奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1362)

2020-05-16 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「養老孟司ガクモンの壁(日経ビジネス人文庫2003刊/初出1998.8)」の“第6章「聴覚と言葉の起源を求めて(森浩一との対談)」”を読んだ。養老孟司(1937~)氏は言わずもがな、“バカの壁(2003)”をヒットさせる直前の唯脳論学者である。森浩一(もりこういち1956生れ)氏は、1981東大(医学部)卒、1988同大学院修了、カリフォルニア工科大学リサーチフェロー、東大(医学部)耳鼻咽喉科、同音声言語医学研究施設助手を経て、1998.4国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所/視覚機能障害研究室長。専門は神経行動学/音声言語医学/聴覚医学/耳鼻咽喉科学/神経科学とのこと。現在は、国立障害者リハビリテーションセンター/自立支援局長。------

森浩一氏の語る研究内容は次のようである。音源の方向を知る音源定位能力をメンフクロウと人間で研究してきた。どちらもこの能力に優れており、フクロウは角度にして1度か2度の誤差で方向を識別する。人間でも訓練すると同程度まで識別できる。メンフクロウは暗闇の中でもネズミの動く時のかすかなもの音で位置を知り、生活の糧を得ている。盲人は白杖で障害物を探りつつ、その反射音を聞いて音源定位をし、ナビゲーションに役立てている。言語と脳の関係はセキセイインコと人間で研究している。セキセイインコの鳴き方のうちで、呼び合う時に発せられる“コンタクトコール”という短い鳴き声に注目している。この鳴き声は集団が異なると全く異なるが、同じ集団内の個体ではよく似ている。しかし全く同じではなく、仲間内ではその微妙な違いを聞き分けて個体を識別しているらしく、その仕組みを研究中である。-----

養老孟司氏は、聴覚がテーマなので、森浩一氏の細々とした研究に関わる質問ではなくて、ご自分の関心事を次々に話されていて、“相対音感と絶対音感”とか、単なる音が言葉の音節に変わるのは何故なのだろうかといった疑問を並べていかれるのだ。森浩一氏は養老孟司氏の母校/東大医学部の後輩なので、解剖学の講義を受けた師弟かもしれないのだ。とても気さくに次々と対談されている。しかしながら人間を含めた生物学の世界は未知のことがとても多くて今もその意味では博物学的で未だ系統立つことのない研究が様々に行われているホットな世界なのだと思った。

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