであった。 紙芝居で見たり少年雑誌で読んだり、ラジオドラマで聞いたり映画で見たりその頃の様々なメディアで親しんだものだった。江戸川 乱歩は真夜中にろうそくの灯りで怖い話しを執筆しているとか噂が流されてうす気味悪く思ったものだった。わたしは長じるに従ってかれの筆名の元になったアメリカの文豪エドガー・アラン・ポーの作品や怪盗アルセーヌ・ルパン、シャーロック・ホームズシリーズなどを読み、そして江戸川乱歩の処女作 『二銭銅貨』から始まるすべての作品を全集で読んだ。それで思ったことは、かれは日本の本格探偵小説から推理小説への父であり奇想SF文学の魁(さきがけ)だったということである。本人は偉大視されるのを嫌ったがただの「怪人二十面相」のような活劇物語の作者ではなかったのだ。わたしたちの世代の多くのアーティストが 江戸川乱歩の影響を受けて現在の物語、小説、アニメ、映画などの文化が花開いたと思えるのである。江戸川乱歩自身が文化の種を蒔く怪人二十面相であったのかも…。
fumio



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