monologue
夜明けに向けて
 



 わたしがキャッシュ・ボックス誌の全米ベスト10を聴き始めた1963年の洋楽界 はまだ太平の眠りの中にあった。日本のラジオ番組の年間ランキングはどこもにたりよったりで以下のようだった。
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第1位 ヘイ・ポーラ  (ポールとポーラ)
 2位 悲しき雨音   (カスケイズ)
 3位 史上最大の作戦マーチ(ミッチ・ミラー楽団)
 4位  シェリー    (フォー・シーズンズ)
 5位 大脱走のマーチ (ミッチ・ミラー楽団)
 6位 禁じられた恋の島(エリオ・ブルーノ楽団)
 7位 内気なジョニー (ジョニー・ソマーズ)
 8位 ワン・ボーイ  (ジョニー・ソマーズ)
 9位 悲しき悪魔   (エルヴィス・プレスリー)
10位 太陽はひとりぼっち(コレット・テンピア楽団)
11位 恋の売り込み  (エディー・ホッジス)
12位 北京の55日  (ブラザーズ・フォー)
13位 テルスター   (トーネードーズ)
14位 さすらいのマーチ(ニニ・ロッソ)
15位 悲しきカンガルー (パット.ブーン、ロルフ・ハリス)
16位 ロコ・モーション(リトル・エバ)
17位 サマー・ホリデー(クリフ・リチャード)
18位 恋のバカンス  (カテリーナ・ヴァレンテ)
19位  アイ・ウィル・フォロー・ヒム(リトル・ペギー・マーチ)
20位 エデンの東   (ヴィクター・ヤング楽団)

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 前年1962年にはイギリスでは世界の音楽界を根底から揺すぶることになる、ザ・ビートルズが「ラヴ・ミー・ドゥ」でレコードデビューしていたのだが、1963年という年は年間を通じてあまりチャートに変化はなく平和な時代だった。人は実際に揺れるまで地核の変動に気付くことはできない。


 わたしはこのチャートのうち7位の「内気なジョニー」 が一番好きだった。その歌手ジョニー・ソマーズが日本語で歌ったすてきなメモリー も好きだった。渡米してアメリカのテレビを見ていると「シャナナ・ショー」のような音楽バラエティ番組にジョニー・ソマーズが出演してコントをやりながらこの「内気なジョニー」など 数曲 披露していた。往年のヒット歌手が持ち歌を歌いに来るのは当たり前のことなのだろうが本物のジョニー・ソマーズが歌っていることになんだか妙に感心したものだった。
fumio

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