80ばあちゃんの戯言

聞いてほしくて

塾の先生(4)

2010-07-24 09:15:02 | 思い出
 6年生の卒業が近づいていた頃、お隣の奥さんが、お願いがある

と言われたので、どうぞと言うと、ご自分のお子さんと、その同級生

の勉強を見てくれないかと言うことだったが、私は家具の仕事をやり

たいと思っていたので、鄭重にお断りしたのだが、人数が少なすぎる

と思われたのか、さらに人数を増やしてきたのである。

一年生のお嬢ちゃんと、二年生の坊ちゃん3人とお嬢ちゃん一人に、

5年生の男女一人づつだった。

仕方なく、1年だけと言う約束で受けてしまった。

私は子供さんたちに合わせて問題を作っていったが、子供さんたちが

勉強の楽しさを感じてもらえるようにしたいと言う事を何時も念頭に

置いていたのだが、私の家事以外は殆ど、塾の事で手一杯になって

しまった。

それでも、週三回の子供さんたちとのふれあいは楽しかった。

算数はまづ最初に四則計算「一年生は足し算引き算のみ)から始めて

ストップウオッチで各人のタイムをとり、毎回、自分のタイムと競わ

せることにしていたのだが、その後の声かけにも何時も注意を払って

いた。

何時も同じではいけないし、通り一遍の声の掛け方はするまいと思って

いたのである。 他のお子さんとの兼ね合いもあり、随分と気を使って

いたが、子供たちは楽しくやってくれていた。

四則計算が早くなれば応用問題にも有利だと考えていたのであるが、

子供さんたちはどんどん早くなっていった。

応用問題はできるだけ図を描いて考えるように指導していたのだが、

これが結構考える力になっていったように思っている。

 算数の後には数の遊びをやって、数と戯れるのが好きになるようにと

思っていろいろ工夫していたのだが、例えば、三桁の数字を、それぞれ

考えさせる。

その数字を裏返しと言うか一の位の数字を百の位に書き、真ん中はそのままで

次に、百の位の数字を一の位に書いて、最初に書いた数字から引かせるのである。

 後の数字のほうが大きくなれば、反対にして引かせる。


  私が出た答えの一の位の数字を聞いて三桁の答えの数字を当てるのである。

  種を明かせば、真ん中は何時も必ず9であり、一の位の数字と百の位の

  数字を足せば9になるのである。

  352 - 253 = 99  

  468 - 864  →    864- 468 =396

  何回もやったところで、種明かしをして、明日学校でお友達とやってご覧と

  言うと、子供たちは喜び勇んで、次の日学校でやってくる。

  暗算の勉強にも多少はなるし、楽しみにもなりお友達との交流もうまくいく

  と考えていた。

   国語は書き取りも必ずやっていたのだが、特に気を使ったのはアクセント

  と朗読で、何度も読んでしっかりと内容を把握して、さらに声を出す事で、

  文章が身体の中に入っていくと思っていたが、特に一年生のお子さんは

  表現力があって楽しかった。

  可愛いお子さんで、何でもよくできて、朗読も上手で、将来はどんな

  お仕事をするのだろうかと私の夢が広がった。

  時には男の子、女の子の顔型クッキー「泣いたり、笑ったり、怒ったり
 
  ウインクしたり)やケーキを焼いてお誕生会をやったり、クリスマスの

  会もやったが、リースはいろいろの綺麗な紙で包んだキャンデーを

  取り付けて玄関に下げ、帰りにはそれぞれ好きなものをいくつかとって

  いけるようにしたりしていたのだが、子供さんたちはとっても喜んでいた。

  期末試験でいい成績を取ってきて、成績簿が1から4まであがったお子

  さんがいたが、なんと、その翌週、その親御さんから月謝の値下げ要求

  がされたのにはびっくりした。

  月謝は当時3千円で、それ以上は掛からないようにしていたし、他の

  ところでは5千円と諸費用がかかていたようであったのだが・・・。


                (つづく)