北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「アランドロン(1935~2024)」について。-----------
朝日新聞(2024.8.22)に秦早穂子(はたさほこ1931生れ/映画評論家)さんの寄稿/“アランドロン/24歳の瞳は未来だけを見ていた”が載った。----------
初めてアランドロンに会ったのは/1959(昭和34年)。彼は24歳になったばかりの秋だった。洋画の配給会社からパリに派遣されていた。同年7月/ゴダールの初長編“勝手にしやがれ”の20分の未完成フィルムを見て/買い付けを決めた。“勝手にしやがれ”はヌーヴェルヴァーグが頂点を目指す作品であると確信したが/社会的位置を獲得するのは未だ先のこと。次は同じ若い世代を主題にしていても/より一般向けの作品を買い付けたいと考えていた。----------
買い付けの話を聞きつけたアキム兄弟が/新作を見て欲しいと電話してきた。パトリシアハイスミス原作の主人公トムリプリ―の映画だった。完全犯罪を成し遂げ/富と地位を得る。20分のラッシュは未だ海の場面だけだった。----------
社内の組織変更で/ピンチヒッターとして選ばれたに過ぎない私に/映画を知らないパリ側の役員は/“貴女は若すぎる/騙されている”と言った。それなら/主演のアランドロンに取材して/日本での可能性を検討したい。それまでの彼の映画は/俳優としては平凡だった。日本の観客は既に彼に関心を示し始めていた。反対にお膝元のフランスは/断然/個性派のジャンポールベルモントに味方した。アランドロンのような美男子は/其処らに居るタイプで/面白くなかったのだ。-----------
65年前/アランドロンの主演作“太陽がいっぱい”を買い付け/邦題を付けたのも秦早穂子女史。1963来日したアランドロンと都内のホテルで打ち合わせた際のツーショット写真が記事に添えられている。アランドロンの横顔を覗きこむ女史の姿が微笑ましい。