80ばあちゃんの戯言

聞いてほしくて

家具と収納(3)地震と家具

2011-06-21 10:18:36 | 収納と家具
 私は子供の頃、よく両親から関東大震災のことを聞かされていました。

母が逃げる途中に見たのは、それまで二階建てだったお家の一階が

スポット埋まってしまって一階建てになっていたことや、家具が倒れ

たり、ピアノが滑り出す話とか、いろいろな物が飛ぶということでした。

実際、私自身が戦後に横浜で体験したのは棚の上から本が飛んできて、

焦点が合わなくなり、目の中がごちゃごちゃになり、あわや失明かと

思ったこともありました(ブログの二回目に書きましたが、この時は

水道の水流を目に当て続けて自分で直しました)。

 そんなこともあってか、私は家具の倒壊をいつも心配してきたのですが、

どんな家具が一番倒れやすいかと申しますと、 奥行きの少ない家具です。

 たとえば奥行き20センチ以下の飾り棚、奥行き30センチぐらいの

本棚は最も倒れやすい物です。

また、和風の背の高い鏡台で、鏡が前後に動くようになっているもの。

 阪神大震災の時に私の友達のお宅では、二階でご夫婦隣り合わせのお部屋

で寝ておられたそうですが、グラットきた瞬間に、ご主人様が奥様のことを

心配されて、隣の奥様の部屋にこられたときに、ご主人様の寝ておられた

部屋に置かれた大きな鏡台がどすんと大きな音を立ててお布団の上に倒れて

きたということでした。

もちろんそれ以上の奥行きがある食器棚とか洋服ダンス、テレビボードでも

震度が大きくなれば倒れるのですが、作りつけておくか金具で取り付けて

おくことです。

 私がとても気になるのは、お玄関の中途半端に高いシューズボックスと

言いますか下駄箱です。

 マンションなどのお玄関においてある下駄箱などがもし地震で倒れますと

いざというときに逃げられなくなる恐れがあります。

あるマンションで天井から15センチも低い下駄箱があって、実際にそう

いう危険な状態であると思われたので、測ってみたところ、ちょうど一番

逃げるために必要な場所を塞ぐことになると思いましたので、

余計なことでしたが、ご注意申し上げたのですが、奥様は、これは背が高

いのだから大丈夫とお聞き入れになられませんでした。

 その方は小学校時代に算数で使った三角定規を思い出されて、直角三角

形の斜めの部分は他の辺に比べて長いので、倒れても大丈夫だとお思いに

なられたようでした。

 ところが、奥行き45センチぐらいでしたら、高さと、奥行の作る矩形

の斜めの線を高さと比べていただくとわかるのですが,高さ2350くら

いだったら、たった1、2センチの違いでしかないのです。

15センチもあったら完全にどこにも引っかからないで倒れてしまう計算

です。

   (つづく)

家具と収納(2)

2011-06-11 01:01:41 | 収納と家具
家の中に、物が溢れるにつれて収納をきちんと考えていかなければ

暮らしにくくなってくるが、ただ、家の中がきちんと片付いていれ

ばよいというものでもない気がする。その家に住む方々の心がよい

収納によってみたされているようでなくてはいけないのではなかろ

うか?

 きちんと片付けようとするあまりに、他の人たちのやり方が気に

なって、始終怒りまくっておられる方もあるようであるが、それは

いかがなものであろうか?

子供さんたちの

"今やろうと思っていたのに!”という言葉が聴かれるのは、どうも

あまり好ましくないと思われる。

ご家族の誰もが納得のいく置きやすい場所は何処なのか、いつも考え

ておき、きちんとできないならば、なぜだろうかと考え直してみるこ

とである。

また、ご自分一人で考えずに、子供さんやご主人様にも一緒に考えて

いただければ、ご家族参加型のよいご家庭ができると思うのだ。

といっても、今のご時世お仕事に追われて、なかなか休日もゆっくりで

きないこともある。

こうでなければならないというやり方ではなくて、それぞれのお宅の

ご事情に合わせてよりよい方法を考えていっていただきたいと思う。

まあ、百点を目指して、75点でというのが穏当なやり方ではないだろ

うか?

あせらず、よりよい明日のためにお互いがんばっていきましょう。

毎日毎日少しづつ向上していくことを目指すのが大事でしょう。

 (つづく)

家具と収納(1)

2011-06-10 02:58:18 | 収納と家具
以前私は団地住まいをすることになったときから、暮らし方や収納の

仕方についていろいろ研究し、家事机を作るようになって、労働大臣賞

をいただいたり、テレビ、新聞、婦人雑誌などにいろいろ取り上げて

いただき、その後、ご家庭のニーズに合わせて特注家具をいろいろと

作らせていただいてきて、喜んでいただいてきたが、その間、いろ

いろと家具に使う金物などの研究もし、また、幼稚園教諭であったので、

小さいお子さんにどのようにお片づけを教えるかとか、いろいろと原稿

を書き溜めてきたのだが、あるときそれをある有名な婦人雑誌社から

出版することになった時に、担当者がおかしくなられて、原稿がめちゃ

くちゃにされてしまった。

一度目の話し合いの時の帰り際に言われたことと、二度目にうかがった

ときの最後に言われたことがまったく同じ口調と内容であったので、

いやな予感がしたのだが、三度目に伺ったときには私の原稿が、全く

赤ペンだらけになってしまって、しかも、同じページに同じタイトルが

続き、内容も勝手にほかのところへ移動されていたりして、ご当人は、

"荒武さんのお蔭で収納について何も知らなかったのが本当に勉強になり

ました。”といわれたのだが、私はもうただびっくりして、長い間、忙し

い中を書いてきた原稿がおかしくなっている状態に耐えられなくなって

それ以来、原稿を読み直すこともできなくなってしまっていた。

そしてずっと血圧の薬のお世話になっているのだが、なんだかやっぱり

書いておきたい気になってきた。

 それは、その後、"捨てる”というご本が出てベストセラーになったり

していて、私も買って読ませていただいたのだが、私には、何が何でも

捨てるというのは許せない気がしたのである。 自分のものはともかく

ご主人のものでも、取って置いてと言われたものでもどんどん捨てると

言うお話には、全くあきれてしまった。

思いやりの心がなければよい収納はできるはずがないと私は信じている。

最近でもテレビなどで収納のことが取り上げられているのだが、百円ショ

ップで買うとか言うものを使っていることも多く、それも悪いとは言わ

ないが、金物まで研究した人はいないようなので、ちょっと書いておきた

くなったのである。

(つづく)