北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「宇宙は何でできているのか~素粒子物理学で解く宇宙の謎(村山斉著・幻冬舎新書2010刊)」を読んだ。村山斉(むらやまひとし1964生れ)氏は、1986東大卒、1991同大学院博士課程修了。専門は素粒子物理学(超対称性理論/ニュートリノ/初期宇宙)。東北大学助手を経て、2000よりカリフォルニア大学バークレイ校教授。2007東大数物連携宇宙研究機構(IPMU)の初代機構長に就任した。------
章立ては次の通り。“ものすごく小さくて大きな世界”、“宇宙は何でできているのか”、“究極の素粒子を探せ”、“4つの力の謎を解く(重力/電磁気力/強い力/弱い力)”、“湯川理論から小林益川理論へ”、“暗黒物質/消えた反物質/暗黒エネルギーの謎”------
高校の地学で宇宙を学習するときにどこまで詳しく習うのか分からないが、この本「宇宙は何からできているのか」では、一般向けにしては相当に詳しく解説してくれているのである。しかし、数学/数式は一切使わずに言葉と絵図面だけで教えてくださっているのだ。多分、高校/地学でも同じような語り口で宇宙を論じているのだろうと思った。-------
“あとがき”のところにこの本の印税はIPMUに寄付され活動資金にあてられると記されている。文科省の触れ込みの割には財政援助が欠落しているのだろう。村山斉氏は機構長として、その酒代/茶菓代にもお困りであったのだろう。だからこの本は本当に易しく素人にも分かるように噛んで含めて教えてくださるのだ。------
アインシュタインが特殊相対性理論(1905)を発表してから100年を超えているのに、現在でも相対性理論を理解できる人は少ない。理系大学で漸く教えてはもらえるがそこでも理解できる人は僅かだろうと思う。村山斉氏はその躓きの全くない偏差値エリートであり、著述内容に間違いのない良質な本となっているのだ。