それから一ヶ月あまり、私は、毎日せっせと病院へ
通った。
連休を目の前にしたある日、担当の先生の回診があ
って、
”そうですね。もう大分いいようだから、連休明け
に退院されたらどうですか?” と、仰ったのであ
る。
ところが、夫はいそいそと退院の準備を始めた。
”あら、まだ一週間もあるのに、まだ早過ぎない?”
と私が言うと、
”どうせ先生は連休中は来やしないから、家へ帰るよ。”
と宣った。
”だって、お父さん、ここにいるだけで十万円以上も
保険が多くいただけるのよ。先生もああ、仰っているの
だから、もう一週間我慢してよ。毎日来てあげるわよ。”
と、私は言った。
でも、夫はさっさと退院の手続きをしてきてしまった。
夫の同じ病室で、すぐ退院といわれた方は、連休明け
にしてくれと頼んでおられたのに、まあ、欲のない人。
私の懐具合もしらないでと思わず苦笑してしまった。
息子の高校時代のお友達のお母さんが保険やさんで、
その頃始まった保険に入れられていたので、一日入院
すれば1万5千円もらえる契約だったのである。
次の日曜日、かの保険やさんが現れて、手続きをして
くれたが、ちょうど家にいた長男と次男が車で駅まで
お送りをした。
二人とも家に帰ってくるなり、お座敷でひっくり返っ
て大笑いをしていた。
あまりにもその笑い声が大きいので
”どうしたの?”と、聞くと、おなかを抱えながら
次男が
”だって、おかあさん。あの人、私は保険について
は一切押し売りをしないんですよといったかと思っ
たら、ところで、今度こんな保険ができましたと
いったんだよ。”と、二人で顔を見合わせて大笑い
をしていた。
彼女は優秀な保険やさんで、当時彼女の支店で
第一位の成績だったそうだから、そうでなければ
到底一位にはなれないのだろうと、私は思った。
通った。
連休を目の前にしたある日、担当の先生の回診があ
って、
”そうですね。もう大分いいようだから、連休明け
に退院されたらどうですか?” と、仰ったのであ
る。
ところが、夫はいそいそと退院の準備を始めた。
”あら、まだ一週間もあるのに、まだ早過ぎない?”
と私が言うと、
”どうせ先生は連休中は来やしないから、家へ帰るよ。”
と宣った。
”だって、お父さん、ここにいるだけで十万円以上も
保険が多くいただけるのよ。先生もああ、仰っているの
だから、もう一週間我慢してよ。毎日来てあげるわよ。”
と、私は言った。
でも、夫はさっさと退院の手続きをしてきてしまった。
夫の同じ病室で、すぐ退院といわれた方は、連休明け
にしてくれと頼んでおられたのに、まあ、欲のない人。
私の懐具合もしらないでと思わず苦笑してしまった。
息子の高校時代のお友達のお母さんが保険やさんで、
その頃始まった保険に入れられていたので、一日入院
すれば1万5千円もらえる契約だったのである。
次の日曜日、かの保険やさんが現れて、手続きをして
くれたが、ちょうど家にいた長男と次男が車で駅まで
お送りをした。
二人とも家に帰ってくるなり、お座敷でひっくり返っ
て大笑いをしていた。
あまりにもその笑い声が大きいので
”どうしたの?”と、聞くと、おなかを抱えながら
次男が
”だって、おかあさん。あの人、私は保険について
は一切押し売りをしないんですよといったかと思っ
たら、ところで、今度こんな保険ができましたと
いったんだよ。”と、二人で顔を見合わせて大笑い
をしていた。
彼女は優秀な保険やさんで、当時彼女の支店で
第一位の成績だったそうだから、そうでなければ
到底一位にはなれないのだろうと、私は思った。