Zooey's Diary

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「インビクタス」

2010年03月04日 | 映画
またしてもイーストウッドにやられました。

冒頭、緑の芝生のグラウンドで、ユニフォームを来た白人の少年達がラグビーをする一方、
道を挟んだ向こう側では、石ころだらけの荒地で貧しい黒人の子ども達が裸足でサッカーをしている。
どちらにも柵が廻らしてあるその間の道を、27年の間投獄されていたマンデラが
ようやく解放されて車で送られていく。
実に象徴的なシーンです。

アパルトヘイトによって痛めつけられた黒人にとって、
ラグビーは白人のスポーツという考えが根強く、
しかも南アフリカのラグビー・チーム「スプリングボクス」は弱小チームで
この国の白人からも、恥さらし呼ばわりされていた。
1995年のラグビーワールドカップが南アで開かれるのを契機に
マンデラ(モーガン・フリーマン)はこの大会を通じて、
国民の心をひとつにしようとする。

しかし草野球の親善試合じゃあるまいし、いくら大統領が鼓舞したところで
そしてチームのキャプテン、フランソワ(マット・ディモン)がいくら彼に敬服したところで
ワールドカップでここまで勝ち進むか?と思ってしまいますが
これが事実だというのだから凄いですね…
2007年の「マンデラの名もなき看守」を観たときにも思いましたが
マンデラという人は、本当に人の心を掴むのが上手なのでしょうね。
無論それには、27年間の投獄にも耐えた彼の屈強な精神力、
どんなに虐げられようと相手を赦そうとする、
無限の許容の心があってこそのことなのでしょうが…

後半はひたすらワールド杯の試合シーンが続きます。
私ときたら、ラグビーのルールなんててんで分かっていない。
サッカーのように蹴ったかと思えば、バスケットのようにパスしてるし、
かと思えば取っ組み合いして動かないし、一体何コレ?という具合。
その私でさえもが、延々と続く試合シーンに飽きもせず、
それどころか、選手の荒々しい息遣い、激しくぶつかり合う身体の汗や痛みまでをも
感じて息苦しくなってしまったくらい…

インビクタス(invictus)という言葉は、辞書を調べてもないと思ったら
これは不屈という意味のラテン語だったのですね。
獄中のマンデラの支えとなっていたという詩からきています。
エンドロールで流れる、実際のマンデラやラグビー選手達の映像、
そしてアフリカ音楽がアレンジされた「ジュピター」には泣けます。

事実に基づいた、美しい人間賛歌です。

”I am the master of my fate
 I am the captain of my soul”
 私が我が運命の支配者
 私が魂の指揮官(invictusより)

☆4

「インビクタス」
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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
男の為の・・・ (kira)
2010-03-04 20:48:28
やっぱりイーストウッド監督はいいですよね~。
「グラン・トリノ」も、大人の男の生き様を見せてくれましたが、
この作品も、枯れてなお世の男たちに送り続ける、
男から男へのメッセージのようなものを感じました。
いつもやり過ぎない、だけど、熱いものを感じます。

一国のリーダーでなくても、困難な状況に立ち向かうべき時、
つぶやいてみたくなるではありませんか
返信する
TB&コメントありがとうございました! (テクテク)
2010-03-04 21:45:17
こんにちは
私もイーストウッド監督にまたまたヤラれてしまったひとりです

いつまでも記憶に残り続けるような本当に良い映画でした

感情を持つ人間である以上、
自分を傷つけた相手を赦す事は容易ではないと思うのですが、
相手を赦す事で自分も辛い過去から開放されるのですよね

この映画を観ながら
人間の心の強さは相手に与える優しさとして表れるのだと感じましたし、
憎しみの感情は更なる憎しみを呼ぶだけなのだと
改めて教えられた気がしました
返信する
kiraさま (zooey)
2010-03-05 08:52:50
イーストウッド、もう75歳。
新作が出る度に、これが最後か!?と危惧するのですが…
いつまでも作り続けて欲しいですよね!

>一国のリーダーでなくても、困難な状況に立ち向かうべき時、
つぶやいてみたくなるではありませんか

invictusからの例の一節、日記に追記しました。
返信する
テクテクさま (zooey)
2010-03-05 08:57:02
こちらこそありがとうございます。

静かな、味わいのある映画でしたね。
自分のまるで知らない世界、知らない話を見て、知って、感動して、
しかもそれが実話で、
観てよかった!と思わせてくれる作品でした。

日本にもこんな政治家が
現れてくれませんかね…?
返信する
Unknown (jester)
2010-03-09 07:45:45
こんにちは。

>どちらにも柵が廻らしてあるその間の道を、27年の間投獄されていたマンデラが
ようやく解放されて車で送られていく。

あのシーン、よかったですね。
すごく象徴的でした。

マンデラさんは、いろいろ言う人もいて、どうなのかなと思ってましたが、やっぱりこの映画を見て、尊敬すべき人だと思いました。
返信する
jesterさま (zooey)
2010-03-09 21:58:35
「マンデラの名もなき看守」を観たときにも思いましたが
マンデラさん、本当に凄い人のようですね。
私生活では色々あって、それはここでは省かれていたようですが…

あの飛行機の急接近も
実話のようですよ。
それを知って、余計楽しくなりました!
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