奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その603)

2018-04-19 08:15:00 | 奈良・不比等
「いつでも死ねる(帯津良一著・幻冬舎2017刊)」を読んだ。タイトルが刺激的だが、既刊の「粋な生き方病気も不安も逃げていくこだわらない日々の心得(帯津良一著・幻冬舎ルネッサンス2014刊)」を新書化・改題したもののようだ。帯津良一(おびつりょういち1936生れ)氏は、東大医学部卒で東大病院・都立駒込病院にて外科医として務めていたが、1982年より帯津三敬病院を開設すると共に、ホリスティック医学の第一人者として活躍されている。-----
西洋医学で治らない疾病に対して漢方や鍼灸、気功などの中国医学を取り入れたホリスティック医学による治療を行っておられ、患者と相談しながら治療を進めるなど、上から目線のエリートぶらない医者を心掛けて居られるそうである。------
「いつでも死ねる」のタイトルの意味は、心理療法の大家・サイモントン博士の言葉「治るんだと云う気持ちは幾ら強くてもいいでしょうが、その脇の方でいいですから、いつでも死ねるという気持ちをもっていてほしいのです。」に出てくるそうで、諦めない気持ちの脇にいつでも死ねるという覚悟を秘めることは甘い食べ物に塩をひとつまみ加えることで甘みが増すようなもので、生命力をアップさせるのかも知れません。諦めない事は大切だけれどもそれを執着にはしない。この塩梅(あんばい)が生命力の鍵を握っているようです。西洋医学からすると一見、オカルトチックに思えるが、帯津良一氏が見聞きして来られた事例を交えて紹介されている。-----
本書の後半には「病は気から」を、西洋医学の医者の立場から思いっきり利用して、人間に備わっている自然治癒力を高めることを薦めている。それも具体的に列挙して呉れている。殆ど、「貝原益軒の養生訓」の現代版の様相となっている。-----
巻末にはおまけの様に「人生にとって本当に必要なもの」とは何かとの問いに対する帯津良一氏の自問自答の回答を書いてくれている。私にとって必要なものは唯一つ「ときめき」だけです。私に「ときめき」の大切さを気付かせてくれたのはフランスの哲学者アンリ・ベルクソンの名著「創造的進化」です。ベルクソンはこの本でノーベル賞を受賞しています。哲学者が文学賞を貰ったのは彼くらいではないでしょうか。ベルクソンはその著書で生命進化の原動力とは「生命の躍動」だと言っています。この生命の躍動こそ、私は「ときめき」だと直感しました。------
医療倫理に取り組んで居られる奈良県庁・市町村役場や県内医療機関の従事者は一読しておいても良い本なのだろうと思った。
コメント
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