道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

アラベッラ(新国立劇場・渋谷区本町)

2010年10月18日 | オペラ道楽
新国立劇場にリヒャルト・シュトラウスのアラベッラを見に行きました。
2010/2011のシーズン第一弾となります今回の演目は,またリヒャルト・シュトラウス+ホフマンスタールの組み合わせのオペラです。
前にも同じことを書いたかもしれませんが,ウィーンのオペラ座が好きそうな演目を次々と日本でも見られるようになったことは有り難いことです。

さて,「アラベッラ」は,賭け事に夢中で破産してしまった伯爵ヴァルトナー(大河ドラマの「龍馬伝」に出てくる,とある登場人物のようです。)の娘アラベッラと地方貴族で資産家のマンドリカとの結婚の物語です。ヴァルトナーが金策に困って,娘のアラベッラを旧知の友人と結婚させようとしたところ,友人は既になくなっていて,その甥のマンドリカがあってきて,アラベッラとズデンカは相思相愛に陥ります。といってしまえば,順調にことが進むはずなのですが,実際にはアラベッラに執心でストーカーのつきまとう粘着質のマッテオやそんな気味の悪いマッテオのことを何故か好きになってしまうズデンカという名前のアラベッラの妹が登場して,2人の結婚をかき乱していきます。しかもズデンカは家の貧しさから女性として育てられることもなく,男の子の身なりをさせられていて,マッテオもズデンカのことを女性とは知らなくてというような事情もあります。さらにアラベッラのことを口説こうとする別の3人組や歌姫ミッリ等の登場人物も出てきます。
オペラのタイトルは「アラベッラ」ですが,そのストーリーの中心になっているのはむしろ妹ズデンカです。ズデンカは取り返しがつかなくなる直前の最後の最後に自分が女性であること,姉アラベッラを装ってマッテオと通じたことを明らかにします。そしてアラベッラはズデンカも自分の貞節を疑ったマンドリカのことも許します。

舞台の中心には,映画「タイタニック」に出てくるような階段が設置されています。そういえばアラベッラの衣装も青でした。このほか,窓ガラスの外の雪の降る景色がうまく演出されていることも印象的でした。
このオペラの衣装は森英恵さんが担当したとのことです。

そもそものストーリーにやや無理があることは否めませんが,十分に楽しむことができました。第1幕目のアラベッラとズデンカの歌など良かったのですが,第一幕は舞台の変化が乏しかったのが少しだけ残念でした。