Zooey's Diary

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強欲なワガママ女か自立した強い女性か?「レオニー」

2010年12月09日 | 映画

彫刻家ノグチイサムの母レオニー・ギルモアの生涯を描いた作品。

1873年、ニューヨークの労働階級の家に生まれ(映画で見る限り父親は出てこなかった)
奨学金で大学を出て編集者となる。
日本から来た詩人の野口米次郎と恋に落ち、彼の子を身ごもる。
さっさと帰国した米次郎を追いかけて日本に来るも男は結婚しており、
妾の立場に我慢できなかったレオニーは家を出、異国の地で一人生きていく…

こんな波乱万丈な生涯の輪郭を聞いたら、それだけでワクワクしてしまうのですが
実際に映画を観ると、驚くほどに感動しない。
言葉も分からない日本で(しかも明治時代!)青い目の女性が
一人で子どもを育てて生活をするということがどれだけ大変であったか。
ニューヨークでは甘い言葉を囁いたくせに自分の国に帰ると
女は男の後ろを黙って歩け、それが日本だ!と豪語する男に
どれだけ絶望し、どれだけ怒り狂ったことか。
アメリカの大学で同級生であった津田梅子を頼って行けば
そんな境遇の人(つまりふしだらということ)に良家の子女の教育は任せられないと
拒絶されて、どれほど屈辱に震えたことか。
しかしそれらのことが、あくまでも淡々と描かれている。

しかも「平凡な人間はつまらない」と言い放つ彼女は
自立心旺盛で迎合しないのはよいが、あまりにも協調性がない。
何年暮らしても日本語を覚えようとしないし
突然長女のアイリスを産むが、その父親は誰なのか最後まで分からない。
息子イサムの芸術的才能を信じる姿は立派だが
アメリカに留学させたイサムの親代わりの学長に対して
あの失礼な物言いはないでしょう…?

という訳で、どこまでもヒロインに感情移入できない、
つまり彼女を好きにはなれないのでした。
この作品に関しては、評価が別れるようです。
一人の破天荒な女性の生涯を淡々と描き切ってお見事とする人。
主人公に共感できない、感動できずつまらないとする人。
どこまでが史実に基づいているのかは知りませんが
伝記映画として、こういうスタイルもあるのかもしれない。
天才彫刻家イサムノグチは、こうして世に生み出されたのだということを知るのは
非常に興味深いことではありました。
でも、せっかくこれだけの題材を使って作品を作るのであれば
私としては、もう少し彼女の内部まで踏み込んで、人間性を描いて欲しかった。
あんなに映像と音楽は美しいのに…
残念に思います。

☆3

レオニー http://leoniethemovie.com/
コメント (4)
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