monologue
夜明けに向けて
 



 
 いよいよ馬琴の遺した暗号の解読に移ろう。

 かれは周到に解読の手がかりを用意している。
この物語の題名は「南総里見八犬伝」で舞台は房総半島の南端「安房国(あわのくに)」。
神余光弘の愛妾で、神余の死後は山下の正妻となり、怨霊となった敵役の女の名、玉梓(たまずさ)。
そして里見の愛犬で母犬を亡くし狸に育てられて八つの牡丹の痣がある霊犬で八犬士の父の名、八房。
八犬士を処女懐胎する母、伏姫(ふせひめ)。
八犬士は、体のいずれかに牡丹のあざがあり、文字の浮きでる玉を持つ。

 2月4日のブログ「豆まき」に書いたこの物語の秘密を解く鍵とは
「23」がニギハヤヒの数でヒフミのフミでもあり、フサとも読めることであった。
かれは宇佐の国魂で。宇佐はUSAの音素を持っている。かれはこの音霊に隠れて活躍する。

 この鍵を使って馬琴の遺した暗号を開くと「南総」の総はフサ(FUSA)「安房」の房もフサ
霊犬は八房、フサだらけである。この分では伏姫もフサヒメの可能性がある。
そして敵役の女の名、玉梓はフサでないからと安心してはいけない。
玉梓はTAMAZUSAでなんとこれまたUSAの音霊をもっている。
すなわち、宇佐魂(USATAMA)なのだ。

 前回述べた十九であり、MAKOTOであり、音であり、月の主であり、龍であり、
数霊三八(宮)とかかわりの深い存在とはもちろんニギハヤヒなのである。
かれがこの物語の裏に潜んでいるのだ。

 八犬士がそれぞれにかかわりのある文字が浮きでる玉を持つということはすぐに魂を象徴していると思いつくが「牡丹の痣」の意味がわからない。
一般には獅子の力を抑える霊力があるとされているからということになっている。

 しかし、これがニギハヤヒが馬琴に依り憑いて出雲族へのメッセージとして書かせた物語であるなら「牡丹の痣」もまたニギハヤヒを象徴するものでなければならない。
そのことを検証してみる。

 ニギハヤヒを祖とする物部氏の花は萩であった。それで秋の彼岸には「オハギ」を供えるのである。
同じ食べ物を春には「ぼたもち」と呼び、夏には「夜船」冬には「北窓」と呼ぶ。
それはオハギを作るにはこねるだけで搗かなくていいから「搗き知らず」から
夏の夜の船は暗いので「着き知らず」冬は寒くて北の窓から月を見ないから「月知らず」ということである。
春の彼岸に「ぼたもち」を供えるのは物部氏の春の花が「牡丹」であるからなのだ。
「牡丹餅」「夜船」「お萩」「北窓」と名前は違っても
すべて月讀として霊界を司るニギハヤヒへの供え物である。
これまでは「月知らず」ということだったがこれからは「月知らす、月治らす」ということになるだろう。

 ということで「牡丹の痣」もまた物部氏の祖ニギハヤヒを象徴するものであった。
「痣」とはヤマイダレに志、すなわち八犬士は物部の志を継ぐ者であった。

 そして現代、馬琴が来るまで待っていた者たち、大和の地に集ったわれわれの血に埋められたモノリスは発現して魂が呼び合いともに夜明け(牡丹の朝)を迎えようとしている。
fumio

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