Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

中年女性の怨恨と自虐

2009年05月06日 | 
暫く前の朝日新聞に、米谷ふみ子女史の近況を紹介する記事が出ていました。
白髪の女史は、しかし今も西海岸に元気に在住、
アメリカ社会に対して怒り続けていると記事に書いてありました。
彼女の小説「過越しの祭り」を読んだのは
1985年、もう四半世紀ほど前のことです。

何故そんなことを覚えているかというと、彼女がその小説で芥川賞を取ったのが85年、私は月刊文藝春秋の誌上で、その受賞作を読んだからです。
結婚する少し前の私にとって、 それは中々の衝撃作でした。
これでもか!と描かれた結婚生活の恥部暗部、
癇癪持ちのユダヤ人作家の夫との軋轢、
無神経な夫の家族(義姉や義母)との葛藤、
脳障害を持った息子との凄まじい日々…
以来なんだか気になって、彼女の他の小説、エッセイ、その癇癪持ちの夫が書いたという本など色々読みました。

今回久しぶりに読みたくなって、アマゾンで取り寄せました。
何も知らなかったあの頃と、まがいなりにも結婚生活を続けてきた今と、
自分がどんな違った感想を持つか、確かめてみたかったのです。
「過越しの祭り」「遠来の客」が納まった薄い文庫本。

”男尊女卑の日本を離れ,自由に絵を描きたい-大いなる夢を抱き渡米した道子.
ユダヤ人作家と結婚したが,文化の違いから何かとぶつかってばかり.
そして生まれた子どもは脳に障害を持ち….
施設から帰宅した子どもをめぐる家族のいざこざを描く「遠来の客」,
ユダヤの祭で結束固い夫の一族に翻弄され,自らの解放を密かに決行した「過越しの祭」”
(amazonより)

脳障害を持った息子というのは、重い自閉症児であったのですね。
そして彼女が描く日本人妻は、あまりにも夫と対等にぶつかりすぎている。
こんな子どものような夫を相手にするなら、もう一段上から見なくては…
(などと言うのは簡単だけれども、実際には難しいだろうなあ)
しかし、しょっちゅうぶつかり合って激しい言い争いをしているのですが、
何処かそれを醒めた目で見ている彼女がいる。
異国で暮す中年女の怨恨と愚痴で全編が覆われているのですが、
だからこそ、彼女の小説には乾いたユーモアが漂い、
実際の彼らの結婚生活はいまだ続いているのでしょうねえ…

「過越しの祭り」
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超ずぼらか、病気なのか?

2009年05月04日 | 社会
葛飾北斎といえば、江戸時代に活躍した浮世絵師としてあまりにも有名ですが
その人となりというものを、私はまったく知りませんでした。
朝日新聞の「はみ出し歴史ファイル」によると
「超ずぼらな奇人」であり、生涯になんと93回引越ししたのだそうです。
その理由は、要するに絵を描くことのみに集中し、部屋が汚れる度に転居したということらしい。

”炊事や洗濯もせず、煮売屋(惣菜屋)でおかずを買って家で食べ、
包み皮や入れ物はその辺に放置した。
面倒くさいのか、箸も使わず手づかみで食べていたという。
秋から冬はコタツに入りっぱなしで紙に筆を走らせ、
客が来てもそのまま応対し、疲れたらそのまま眠るという生活を続けた。
(中略)コタツ布団はシミだらけとなり、部屋もゴミが積もって不潔極まりなく、足の踏み場もなくなる。こうなると、北斎は転居するわけだ。”(歴史研究家 河合敦)

いや、知りませんでした。
これ今だったら、ADD(注意欠陥症候群)などと言われるのでしょうね。
それであの時代に90歳まで生きたって凄いですねえ?
栄養状態も、衛生状態も、極悪のようなのに。
20歳くらいから引越し始めたとしても、70年間に93回、
一年に1.3回以上引越ししたことになる。
部屋が汚れすぎて引越ししたということは、当然掃除なんかしないで
汚部屋を放置したのでしょうから
大家にとってはいい迷惑だったでしょうねえ?

それで、3万点を超える作品を世に残し…
平成11年(1999年)にはアメリカの雑誌『ライフ』の企画
「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、
日本人としてただ一人、ランクインしたのだそうです。
凄すぎる。

写真 葛飾北斎「富嶽三十六景」
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アシュリーのこと

2009年05月03日 | 社会
アシュリー、ついに亡くなっちゃったのですね。
先月21日、享年17歳。

彼女の死はニュースから知っていたのですけど、小さな記事だったので詳細は分かりませんでした。
昨夜、フジテレビ「サイエンス・ミステリー」で特集番組をやっていました。

800万人に1人のプロジェリアという難病を背負い、
「人生は不満を言うほど悪いほどのものじゃない」と言ってのけた彼女。
高校の卒業式を楽しみにしていたのに
その3週間前に亡くなってしまったのですね。
その直前まで、ペットショップでのバイトを頑張っていたのだとか。

"小さいときからよくからかわれたし、
いまもからかわれることはあるけど、そういうときは、
「あなたにも同じ血管があるのよ」って説明するの。
それでもからかうようなら、もう放っておくの。
それはわたしの問題じゃなくて、(I know it's not my problem.)
彼らの問題だから。(It's their problem.)

プロジェリアじゃなければいいのに、なんて思わないわ。
わたしは、わたしという人間であることが幸せだし、
神様がわたしをこうお創りになったのには、(God made me who I am.)
きっと理由があるはずだもの。(There must me a reason for that.)"
「all about Ashley」より


言葉がありません…


「サイエンス・ミステリー」
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