「卵を割らなければ…」というのは、人の一生には二者択一の時があるという意味のフランスの諺。
オムレツは食べたい、でも卵は割りたくない、などと両方を欲しがってはダメということ。
横浜の堅実な公務員の家庭に生まれた著者は人気絶頂の映画女優となり、イヴ・シアンピ氏にこう言ってプロポーズされ、海外への個人旅行がまだ禁止されていた1957年に、プロペラ機で50時間かけてフランスに渡った。
そしてパリでの華やかな生活、降ってわいたような夫の不貞による離婚、その後のジャーナリスト、作家として活躍した生涯を、日本で88歳を迎えた著者が一冊に書き下ろしたのがこの本です。
「巴里の空はあかね色」「ベラルーシの林檎」など、他の本に書かれたことが簡潔にまとめられているという印象もありますが、やはり一生分を通して書かれると、迫力があります。
オムレツは食べたい、でも卵は割りたくない、などと両方を欲しがってはダメということ。
横浜の堅実な公務員の家庭に生まれた著者は人気絶頂の映画女優となり、イヴ・シアンピ氏にこう言ってプロポーズされ、海外への個人旅行がまだ禁止されていた1957年に、プロペラ機で50時間かけてフランスに渡った。
そしてパリでの華やかな生活、降ってわいたような夫の不貞による離婚、その後のジャーナリスト、作家として活躍した生涯を、日本で88歳を迎えた著者が一冊に書き下ろしたのがこの本です。
「巴里の空はあかね色」「ベラルーシの林檎」など、他の本に書かれたことが簡潔にまとめられているという印象もありますが、やはり一生分を通して書かれると、迫力があります。
離婚後、パリで一人娘を育てるために、夫を失った悲しみを癒すために、女として自立するために遮二無に働いていた頃、ある日ぽっかりと休みができたので、豪勢なブランチを作って大学生の娘を呼ぶと…
”娘は大きな瞳で、じっと私を見つめた。
「たまに思いつく”家族ごっこ”はやめましょう。私はいつも一人でコーヒーを飲むことに慣れてしまったの」
私は呆然として立ちすくんだ。仕事に夢中になり過ぎて、この世で一番大事な娘を、ほったらかしにした不埒な母親であったことに気づいて愕然とした。”
本当にやりたいことを迷わず実行して来た著者は、その反面、大事な人を傷つけ、失ったものも多かったのでしょう。
その代償としての孤独を潔く引き受ける姿は、お見事としか言いようがない。
今更言うまでもないことですが、岸恵子氏、本当にお綺麗。
本に挟まれている沢山の写真に、ただ見とれてしまいます。
その輝くばかりの美貌をもってしても、手に入らなかったものがあった。
”「家族」というものが陸みあって暮らすことが、私の果たせない夢であったし、これからも果たせることのない「夢」なのだろう”。
横浜の実家で一人暮らし、コロナでパリの娘家族にも会えなくなった今、
”世界を覆うコロナ・ウィルスが世の中をどう変えるのか、人間の力試しが答えを出すのだろう”
とまとめられています。
「岸恵子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない」
卵を割らなければ、オムレツは食べられない。
二兎追うものは一兎も得ず、
虻蜂取らず、
日本ならそうなるニュアンスでしょうか。
ブログ本文の紹介を拝読した後、
サブタイトルを振り返ると感慨一入ですね。
昭和の銀幕を飾ったスター女優さんが、
カメラの前を離れて過ごした時間。
興味があります。
さて、先日(11/3)の掲載で拙ブログに
「須賀しのぶ」氏の小説に関して投稿しました。
Zooey様に教えて頂いた
「革命前夜」ではありませんが。
もしもまだ未読でご興味があり
都合と時間が許すなら覗いてやって下さいませ。
「須賀作品」の読書機会のキッカケになった
貴方様にご報告がてらメッセージした次第です。
では、また。
>二兎追うものは一兎も得ず
確かに似たニュアンスかもしれませんね。
「革命前夜」懐かしいです。
もう随分前に読んだような気がしますが
まだ今年のことなのですね。
統一前の東ドイツの社会情勢が絡んで、中々に読んで辛い本でした。
今回の岸恵子の本の中にも、彼女が国際的な社会問題にいかに夢中になったかも
色々と書いてありましたが、長くなるので割愛しました。
後でまた、ゆっくりお邪魔します。
彼女は幼いころからたぐいない文才にめぐまれていた
ようですね。
こんなに何もかもに恵まれている人は珍しいと
思います。
「き~しきしきしきしけいこ~♪」なんて歌いながら縄跳びをしていました。
何故フランスに行くのか分からなかったあの頃から、今に至る迄美貌は衰えませんね。
イブシャンピ氏の浮気が原因で離婚になった時「何てひどい男、あたしは絶対ケッコンしない!」とか思ってました。
早速購入します。情報ありがとうございました。
あれだけの美貌と文才に恵まれ、そして好奇心と実行力も。
しかも90歳に近い今もなお、美しいという所が凄いですよね。
ご訪問&コメントをありがとうございます。
随分前に「巴里の空はあかね色」「ベラルーシの林檎」など読み、驚きました。
この人の書くものは、いわゆるタレント本とはまるで違うのです。
文章力も素晴らしいし、着眼点、実行力、どれをとっても舌を巻きます。
離婚騒動、その理由には驚きました…
この本は一生分をまとめただけあって、章ごとの書き込みは浅い嫌いもありますが、読み応えありました。
お写真を拝見し本当におきれいで華やかな人生を生きてこられたことに思いを巡らせました。
今はZooeyさんがご紹介くださった小池真理子さんを読んでいます。
次はこれを・・・と思っています。
でも文章には男気があるというか、天晴れ!なのです。
小池さんの本についても、是非感想をお聞かせください。
本仲間が増えたようで嬉しいです~