monologue
夜明けに向けて
 



わたしが渡米する前、バンド仲間の間でドゥービー・ブラザース ブームが吹き荒れていた。ギタリスト達はトム・ジョンストンのあの乾いたタイトな突っ走るようなロックフィーリング溢れるリズムカッティングをコピーしようとしたがうまくゆかずそれを日本の湿った空気のせいにしたりしてごまかしていた。
 ある日、ロサンジェルスの語学学校の文法の授業でmusicには冠詞をつけてはいけない、と習った。それでわたしは「ドゥービー・ブラザース のリッスン・トゥ・ザ・ミュージック Listen To The Music のtheはどうなのですか。定冠詞theをつけているじゃないですか」と尋ねた。

 すると美人教師は明らかに困ってうろたえて「fumio、あなたは、いつも歌を引き合いに出してあれこれいうけれど歌は文法的に間違っていることが多いから歌でばかり英語を覚えるのはよくないわ」と怒りだした。リッスン・トゥ・ミュージックが文法的には正しくとも「ウォウォー・リッスン・トゥ・ミュージック」とザを抜いて」歌うとなにか間が抜けているように感じたものだった。正しいからといって良いとは限らないことが世の中には多い。
fumio

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