奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その602)

2018-04-18 08:15:00 | 奈良・不比等
「北の国からで読む日本社会(藤波匠著・日経プレミアシリーズ2017刊)」を読んだ。藤波匠(ふじなみたくみ1968?生れ)氏は東京農工大学(農学研究科)修士課程を修了し、東芝、さくら総合研究所、日本総合研究所に務め、シンクタンクの仕事をされてきたようだ。主として地方再生の研究に従事されており、「人口減が地方を強くする」「地方都市再生論」などの著書がある。------
「北の国からで読む日本社会」では、長らく国民的ドラマであったフジテレビの「北の国から(1981~2002)」に沿って、その間の日本社会の変遷を追っている。そのストーリーや登場人物の発言には社会情勢が色濃く反映されており、その時々のことが今振り返っても成程と合点がいくと云う。ドラマ「北の国から」の脚本家は倉本聰(くらもとそう1934生れ・東大美学科卒)氏であり、余りにインテリなので、庶民の事は分からないだろうと思うのだが、「北の国から」は東京では普通に受け入れられてヒットし続けた。一つには東京人の権威主義があるのかも知れないが、偉い人の作ったドラマは批判精神を発揮せずに受け入れられた。-----
藤波匠氏は地方再生研究のために農林漁業の趨勢をずっと把握されてきたと思われるが、インテリなので実態はどうだか分かり難い処をドラマ「北の国から」の脚本を参照する形で、日本の高度成長期からバブル経済の崩壊を経て今に続く景気の低迷期を、或る意味具体的に解説して呉れている。だからどうなのかと云うと、このような新書の内容の本がどのような読まれ方をするのか分からないが、これまでになかったスタイルの社会学の本とでもいえるのだろう。------
上滑りだと思われるドラマ「北の国から」を杖代わりにして地方の衰退を追い掛ける趣向は悪くは無いが、藤波匠&倉本聰のお二人がインテリ過ぎて、どうしても庶民の生活が描けていないように感じた。先に言ったように関西人には「ええ格好しい」に見える東京人には通用するのだろうが、本音を大切にする人見知りの奈良県人には無理だろうと思った。-----
奈良県人でも十津川村の明治時代の大水害で北海道に移住して新十津川村を起こした例があるので、実話・歴史なら信用出来るが、ドラマの魅力的な俳優には申し訳ないがファンタジー(嘘話)ではどうにもならない。
コメント
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